学部時代の習作、『地平の呼び声』から。 献身の樹木 熱を失った秋の空中に 重く垂れこめる 燃え尽きた雲の下 唯一彩りを添える 散りかけの葉々は 冷たい雨に 幹や枝を震…
学部時代の習作、『地平の呼び声』から。 貝の熟眠 顕現した太古の化石 それは黒化した二枚貝だ 何百万年前 開かれた未来を前にした貝は 死して、尚 継続する時間をその…
学部時代の習作、自作詩集『地平の呼び声』から。 微笑 控えめな微笑みに 私は何を見よう 毎夜 闇との戦いに身を投じる 苦悩か 迫り来る時の流れに対する 諦めか はたま…
学部生の頃の習作、自作詩集『地平の呼び声』から。 木 雨上がりの空間に あらゆる物を浮き立たせる 太陽光線のうちで 静かに微笑する木々よ 枝や葉を支え得るのは 大地…
朝、いつもより早く目が覚めた。手探りで枕の下のスマホをつかみ、Googleの検索欄に「行動への情熱」と打ち込む。約14,800,000件ヒット。いつも通り、すべて海外旅行案内…
黒歴史として封印したはずの自作詩集『地平の呼び声』から 目を閉じてごらん そこは闇がぽっかり 無限に拡がる夜の世界 目を開くと君は 部屋の中に一人きり 窓に映る空は …
黒歴史として封印したはずの自作詩集『地平の呼び声』から。 幼い頃いつも感じていたあの頭上の羽ばたき あの頃の世界を統べるに相応しい とんびの羽ばたきは 手の届かぬ…
yam
2023年7月8日 03:26
学部時代の習作、『地平の呼び声』から。献身の樹木熱を失った秋の空中に重く垂れこめる燃え尽きた雲の下唯一彩りを添える散りかけの葉々は冷たい雨に幹や枝を震わせながら落下の時まで燃焼をやめない
2023年7月8日 03:15
学部時代の習作、『地平の呼び声』から。貝の熟眠顕現した太古の化石それは黒化した二枚貝だ何百万年前開かれた未来を前にした貝は死して、尚継続する時間をその黒に秘めたそして、今我らと彼らの時間が重なるさあ、転化しよう我らの時間を目指すところは死を超えた貝の時間もはや生の流れが絶えたところ死して、尚存在する確証を求め残せよ
2023年6月18日 17:04
学部時代の習作、自作詩集『地平の呼び声』から。微笑控えめな微笑みに私は何を見よう毎夜闇との戦いに身を投じる苦悩か迫り来る時の流れに対する諦めかはたまた原始の存在に宿るとされる優しさか君は耐えている微笑それは自分の重さを現在から解放し時空の中へ拡散させる唯一の魔法
2023年6月15日 20:50
学部生の頃の習作、自作詩集『地平の呼び声』から。木雨上がりの空間にあらゆる物を浮き立たせる太陽光線のうちで静かに微笑する木々よ枝や葉を支え得るのは大地から生成する強さの故か斯く在ることを軽々と耐えていくお前たち穏やかな顔で独り立つ木々よその生存の極意を授け給えまさか雨によってすべて洗い流し原始の姿で光のうちによみがえるそんなこともあるまいに
2023年6月12日 03:17
朝、いつもより早く目が覚めた。手探りで枕の下のスマホをつかみ、Googleの検索欄に「行動への情熱」と打ち込む。約14,800,000件ヒット。いつも通り、すべて海外旅行案内か自己啓発のサイトだ。違う、俺が求めているのはそんなものじゃない。ネット上に、おれを行動へ駆り立てるきっかけは存在しないのだろうか。探し始めてからもう長い。探索のフィールドとしてネット空間は無限の可能性を秘めていると思い込ん
2023年6月12日 02:41
黒歴史として封印したはずの自作詩集『地平の呼び声』から目を閉じてごらんそこは闇がぽっかり無限に拡がる夜の世界目を開くと君は部屋の中に一人きり窓に映る空は赤く染まった郷愁さ窓辺に寄ってみなよそろそろ時間だぜ陽が完全に沈んで外に夜が訪れるとき微かな親しみが身の内にぽっと生まれるそのときだよ君が窓を開けるのは世界空間をはらんだ風が君の内部に流れ込み押し出された
2023年6月11日 01:26
黒歴史として封印したはずの自作詩集『地平の呼び声』から。幼い頃いつも感じていたあの頭上の羽ばたきあの頃の世界を統べるに相応しいとんびの羽ばたきは手の届かぬ空中に融け去ったのだろうかそれとも今も優雅に私の内を滑空しているのだろうかそうだ私の手から肉を奪い取るのと引き換えに彼はその存在を幼い人間に託したのだそうして内面世界を飛び回るとんびはいつも私を見つめている失われた没我