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ショートシュート

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短編集を集めてみました
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#くだらない話

ある霊能者(380字の小説)

ある霊能者(380字の小説)

ある霊能者が、私に向かって
「貴方は凄い能力の持ち主だ。
修行すれば、かなりの力を得るであろう」
と、言ってくる。
おだてに弱い私は、その言葉を信じて修行を重ね遂に
霊能力を身に付ける。

私には観える。
その人の運命が、手に取る様に解る。
だが、只では教えてはあげない。
修行に元でが掛かっているからだ。
私は、路上で占いの商売をやり始めた。
私の占いは当たる、と評判となり多くの
人達が私の元にや

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春の夢(420字の小説)

春の夢(420字の小説)

「春の夢?
別に夢は春だけでは無いでしょ。
夏だって、秋だって、冬だって、夢はあるでしょう。」
と、冬が冷たく言った。
「そうだよ、春だけなんて可笑しいぞ!」
と、夏が熱く語る。
「まあまあ、皆さん冷静になって」
と、涼しげに秋が言う。
「でも、春と私は姉妹なのに春だけなんて、ズルい」
秋は拗ねている。
「みなさん、ごめんなさい。私、国民の多くの人達に
一番好かれているので、『春の夢』として選ばれ

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未来に行ける眠り薬(パート3)(460字の小説)

「お父様、私未来に行ってみたいです
この薬を飲めば三十年後の世界に
行く事ができます」
と、純情可憐なお姫様が、
新薬の眠り薬を王様に差し出しながら
嬉しそうに言う
「三十年後の未来だって⁉️ 何故、未来に行きたいのだ。」
と、訝しい思いで、王様は尋ねる。

「だって、多くの男達が、私をストーカーしてくるの。
私、怖くて街にも一人で行けないの。
未来に行けばもっと安全な世界だわ。」

「でも、その

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行列の出来るリモコン(440字の小説)

行列の出来るリモコン(440字の小説)

年金暮らしの老人には生活の余裕は無い。
今日も無料で食べれる「炊き出し鍋」に来ている

親切なボランティアの団体が
無料で食事を振る舞ってくれ大助かりだ
私と同じ老人達が群れを成す。
行列は毎度の事、無料だから待つ値打ちがある。

街をぶらついていると、長い行列に出くわした。
習性とは恐ろしいもので、行列を見ると、
つい並びたくなる。
何の行列か尋ねてみると、
リモコンを無料でくれるらしい。

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ドローンの課長(410の小説)

ドローンの課長(410の小説)

「太陽がいっぱいを知っている人?」

…太陽がいっぱいって何?
太陽って一つでしょ。…

課長は解らない事を平然と言う。

「君達、知らないのかい?
有名なフランス映画。
自慢する訳では無いが、
僕が若い頃あの主演の男優に
似ていたんだぞ。」
と、課長の自慢が始まった。

でも、ここで嫌な顔をすると、
課長に悪い気持ちにさせてしまう。

ここは大人の対応だ
「えっ!課長はフランスの映画俳優に
似て

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あほやん 切望から・・・・(1620字)

あほやん 切望から・・・・(1620字)

待ちに待ったクリスマス。
好きな彼女と二人で過ごせるクリスマス。
そして、今日こそ・・・。

デートコースを順調に済ませ、最後のディナーに彼女をいざなう。
此処は高級料理店。
予約もそう簡単には取れないお店。

二人きりの個室に案内された僕は、夢心地。
彼女もきっと喜んでくれているはずだ。
彼女の笑顔でそれが判る。
美味しそうな料理が運ばれてくる。

豪華な料理を見て、微笑む彼女。
その彼女の姿を

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月に帰るか!かぐや姫(400字の小説)

月に帰るか!かぐや姫(400字の小説)

「お爺様お婆様。私は今夜、月に帰らないといけません
私を育てて頂き有難う御座います
この御恩は、一生を忘れる事は出来ません」
と、涙の表情が、かぐや姫の心痛を表している
「大丈夫だ、姫よ。そなたを誰にも渡さない!
強者の兵も多勢来ておる安心しておくれ」
と、爺さんは自信の面構えだ。
婆さんは、かぐや姫に寄り添い肩を抱きしめる
だが、かぐや姫の表情は暗く切ない

「お爺様、私は帰らなければならないの

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全知全能の神ゼウス(400字の小説)

全知全能の神ゼウス(400字の小説)

聞いた話によると、ギリシャ神話に出てくる神ゼウスは女好きらしい。
ゼウスと言えば、最高神で全知全能らしい。
その神(ゼウス)が、ある人の妻に惚れ、その妻を得ようと
白鳥に化身し、鷹に襲われる様に画策した
傷ついた白鳥(ゼウス)を、その妻は手当をする。
ギリシャの神は、煩悩だらけで、自己中心。
自分の欲望を叶える為には手段を選ばない。

法華経以前の仏教は、人間の煩悩を断つことを説いたが、
法華経で

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戦争を知らないジジイ達(830字)

戦争を知らないジジイ達(830字)

キノコ雲の下で何が起こっているのか?
パイロットは知らない。
爆弾を投下した人も知らない。
命令され任務を忠実に遂行しただけ。
一発の核兵器が、多くの人達の生命を一瞬で奪った事に
気付いたのはいつの事なのか?
その時、彼らはどの様に感じたのだろうか?
自分自身の罪の重さを感じたのだろうか?
それとも、「任務を遂行しただけ」と悪びれずにいたのだろうか?
原爆を投下する事を決定した当時のアメリカの首脳

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蜘蛛のイト(700字の小説)

蜘蛛のイト(700字の小説)

俺は地獄に落とされた
俺の生き様を考えたら当然の結果だ

地獄の鬼達は、俺を恐れている
鬼が俺を見るたびに、怯えて逃げる
閻魔大王も逃げて行った
俺は地獄の首領となる

俺は地獄で好き放題
最高の居場所だ
ある日、天から蜘蛛の糸の様な物が降りてきた
不審に思い触ってると、体に絡まり動けない
そのまま俺は地獄から引きずり出され天国にいた
ここは善人達の集まりだ
こんな弱々しい所じゃ面白くも無い

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