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「メディア執筆」マガジン

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新聞や雑誌などに寄稿した文章の草稿を転載したノートをまとめたもの
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#経済学

書評:なぜ男女の賃金に格差があるのか

書評:なぜ男女の賃金に格差があるのか

さきほど2023年度のノーベル経済学賞の会見が行われ、労働経済と経済史を専門とする クラウディア・ゴールディン氏|ハーバード大学教授 の受賞が発表されました。おめでとうございます🎉

女性の受賞は、エリノア・オストロム氏(2009年)、エステル・デュフロ氏(2019年)に次いで3人目、女性の単独授賞は初めての快挙となります。

受賞理由は「女性の労働市場における成果についての私たちの理解を前進さ

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あすを探る:経済学でお金儲け!?

あすを探る:経済学でお金儲け!?

2020年9月24日(木)の朝日新聞[あすを探る]に、経済学のビジネスへの活用をテーマとする論考を寄稿しました。私が Economics Design Inc. を共同で創業したことにも関係する記事です。以下に転載させて頂きます。

経済学でお金儲けできる?

 「経済学は役に立たない。もし役に立つのなら、経済について詳しいはずの経済学者はお金持ちになっているはずだ」。ときどき、こんな意地悪な発言

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身近に使えるミクロ経済学

身近に使えるミクロ経済学

『週刊東洋経済』(2016年10月1日号)に寄稿した
・特別講義:身近に使えるミクロ経済学
の草稿バージョンを以下に転載します。【補足1】と【補足2】は新たに追記しました。ゲーム理論や行動経済学から、ビジネスなどに活用できる知見を紹介する内容です。ぜひご参考下さい。

特別講義:身近に使えるミクロ経済学 経済学的知見が一国の政策や国民の生活に取り入れられてきたことは間違いありません。近年では、マク

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オークション理論とビジネスへの実践

オークション理論とビジネスへの実践

『一橋ビジネスレビュー 2013 Summer』(61巻1号)の特集「市場と組織をデザインする ビジネス・エコノミクスの最前線」に寄稿した
・マーケットデザインの理論とビジネスへの実践
という拙稿から、オークションの理論と実践に関連する第2章「オークション設計」を以下に転載します。

2. オークション設計 インターネット・オークションから築地の卸売市場、競売物件や国債の売却、そして米メジャーリー

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周波数オークション設計の課題 正直な入札行動導く制度に

日本経済新聞「経済教室」(2012年5月31日・朝刊)より転載。
【補足1】〜【補足3】については新たに追記。

<ポイント>
・ビックリー氏は戦略的に単純な入札を考案
・最も評価額高い買い手が購入する仕組みに
・英国は経済学者の提案に基づき新方式採用

 インターネットオークション(競売)から東京・築地の卸売市場、競売物件や国債の売却、そして米メジャーリーグのポスティング制度に至るまで、

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注目集まる「マーケット・デザイン」  欧米の制度設計で適用

日本経済新聞「経済教室」(2008年6月5日・朝刊)より転載。
【補足1】〜【補足4】については新たに追記。

<ポイント>
・「メカニズム・デザイン理論」の実践進む
・制度設計、市場の特性見極めが重要
・周波数オークションや学校選択制で成功

 2007年のノーベル経済学賞がメカニズム・デザイン理論の確立に対してレオニード・ハーヴィッツ米ミネソタ大名誉教授、エリック・

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コロナ時代の新教養:今読むべき5冊

コロナ時代の新教養:今読むべき5冊

(一番下に【追記】あり)

本日発売の『週刊東洋経済』(8/9-15合併号)の「今読むべき5冊」というコーナーに寄稿しました!一見するとテーマや背景などがバラバラに見えるけれど、実は繋がっている(?)経済書5冊をおすすめしています。

取り上げた5冊は以下になります。素晴らしい記事に仕上げてくださった担当編集者のYさんに感謝します。ぜひご一読いただければ幸いです^^

『アイデアのつくり方』 ジェ

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「買い占め」問題は解決できるのか?

「買い占め」問題は解決できるのか?

3月11日に、日経ビジネスオンラインに「買い占め騒動」に関する次の記事を寄稿しました。

『買い占めに走る消費者は「間抜け」なのか?
ゲーム理論「協調ゲーム」で考える消費者行動の合理性』

協調ゲームというゲーム理論の分析ツールを使って
・なぜ買い占めが起きるのか?
・どうすれば解決できるのか?
を考察する内容です。(こちらのnote記事もご参照下さい)

ただ、この記事では主に「買い占め」問題の

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ゲーム理論で分かる「買い占め」問題

ゲーム理論で分かる「買い占め」問題

掲載から少し時間が空いてしまいましたが、3月11日に日経ビジネスオンラインに「買い占め騒動」に関する次の記事を寄稿しました。

『買い占めに走る消費者は「間抜け」なのか?
ゲーム理論「協調ゲーム」で考える消費者行動の合理性』

ゲーム理論でよく用いられる「協調ゲーム」(コーディネーション・ゲーム)という分析ツールを使って
・なぜ買い占めが起きるのか?
・どうすれば解決できるのか?
を考察する内容で

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あすを探る:増税と経済学の課題

あすを探る:増税と経済学の課題

本日(9月26日)の朝日新聞朝刊・オピニオン欄「あすを探る」に

・MMT[現代貨幣理論]のアラ探しだけでは 

と題する論考を寄稿しました。論壇委員6名が毎月交代で執筆するコーナーで、僕の記事が掲載されるのは今回が初めてです。(なかなか、あすを探ることができず執筆にかなり苦労しました… いろいろとサポートして下さった、編集担当の高重治香記者に本当に感謝です m(_ _)m)

消費増税間近という

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経済学ってどんな学問?

経済学ってどんな学問?

以下は、『学研・進学情報』(2018年1月号)という雑誌に掲載されたインタビュー記事の草稿です。将来的に経済学部への受験を考えている高校生や関係者の方だけでなく、少しでも経済学に興味のある方はぜひご一読頂けると有難いです。学問としての経済学の特徴や最近のトレンド、数年前にブームとなったピケティ本の要約など、盛りだくさんのインタビューになっています!

経済学は、当事者目線で問題を考える学問です。安

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レヴィット ミクロ経済学:監訳者「序文」

レヴィット ミクロ経済学:監訳者「序文」

 ミクロ経済学に待望の中級テキストが刊行された!スティーヴン・レヴィット、オースタン・グールズビー、チャド・シヴァーソンという、シカゴ大学が誇る三人のスター教授たちによるMicroeconomics(Worth Publishers,2013)である。本書『レヴィット ミクロ経済学』はその邦訳で、原書が700ページ以上の大ボリュームのため、読者の使いやすさを配慮して基礎編と発展編に分けて刊行するこ

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入門オークション:監訳者「解説」

入門オークション:監訳者「解説」

 『入門オークション 市場をデザインする経済学』は、オークションに関する待望の入門テキストである。数式を一切用いることなく、オークション理論のエッセンスをわかりやすく説明し、さらに様々な応用例や実践例を紹介しているのが本書の大きな特徴だ。終章の「考察」を除いた残りの全8章のうち、その半分にあたる前半の4章で理論の解説を行い、後半の4章で個別の問題を分析する、というバランスの良さも特筆に値する。これ

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