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レストランのこれから

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ミールスと、ひとさらごはんと、それからそれから

ミールスと、ひとさらごはんと、それからそれから

昨日、久しぶりにエリックサウスでミールスを食べた。ミールスが何かを知りたいという人と出かけたので、自分もあらためてネットなどでミールスを学びなおしてさまざまな発見があった。

ミールスと「皿上調味」ミールスとその食べ方についてはこまごました説明をすればするほど難しく感じてしまうので、興味のある人は私のような初級者に聞くよりこの下に紹介するエリックサウスのサイトを見てほしい。本当にわかりやすい。

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ごぼう最高の食べ方、それはコロコロごぼう

ごぼう最高の食べ方、それはコロコロごぼう

今週の『スープ・レッスン』は、ごぼうと鶏ひき肉の落とし団子スープをご紹介。小さめに切ったごぼうと長ねぎ、そして鶏ひき肉をポトポト落として蒸し煮して、そこに水と塩を加えるだけという超絶シンプルなレシピです。

さて、ごぼうがちょっと残ったりしたら、絶対やってほしいのが、ここで紹介するコロコロごぼう。というよりも、コロコロごぼうを作って残ったら、このスープを作るというのでもいいかもしれない。そのぐらい

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159.カレーの隠し味にコーヒーは効果的なのか? 問題

159.カレーの隠し味にコーヒーは効果的なのか? 問題

カレーの隠し味にコーヒーを入れるといい、というのは、きっとカレールウが親しまれ始めた初期のころから言われ続けていたものだと思う。僕もその昔、ルウカレーを作るのに使ったことがある。まあ、予想通りの味に仕上がった。コーヒーの香りとビターな風味がカレーに深みを与える。まあ、これはこれで悪くないかな、と思ったが、その後、繰り返し作った記憶はない。

【材料】
米油 45g
玉ねぎ 290g
にんにく&しょ

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書記係・井川直子、6月1日の答。

書記係・井川直子、6月1日の答。

―任務終了のお知らせとお礼―
ひと呼吸して、息を調えて2020年6月1日月曜日。世の中が動き出そうとしています。
これまで休業していた飲食店も、次々と再開しています。
といっても「よし、いくぞ!」ではなくて、慎重に、キョロキョロと周りを見ながら、歩幅を小さくしての歩み出しといった感じですね。

5月25日に緊急事態宣言が前倒しで解除され、26日から東京都は休業要請の緩和をスタート。ステップ1として

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「銀座・器楽亭」浅倉鼓太郎さん、5月28日の答。

「銀座・器楽亭」浅倉鼓太郎さん、5月28日の答。

―コロナとともに―

WHOがパンデミックを認定した5日後の3月16日、「銀座・器楽亭(きらくてい)」はオープンした。
その約3週間後には非常事態宣言。店主、浅倉鼓太郎さんは真新しい店の休業を決めた。けど、彼は下を向かない。顔を上げて前を向く者にしか、道の先は見えないから。

銀座は人がいない街
12年間営んだ杉並区久我山から、銀座に移って約2カ月半になります。割烹「銀座・器楽亭」を銀座6丁目にオ

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「ワルツ」大山恭弘さん、5月26日の答。

「ワルツ」大山恭弘さん、5月26日の答。

―静かな暮らし―

「バー」への要請は、時短ではなく完全休業。「Wine Stand Waltz(ワイン スタンド ワルツ)」が店を閉めて2カ月あまりになる。売上はないが、しかし家族3人の静かな暮らしは可能。店主、大山恭弘さんがコロナ以前から選んでいた、従業員なし、小さな店という「背負わない」強さ。

背負わない道を選んだ「ワルツ」はもう2カ月近く、4月1日の水曜日から休んでいます。
3月31日ま

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「レフェルヴェソンス」生江史伸さん、5月25日の答。

「レフェルヴェソンス」生江史伸さん、5月25日の答。

―社会活動―

自身のレストラン「レフェルヴェソンス」は2カ月間の完全休業。その間、生江史伸(なまえ しのぶ)シェフは署名活動、政治家への陳情、闘うための海外リサーチに草案作りと駆け回った。飲食店と、彼らが作る食文化を守るため。大きくてのんびりとした山が、しかし確かに動き始めた緊急事態宣言解除の夜。

飲食業は、もの言わぬ産業そもそも僕はコロナ禍以前から、日本の食文化を守り、飲食業の社会的地位を認

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「オルランド」小串貴昌さん、5月23日の答。

「オルランド」小串貴昌さん、5月23日の答。

―営業+親切すぎないテイクアウト―

自称、わがまま。「オルランド」オーナーシェフの小串貴昌さんは、自分がしたいことしかしない。だから誰のせいにもしない。と言うけれど、その行動は案外、誰かのためだったりもする。人の心を楽しくさせるため、今がおいしい野菜を余らせないために考えた、親切すぎないテイクアウト。

ハードルを微妙に上げてあげる
テイクアウトは4月8日(緊急事態宣言の翌日)から始めて、最初は

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「葡呑」中湊 茂さん、5月19日の答。

「葡呑」中湊 茂さん、5月19日の答。

―小さく営業―

「葡吞(ぶのん)」の厨房にはどこでもドアがある。そう噂されるくらい、いつの間にか地球のどこかに飛んでいる店主、中湊 茂さん。「時間もお金も、人に会うということ以外に遣う意味はない」を信条とする人が、どこでもドアを使えなくなった、今。

店が鳴っているような感覚「葡呑」は本来〝密〟なんです。密集というよりも、熱量の濃密さというか。たとえば会社員のグループが楽しく吞むような早い時間か

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「ヴォーロ・コズィ」西口大輔さん、5月18日の答。

「ヴォーロ・コズィ」西口大輔さん、5月18日の答。

―2カ月の休業、テイクアウトと宅配―

閑静な白山の街で、イタリアそのままを続けて14年。「ヴォーロ・コズィ」西口大輔シェフが、初めて「料理を店の外に出す」ということをした。SNSとも無縁だから、宣伝なし、予約制、リストランテと同じ手間を掛けた、いわばアナログなテイクアウト。その試みを支えているのは、常連たちとの深いつながりだ。

落ち着いた街、長いつき合いの常連さん
とにかく、お店を閉めなければ

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「眠庵」柳澤 宙さん、5月16日の答。

「眠庵」柳澤 宙さん、5月16日の答。

―淡々と営業―

2004年、神田の古民家で開店し、2020年で16年。「眠庵(ねむりあん)」の柳澤 宙(やなぎさわ ひろし)さんの前職は化粧品会社の研究員、その前は大学で応用微生物学を専攻。世界を微生物の目から見る蕎麦職人は、人類未曾有の危機にどう対峙したのだろう?

世界が変わったのは、3回目
世界が変わったな、と感じました。
この感覚は、2001年の9・11(アメリカ同時多発テロ)、2011

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「荒木町 きんつぎ」佐藤正規さん、5月15日の答。

「荒木町 きんつぎ」佐藤正規さん、5月15日の答。

―要請に準じた通常営業―

2018年7月に開店して、もうすぐ2周年。「荒木町 きんつぎ」は、アイデア溢れる和食と日本酒で荒木町に新風を吹き込んだ。飲食店が必要とされる今と未来を疑わない、1986年生まれの店主が選んだ答は「通常営業」。

自分たち以外の理由で売上が落ちること僕らはテイクアウト、デリバリーなどは一切していません。
「通常営業が営業だ」という気持ちを強く持っているので、これまでイベン

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「すし 㐂邑」木村康司さん、5月15日の答。

「すし 㐂邑」木村康司さん、5月15日の答。

―クローズ―

今やミシュラン二つ星の「すし 㐂邑(きむら)」には、店主の木村康司さん曰く「どん底」の8年間がある。だから彼が「生きていればなんとでもなる」と言うのなら、それは綺麗ごとでなく、経験を伴う本心だ。何度でもゼロから始められるという自信を持って命を守る、クローズという答。

平等に、来週の分だけ、早いもの勝ち
僕、もうすぐ50歳になるんですよ。長年かけて自分が蓄えてきた知識や技術を、そろ

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「パッソ・ア・パッソ」有馬邦明さん、5月7日の答。

「パッソ・ア・パッソ」有馬邦明さん、5月7日の答。

―ご近所営業―

イタリア料理店「パッソ ア パッソ」は門前仲町で18年。有馬邦明シェフは自ら日本各地へ足を運び、生産者たちと交わってきた。一方で祭りを愛し、町会のゴミ拾いにも参加する地元密着の人でもある。地に足をつけ、身の丈を信条とするシェフの答は、街への思いに溢れていた。

いつだって、明日はどうなるかわからない
こんな経験はもちろん、誰もがまったくしたことなんてないですよね。どうすればいいか

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