タイムマシン(前編)

支配する側かされる側かで、人類を2つに分けるとしたら、俺は間違いなく前者に当てはまるだろう。

そんな俺が「タイムマシン」に出会えたのも、俺の引きの良さがあったからに違いない。

年老いたジジイに街中で話しかけられたときは怪しさしか感じなかった。しかしそのジジイに連れられて、タイムマシンを体験してみて、それが本物であることを知った。そのジジイは右足を引きずっていた。「昔の古傷さ」とジジイは笑っていた。

そのタイムマシンは、某国民的アニメのそれでも、某ハリウッド映画のそれでもなく、日焼けマシーンのような人ひとり入れるのがやっとのしょぼいものだった。

ジジイがスイッチをいれてから数秒後、オレが蓋を開けると、そこは江戸の町が広がっていた。

平家建ての建物と、ちょんまげ頭の武士と思われる男たち。最初はドッキリかと疑ったが、どうやらそうでもない。

これは本物だと思った。

俺は未来を見せるようにジジイに詰め寄った。俺は昔からケンカが強いところが取り柄だったから、ジジイひとり手なずけることなんて容易だった。

そこから俺は自分の未来を見た。約20年後の、俺が40歳の時だ。

(後編へ続く)

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