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黒歴史として封印したはずの自作詩集『地平の呼び声』から



目を閉じてごらん
そこは闇がぽっかり
無限に拡がる夜の世界
目を開くと君は
部屋の中に一人きり
窓に映る空は
赤く染まった郷愁さ

窓辺に寄ってみなよ
そろそろ時間だぜ
陽が完全に沈んで
外に夜が訪れるとき
微かな親しみが
身の内にぽっと生まれる

そのときだよ
君が窓を開けるのは

世界空間をはらんだ風が
君の内部に流れ込み
押し出された中身は
宇宙の果てまで膨張してゆく
夜を共通項に
内部と外部の転換が起こったのさ

もう一度、目を閉じてごらん
君は見るはずだ
内部に拡がる夜の闇に
地殻を浮き立たせ発光する
無数の星々を


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