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【フェアンヴィ】第47話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 暗示 シオンは想定外の現実に唖然としていた。チュチタ国の東側沿岸につけた船の上にある参謀本部では、ユリの指揮する軍がチュ…
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【フェアンヴィ】第46話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 綻び 目を開けると灰色の天井があった。ベッドに横になっている。手足の自由がきく。毛布をめくり衣服も着ていることを確認する…
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【フェアンヴィ】第45話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 共通点 「ロトが行方不明?」 トーマンの落胆ぶりに、王宮警備副隊長はひたすら頭を下げた。 「申し訳ありません。新兵の行進に…
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【フェアンヴィ】第44話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 戦火 西門に敵の姿はなかった。普段は使われない小さな門のため、注目されなかったのかもしれない。馬を降りなければ通れない小…
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【フェアンヴィ】第43話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 人質 ルービスはガチガチと歯を震わせながら「ちがう」と声に出した。だが、シオンはまったく意に介さない。 「あのやたらと平和…
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【フェアンヴィ】第42話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 同盟 島の東側に位置し、北をサーブ王国・西をマラハラ国・南をカツタフォルネ国に囲まれるユリ領は、ユリが支配をしている領地…
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【フェアンヴィ】第41話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 砂塵の彼方 砂塵の中に入ってどれだけの時間が過ぎたのだろうか、四方八方から砂が打ち付けてくる。ルービスは布をきつく巻いた…
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【フェアンヴィ】第40話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 砂嵐 マラハラ国を北に進むと、丘が多くなってくる。丘から小山と呼べるようなものまで乱立しはじめ、その山裾を抜けてたどり着…
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【フェアンヴィ】第39話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 心の内 ケディとエクシードは道の端、岩の上に腰を下ろしているルービスの背中を見つめていた。まだ月が明るく見える夜明け前だ…
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【フェアンヴィ】第38話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 凶報 袖口のカフスをはめていると、控えめなノックの音がした。まだ部屋は暗く、明かり取りの窓からの光源も部屋のすべてにいき…
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【フェアンヴィ】第37話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 共振 ディーブは美しく食事を摂る。優雅に、無駄なく、美しい。ルービスは久しぶりに見るディーブの食事姿に見惚れていた。以前…
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【フェアンヴィ】第36話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 情願 店に入ろうとすると、ドアが開きトーマンが姿を見せた。 「これはこれは。お元気そうですな」 跳ねるように抱きついてき…
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【フェアンヴィ】第35話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 再会 「さあ! 出発しよう!」 ルービスは胸に出来たての地図を、背中に機械を背負って手を振り上げた。機械はルービスが背負う…
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【フェアンヴィ】第34話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 価値 「す…すみません!」 足を押さえながら謝ってきたのはまだ小さな子どもだった。 「どうしたの?」 ルービスは少年を起こ…
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【フェアンヴィ】第33話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門 文化の国 マラハラ国までやってくると、さすがに気候の違いを感じた。夕方近くになり、風の冷たさも手伝って今まで経験したこと…
【フェアンヴィ】第47話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
暗示
シオンは想定外の現実に唖然としていた。チュチタ国の東側沿岸につけた船の上にある参謀本部では、ユリの指揮する軍がチュチタ軍に圧され攻めあぐねていた。予定では少なくとも王宮まで軍が侵攻しているはずだった。ここへ来るまでの道中でこの状況を作ったであろう元凶を知ってしまったシオンは包み隠さず報告するしかなかった。
「早馬?」
ユリはシオンの報告にそ
【フェアンヴィ】第46話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
綻び
目を開けると灰色の天井があった。ベッドに横になっている。手足の自由がきく。毛布をめくり衣服も着ていることを確認する。期待とともに内腿を探るが短剣ははなかった。
夢ではない、とルービスは息を大きく吐いて起き上がった。
(ここはどこだろう)
部屋を見回すと、人質にしては随分豪華な部屋だ。広さはそれほどないが机や椅子もある。窓には鉄格子がはまり
【フェアンヴィ】第45話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
共通点
「ロトが行方不明?」
トーマンの落胆ぶりに、王宮警備副隊長はひたすら頭を下げた。
「申し訳ありません。新兵の行進に参加されていた御子息が戻ってきていないことを知り、血相を変えて飛び出したきり姿が見えないのです」
「…タオの件か」
「はい。ご存知でしたか。それ以前に、隊長は、その…ルービス様が行方不明になられてからも気が違ったように国中を捜索
【フェアンヴィ】第44話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
戦火
西門に敵の姿はなかった。普段は使われない小さな門のため、注目されなかったのかもしれない。馬を降りなければ通れない小さな門を、悲壮な顔をした門番と対面しながら通り抜ける。
「3日前、なんの警告もなく、海と正面門から一斉攻撃が開始されて…」
「サーブ王国か」
トーマンが口を開く前に後ろから足早に追いついたディーブが確認する。トーマンが話すまでも
【フェアンヴィ】第43話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
人質
ルービスはガチガチと歯を震わせながら「ちがう」と声に出した。だが、シオンはまったく意に介さない。
「あのやたらと平和な世界ばかり求める腑抜け王子…。女がいたとはな。なかなか甲斐性があるじゃないか、見直したぞ」
ルービスの目の前まで進み、しゃがんでルービスの顔をじっくりと眺める。
「会っただろう? 腑抜け王子と。一晩過ごしたか? 大事な思い出
【フェアンヴィ】第42話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
同盟
島の東側に位置し、北をサーブ王国・西をマラハラ国・南をカツタフォルネ国に囲まれるユリ領は、ユリが支配をしている領地である。
今、マラハラ国が砂嵐によって二つに分かれる機会を使い、マラハラの王族並びに貴族はすべて、ユリによって捕らえられていた。砂嵐が晴れればマラハラは南の土地も奪われることになる。すでに国のトップは人質、あとは簡単なことだ。
【フェアンヴィ】第41話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
砂塵の彼方
砂塵の中に入ってどれだけの時間が過ぎたのだろうか、四方八方から砂が打ち付けてくる。ルービスは布をきつく巻いたが、体中砂だらけになってしまっている。目も開けていられないが、開けたところで視界はゼロだし日暮れのように薄暗く、方向もわからなくなってしまう。荒れ狂う馬を宥め、走らせ、砂が晴れると日が高く上がっていた。
激しく咳き込んで周りを見
【フェアンヴィ】第40話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
砂嵐
マラハラ国を北に進むと、丘が多くなってくる。丘から小山と呼べるようなものまで乱立しはじめ、その山裾を抜けてたどり着くと、ルービスが初めて見る景色が広がっていた。
目の前には見上げる高さの砂煙が立ち上がっていた。黒い雲が地面まで降りてきているようだ。
「なにあれ」
ルービスは眉をひそめてそれを見た。
「こりゃあ、悪い時期にぶつかっちまったな
【フェアンヴィ】第39話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
心の内
ケディとエクシードは道の端、岩の上に腰を下ろしているルービスの背中を見つめていた。まだ月が明るく見える夜明け前だ。その背中が小さく、頼りなげない女性でもあることに今更ながらに気づいた。
足音に気づき振り返った顔は、月光に照らされた部分だけでも緊張していることが伺えた。
「やっぱり置いていこうとしたんだね」
ルービスの視線は2人のフル装備
【フェアンヴィ】第38話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
凶報
袖口のカフスをはめていると、控えめなノックの音がした。まだ部屋は暗く、明かり取りの窓からの光源も部屋のすべてにいきわたっていない。きっとまだ寝ていると思っての配慮のあるノックなのだろう。
ドアを開けると、すでに支度を整えているディーブを見て驚いた表情のトーマンが立っていた。
「早朝から申し訳ありません」
言いながら視線を奥に走らせている。
【フェアンヴィ】第37話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
共振
ディーブは美しく食事を摂る。優雅に、無駄なく、美しい。ルービスは久しぶりに見るディーブの食事姿に見惚れていた。以前は自分もマナーを習って付け焼刃ではありながらも同じように食事をしていたのが夢のようだ。ケディ達は、お世辞にもマナーが良いとは言えない。
「どうした? 今度は何が気になる?」
ディーブはルービスが食事も忘れて自分を見つめているため
【フェアンヴィ】第36話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
情願
店に入ろうとすると、ドアが開きトーマンが姿を見せた。
「これはこれは。お元気そうですな」
跳ねるように抱きついてきたルービスを、トーマンは控えめに抱き返した。
「殿下、ここで一泊しますか?」
トーマンの言葉にルービスは驚いて見上げる。トーマンはお得意のウインクを返してきた。
「できるか?」
「それは殿下次第でございます」
ディーブは頭を
【フェアンヴィ】第35話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
再会
「さあ! 出発しよう!」
ルービスは胸に出来たての地図を、背中に機械を背負って手を振り上げた。機械はルービスが背負うと随分小さく感じる。
「おいケディ、あのルービスが背負っているがらくた、あれなんだ?」
エクシードがケディに耳打ちした。
「ばかやろう! あれはがらくたなんかじゃねえ。イッサクだ!」
ケディは指を立てた。
「はあ?」
眉を
【フェアンヴィ】第34話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
価値
「す…すみません!」
足を押さえながら謝ってきたのはまだ小さな子どもだった。
「どうしたの?」
ルービスは少年を起こしてやって、背中になにか機械がくっついているのを見た。
「なにこれ」
四角い箱のような形の金属に、針金のようなものが付いている。
「うん…別にいいだろ」
少年はまだ足をさすっている。
ルービスは上を見上げて近くに建物がな
【フェアンヴィ】第33話~2024年創作大賞応募作品~
#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門
文化の国
マラハラ国までやってくると、さすがに気候の違いを感じた。夕方近くになり、風の冷たさも手伝って今まで経験したことのない身震いを経験する。ルービスは震えながらも食い入るように地図とにらめっこしていた。
今ルービスが見ている地図は、トーマンにもらった地図ではなくケディの地図だ。トーマンからもらった地図は国境や国の形など詳細に描かれているが、ケ