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ビジネス会計検定は転職で役に立つ?


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はじめに

この連載では、主にベンチャー企業に勤めている方々、及びベンチャー業界への転職を検討している方々向けに、転職で役に立つ(かもしれない)資格の解説をしております。

今日は比較的マイナーな資格である「ビジネス会計検定」という資格をご紹介しましょう!


1.ビジネス会計検定とは

ビジネス会計検定を聞いたことがあるとか、持っている人を見たことがあるという人は少数派だと思います。
会計分野で働いている人であっても、あまり見たことがないかもしれません。

このビジネス会計検定というのは、大阪商工会議所が実施している検定試験で、財務諸表に関する知識や分析力を測る検定試験です。

財務諸表に関する理解に重点を置いている検定試験なので、あの有名な日商簿記検定とは趣旨が異なります

簿記検定は、日々の取引を記録し、仕訳などを通して財務諸表を作成するプロセスを主な試験範囲としていて、仕訳がメインの試験です。

一方で、ビジネス会計検定は、財務諸表の作成に用いられた会計基準や法令を理解し、財務諸表を分析して企業の財務状態を把握することを目的にした検定なので、よりビジネスサイドによっています。
したがって、経理だけではなく、事業部や営業部などのメンバーにとってもかなり有益な知識を身につけることができます!

ビジネス会計検定の学習を通じて、例えば新しい取引先や投資先評価、決算内容の分析・把握、株式投資の基礎的な知識などを得ることができます
知名度は低いかもしれませんが、知識の有益性でいえば全資格・検定の中でも相当上の方だと思われます。



2.受験資格・受験料など

ビジネス会計検定には受験資格がありませんので、どなたでも受験することができます。

受験料は、各級に応じて以下のとおりです。

  • 3級  4,950円(消費税450円)

  • 2級  7,480円(消費税680円)

  • 1級 11,550円(消費税1,050円)

何級から受験してもOKなので、いきなり1級を目指してもいいですし、3級からコツコツと積み重ねても大丈夫です!
会計の基礎(日商簿記2級程度)ができている人については、2級から受けても問題ないと思います。

大阪商工会議所が実施していますが、受験地は全国各地にございまして、札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、山口、松山、福岡の中から選択して受験することができます。

試験は毎年2回、3月と10月に実施されています。
ただし、1級だけは年に1回で、3月試験だけです。

合格率は、受験者数自体が少ないのでかなりバラつきがあります。
大雑把な数値でいうと、3級で70%程度、2級で40~50%、1級で15~20%となっています。

出題範囲は、各級ごとに以下のとおりとなっています。

【3級の範囲】

  1. 財務諸表とは

  2. 貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の構造と読み方

  3. 財務諸表の基本分析

  4. 成長率および伸び率の分析

  5. 安全性の分析

  6. キャッシュ・フロー情報の利用

  7. 収益性の分析

  8. 1株当たり分析

  9. 1人当たり分析


【2級の範囲】

  1. 会計の意義と制度

  2. 連結財務諸表の構造と読み方

  3. 財務諸表の応用的な分析(3級の内容の応用的な問題)


【1級の範囲】

  1. ディスクロージャー
    会社法・金融商品取引法上のディスクロージャー、証券取引所が求めるディスクロージャー、任意開示、ディスクロージャーの電子化

  2. 財務諸表と計算書類
    財務諸表と計算書類の体系、連結損益計算書・連結包括利益計算書・連結貸借対照表・連結キャッシュ・フロー計算書、連結株主資本等変動計算書の内容

  3. 財務諸表項目の要点
    金融商品、棚卸資産、固定資産と減損、繰延資産と研究開発費、引当金と退職給付、純資産、外貨換算、リース会計、税効果、会計方針の開示および会計上の変更等、連結財務諸表注記と連結附属明細表、セグメント情報、企業結合・事業分離

  4. 財務諸表の作成原理
    概念フレームワーク、会計基準、内部統制

  5. 財務諸表分析
    分析の視点と方法、収益性の分析、生産性の分析、安全性の分析、不確実性の分析、成長性の分析

  6. 企業価値分析
    企業価値評価のフレームワーク、割引キャッシュ・フロー法による企業価値評価、資本コストの概念、エコノミック・プロフィット法による企業価値評価、乗数アプローチによる企業評価、これからの企業価値評価


上記のとおり、2級と1級では難易度が全く異なるので、1級は本気で財務分析を身に着けたい方向けであるといえます。

興味がある方は、ビジネス会計検定の公式ホームページをご覧ください。



3.ビジネス会計検定は転職で有利?

では、本題に入ります。
ビジネス会計検定は、転職でどの程度有利に働くのでしょうか。


(1)ビジネス会計検定の認知度・知名度


資格が転職で有利に働くためには、最低限の認知度・知名度がないといけません。
この点について、ビジネス会計検定は若干劣ります。
この資格を知っている人の方が少ないでしょうし、名前は知っているという人でも、その試験の内容や価値まで理解している人は少数派でしょう。

したがって、認知度や知名度の点では、ほとんど有利に働くことはないと思います。


(2)学習内容の有益性


一方で、ビジネス会計検定で学ぶ内容については、間違いなく有益であり、価値も高いです。

上記で試験内容を記載したとおり、ビジネス会計検定は財務諸表分析に重点を置いている試験です。
そのため、2級以上の学習をしていれば、ある程度その会社の財務諸表分析をすることができるようになります。

就職や転職で、わざわざ財務健全性が低い会社に行きたいという人は少数派でしょうから、自分で財務分析ができれば、予め危ない会社を避けることが可能になります。

また、管理職になれば、財務分析がある程度できるというのは当然の前提になってきますし、基礎的な知識といえます。
そのため、若手の皆さんにとって、若いうちから財務分析に慣れておくことは極めて重要な経験となります。

しかし、実務で財務分析に触れる機会は少ないでしょうし、そういう職種も限られています。
そういう人たちにとっては、ビジネス会計検定はとても有益な学習機会を提供してくれますし、自己の能力の証明にもなります。

したがって、取っておいても全く損はない検定試験だと思われます。

また学習内容としては、MBAや中小企業診断士とかぶる部分もあるので、そういった分野に進みたいと思っている人にとっては、程良い肩慣らしになるかもしれませんのでオススメです。


(3)今からビジネス会計検定を目指すべきか


ビジネス会計検定は、日商簿記と異なり、CBT(パソコンで受ける試験)がありません。
そのため、会場までいって受験しないといけないため、若干面倒です。

ただ、勉強自体はとても有益だと思いますので、とりあえずは公式テキスト等で3級~2級を学習し、ほしいなと思えるのであれば受験すれば良いと思います。

財務分析の知識は、資格を持っていることより、学習経験そのものが重要だと思いますし、必要になったときにちゃんと思い出せるということ(最低でも調べれば理解できるという状態)が大事なので、検定合格そのものにこだわる必要はないと思います。


おわりに

ということで今回は、ビジネス会計検定を解説させていただきました!

検定そのものの知名度は高くないのですが、学習する内容はとても有益だと思うので、若手の皆さんは是非学習を検討してみてくださいませ。
財務、経営企画、M&Aアドバイザーなどの専門職種で非常に役に立つと思います!

そして、ビジネス会計検定で学習した内容を使って、財務や経営企画、M&Aアドバイザーとして幅広い経験が積みたいという方がもしいれば、WARCの求人をご検討ください。
WARCは、公認会計士らが立ち上げた会社なので、社内に多くの公認会計士たちがいて、会計分野の仕事を極めたい方にとっては最高の環境だと思います。

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ではまた書きます!

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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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