公益社団法人やどかりの里

1970(昭和45)年に“ごく当たり前の生活を”求めて始まった私たちの活動は,効率だけ…

公益社団法人やどかりの里

1970(昭和45)年に“ごく当たり前の生活を”求めて始まった私たちの活動は,効率だけが優先される社会ではなく,一人一人が尊重され大切にされる社会を,そして,障害のある人も一人の市民として共に生きる街づくりをめざし,活動しています.

記事一覧

遠くても近い存在

 1年ほど前,大学時代の仲間たちとおよそ 20 年ぶりに再会した.横浜の中華街で中華料理を堪能し,紹興酒を飲み干し,ホテルに泊まって明け方まで語り明かした.再会を約…

餅と家族

 新しい年を迎える準備の中で,食べ物の準備は欠かせない.年越しそばやお節など,年末年始は美味しいものがいっぱい.なかでも,餅を食べると「お正月だな~」と感じる人…

かあさんはかあさんのままでいい

「かあさん,もうあの学校には行かない」.ベッドに伏せながらきっぱりと告げた息子.いじめにあったわけでもない.授業がぎっちり詰まる中,部活にも打ち込んでいた彼は,…

国による隔離政策を考える 施政権返還50年の沖縄から

 7月18日,第78回精神保健シンポジウム「施政権返還50年−未来への回想 国による隔離政策を考える」が開催された(主催:日本精神衛生会,「国による隔離政策を考える」…

障害者総合支援法改正の審議が進む中でグループホームの使命とは

 2021 年 12 月 16 日,厚生労働省社会保障審議会障害者部会(以下,社保審)が「障害者 総合支援法改正法施行後3年の見直しについて中間整理」を公表した.  2021 年…

ヤギが人・自然・地域をつなぐ

 未来を拓く つなぐ・つくるプロジェクト (以下,プロジェクト)の3年目がスタート した.COVID-19 感染拡大による混乱と困惑 の1年目.1年目の遅れを取り戻すかの如…

遠くても近い存在

遠くても近い存在

 1年ほど前,大学時代の仲間たちとおよそ 20 年ぶりに再会した.横浜の中華街で中華料理を堪能し,紹興酒を飲み干し,ホテルに泊まって明け方まで語り明かした.再会を約束して別れ,その後,さまざまなことを我慢する日々が来るとは思っていなかった.

 大学があるのは愛知県知多半島.当時,県外からの学生が約8割で,下宿生活を送る人も多く,再会した仲間も下宿生活の中で親交を深めた間柄だ.生活費が底をつけば手

もっとみる
餅と家族

餅と家族

 新しい年を迎える準備の中で,食べ物の準備は欠かせない.年越しそばやお節など,年末年始は美味しいものがいっぱい.なかでも,餅を食べると「お正月だな~」と感じる人も多いのではないだろうか.

 母は,熊本県・天草で生まれ育ち,母自身も小さい頃から餅つきは毎年恒例だったようだ.まだ祖父母が健在だった頃は,年末になると天草から「こっぱ餅」(いもと砂糖を搗きこんだ餅)が送られてきた.今でも正月には,「こっ

もっとみる
かあさんはかあさんのままでいい

かあさんはかあさんのままでいい

「かあさん,もうあの学校には行かない」.ベッドに伏せながらきっぱりと告げた息子.いじめにあったわけでもない.授業がぎっちり詰まる中,部活にも打ち込んでいた彼は,大会を終えた翌日からぱたりと学校に行かなくなった. そしてはひたすら眠っていた.「行かない」と身体を硬くする彼に,ただならぬ何かも感じた.「何してんだろな,オレ」とベッドの上で呟いた言葉も胸に響いた.

 一方で,夜中にネットゲームを楽し

もっとみる
国による隔離政策を考える 施政権返還50年の沖縄から

国による隔離政策を考える 施政権返還50年の沖縄から

 7月18日,第78回精神保健シンポジウム「施政権返還50年−未来への回想 国による隔離政策を考える」が開催された(主催:日本精神衛生会,「国による隔離政策を考える」実行委員会,おきなわ障害者人権センター).
 前日にオプショナルツアーがあり,沖縄島北部の私宅監置小屋,屋我地島の国立療養所沖縄愛楽園を巡った.

 沖縄特有のスコールに見舞われながら向かった集落の,すでに主のいない母屋の離れに監置小

もっとみる
障害者総合支援法改正の審議が進む中でグループホームの使命とは

障害者総合支援法改正の審議が進む中でグループホームの使命とは

 2021 年 12 月 16 日,厚生労働省社会保障審議会障害者部会(以下,社保審)が「障害者 総合支援法改正法施行後3年の見直しについて中間整理」を公表した.

 2021 年3月からの見直しの経過の中で,障害のある人の居住支援について,グループ ホーム(以下,ホーム)に標準利用期間を設け, 1人暮らし等への移行を訓練して推進する新 たな類型を創設する案が示された.

 社保審で 検討される

もっとみる
ヤギが人・自然・地域をつなぐ

ヤギが人・自然・地域をつなぐ

 未来を拓く つなぐ・つくるプロジェクト (以下,プロジェクト)の3年目がスタート した.COVID-19 感染拡大による混乱と困惑 の1年目.1年目の遅れを取り戻すかの如く, 出会いとつながりを求めて地域巡回を重ねた 2年目.3年目は地域のつながりを育む拠点 づくりを目指している.

 人との出会いの場に大きく貢献しているの は,昨年4月からプロジェクトに仲間入りし た2頭のヤギ,喜々(きき)

もっとみる