転職と資格の関係(資格があれば転職で有利って本当?)
【Co-WARCサイトオープン】
WARCに所属している公認会計士・税理士の皆さんで組織された会計コンサルチームであるCo-WARC(コワーク)のサービスサイトがオープンしました。
是非御覧ください。
はじめに
アメリカの地方銀行が破綻したり、スイスの大型銀行が実質的に破綻したりと、金融危機の前触れのようなことが頻繁に起こったかと思えば連日の日経平均株価の上昇……
よくわからない昨今ですが、景気が良いとは感じないので、我々もそろそろ不況に備えておかないといけない時期です。
世界的な不況が起こると、雇用も大きなダメージを受けます。
その結果、大手企業ではリストラが行われ、中高年の社員を中心に解雇が進むことになるだろうと思います。
中小企業は存続自体が難しくなるところも多いでしょう。
ベンチャー企業でも例外ではありません。
ベンチャーでは、比較的若い世代が多いので、より簡易な手続きでリストラクチャリングが進んでいきます。
また、優秀な人ほど、業績が悪化した会社に居続けるという選択をしないものなので、優秀な人材から抜けていくという事態に陥りやすくなっていきます。
これは他人事ではなく、おそらく今後数年以内(早ければ2023年から2024年にかけて)に起こる可能性が高いことです。
このような状況を敏感に感じ取っている人が多いからこそ「リスキリング」という言葉が流行り始めていたり、学び直しを開始している人たちが増えているのだろうと思います。
そこで今回は、リスキリングの代表格である「資格」と転職との関係について考えていきたいと思います。
なお、今回の「資格」の中には、MBAなどの資格的扱いを受けている学位も含めて考えていきます。
そして、このnoteは主にベンチャーで働く専門職の皆様及びベンチャーに興味を持ってくださっている方向けのnoteでございますので、今回もベンチャー業界を中心に書いていきます。
1.資格は転職で有利なのか
では早速、資格があると転職で有利なのかという点について、考えていきます。
今回は、20代の若手、30代のミドル層、40代以降のシニア層の3階層で分けて検討していきたいと思います。
(1)20代の若手の場合
20代の若手の場合、資格はかなり有利に働く要素であるといえます。
そもそも、20代の就職(新卒)又は転職では、経験が浅いがゆえに、他に差別化できる要素が乏しいのです。
そのため、企業側としては、学歴や面接時の印象で判断せざるを得ません。
そして、面接での印象はある程度操作可能(演技で誤魔化せるもの)であるため、どうしても学歴偏重型の採用活動になってしまいがちです。
そのときに強いのは、東京一工及び早慶などの有名大学の学歴です。
しかし、そのような有名校の学歴を持っている人は少数派なので、その他大勢の中ではあまり差がつかず、差別化もし辛い状況になっています。
そのような場合に、何か有効な資格を持っていると、かなり目を引く存在になります。
転職サイトで候補者を絞り込む際にも、資格の有無で絞り込むこともよくあるので、その際にも生き残りやすくなります。
したがって、20代の若手の場合は、資格があるとかなり有利に働くと思って良いです。
現に、私が採用するとき、及び私の知人経営者らが採用するときも、資格があることで評価が良くなることが多々あります。
資格は、努力の証明書という要素を持っているので、非常に好印象です。
(2)30代のミドル層の場合
では、30代のミドル層の場合はどうでしょうか。
ベンチャーで30代といえば、中間管理職の年齢です。
場合によっては役員クラスの年齢です。
この場合は、資格の有無だけで有利に働くことは少ないです。
※持っていることでマイナスにはなりません
職種にもよりますが、経営管理部門の専門職の場合は、無資格の場合は、原則としてマイナス評価になる(最悪の場合、選考対象外になる)と思ってもらって良いかと思います。
30代になるまで、一切勉強をせず、資格も取得していないという見え方になってしまうので、マイナスに評価せざるを得ないのです。
というのも、この年齢層の専門職は、大半の人が何らかの資格を有しているからです。
さらに言うと、中途半端な資格(初級~中級程度の資格)だけだと、差別化は測れない状態です。
専門職を目指している人の場合、又は経験者の場合、大半の人が何らかの資格を持っているため、中級程度までの資格は持っていて当たり前の状態なのです。
したがって、30代のミドル層の転職では、上級レベルの資格なら有利に働きます。
ただし、これは初級~中級レベルの資格を取らなくてもいいということではなく、その程度の資格は持っていて当たり前という話です。
(3)40代以降のシニア層の場合
最後に、40代以降のシニア層の場合を検討してみましょう。
このクラスになってくると、原則として部長以上の幹部候補としての転職になります。
職種によるかもしれませんが、私が知る限り、専門職の一般社員の採用で、40代以降の方をあえて狙って採用するというベンチャー企業をほとんど見たことがないので、原則としてベテランの経験者を幹部候補として採用するというケースになると思います。
なお、パートタイムの採用では、40代以降でも全く問題なく採用されます。
上記のような上級職採用の場合、資格は持っていて当然で、かつ、上級レベルの資格を持っていることが前提となってきます。
資格を必要としない専門職も一部ありますが、それでも何かしらの有効な資格又は学位を持っている人が大半です。
その上で、経歴が輝かしい人でないと差別化は難しいだろうと思います。
40代以降のシニア層の転職は、ハイレベルな人が多いので、資格だけでなく、経歴(経験)も要求されがちです。
即戦力かつ即結果を求められる年齢層なので、かなりシビアな戦いになると思います。
したがって、資格が有利に働くということはほとんどありません。
持っていて当然です。
以上より、20代の若手と30代のミドル層においては、資格は比較的有利に働くケースが多いと考えられます。
では、どのような資格を持っていれば有利なのでしょうか。
この点について検討していきましょう。
2.若手の転職に強い資格とは
では、転職に強い資格とはどのようなものでしょうか。
職種を分けて検討していきましょう!
20代の若手の皆さんの場合は、初級~中級レベルの資格を持っていれば比較的有利に転職を進められると思います。
上級レベルの資格についてはミドル層の項目で記載しますので、勉強に自信のある方は若いうちから挑戦してみても良いかもしれません。
(1)経理・財務・経営企画・IR・内部監査
まず、経理財務を始めとする会計専門職の皆さんが取るべき資格は簿記です。
誰がなんと言おうと簿記こそ最強です😎
初級は日商簿記3級又は全経簿記2級です。
中級レベルだと、日商簿記2級又は全経1級です。
気合が入っている人は、両方取っていることが多いです。
会計専門職として生きていきたいのであれば、最低でもこのあたりまでは若いうちに取っておきたいところです。
その上で、他の初級~中級資格も狙いたいというのであれば、以下のような資格を取得すると転職でプラス評価を受けることが多くなるでしょう。
・ビジネス会計検定3級・2級
・財務報告実務検定 開示様式理解編
・ビジネス実務法務検定3級・2級
・給与計算実務能力検定1級
・ファイナンシャルプランニング技能士3級・2級
・IPO実務検定 標準
・公認不正検査士(主に内部監査)
・TOEIC 700点以上
・国内MBA(上位校除く)
(2)法務・労務・人事
法務・労務・人事の場合は、主に法律分野の勉強を中心に行っていくことになりますが、できれば簿記2級くらいまでの会計知識はほしいところです。
法律系職種といえども最低限の会計知識は入れておかないと、ビジネス的に役に立たない人になってしまうので、ビジネスマンの基礎知識として学んでおきましょう!
そして、一般的には、法律系職種の場合は以下のような初級~中級レベルの資格(学位含む)があると活かしやすいかと思います。
・日商簿記3級・2級
・全経簿記2級・1級
・ビジネス実務法務検定2級以上
・個人情報保護士
・ビジネスコンプライアンス検定 上級
・有名な大学の法学士号又は法科大学院修了
・法学(経営法学、先端法学等でも可)修士号
・知的財産管理技能検定2級以上(主に知財法務)
・公認不正検査士(主に法務)
・宅地建物取引士(主に不動産or金融系法務)
・行政書士(主に法務)
・貸金業務取扱主任者(主に金融系法務)
・証券外務員一種(主に金融系法務)
・給与計算実務能力検定1級(主に労務)
・キャリアコンサルタント(主に人事労務)
・マネジメント系の学位(MBA等、主に人事労務)
・人事総務検定1級(主に人事労務)
・TOEIC700点以上
(3)ビジネスサイド(事業部門)
最後に、ビジネスサイド(営業や新規事業開発など)についても検討してみましょう。
ビジネスサイドの採用では、あまり資格が考慮されない傾向があります。
専門職の場合は資格があることが前提となっている求人も多いのですが、ビジネスサイドでは資格よりも経験の方が重要です。
ただ、資格が不要なのかというとそうではありません。
当然、あったほうがいいですし、持っていればプラス評価を受けることが多いです。
特に優れたビジネスマンであればあるほど、学習の重要性を理解していることが多いので、資格を持っていることに対してプラス評価を与えてくれるでしょう。
また、先々管理職を目指そうと思っているなら、若いうちから中級レベルの資格・学位等は取っておくべきだと思います。
一例でしかありませんが、以下のような初級~中級資格等を持っておくと、ビジネスに活かしやすいかと思います。
・日商簿記3級・2級
・全経簿記2級・1級
・ビジネス実務法務検定2級
・ビジネス会計検定2級
・個人情報保護士(個人情報の取扱が多い職種で有効)
・ビジネスコンプライアンス検定 上級
・宅地建物取引士(主に不動産業界で評価が高い)
・貸金業務取扱主任者(主に金融業で評価が高い)
・ファイナンシャルプランニング技能士2級(主に保険業)
・証券外務員一種(主に証券系で必須)
・国内MBA(上位校を除く)
・TOEIC700点以上
3.ミドル層の転職に強い資格とは
続いて、30代のミドル層の転職で有効な資格について検討してきましょう!
この年代については管理職になることが多く、先々は部長以上の幹部候補を目指すべき年齢なので、原則として上級資格をとっておくべき年齢層です。
そのため、難易度の高い資格を中心にご紹介していきます。
(1)経理・財務・経営企画・IR・内部監査
30代で最も熱い職種はおそらく会計専門職だろうと思います。
ここ数年の会計専門職の転職市場は、需要と供給のバランスが崩れているので、完全な売手市場です。
そして、以下のような資格を持っている会計専門職の皆さんは、スカウトが大量に届きます😱
WARCが運営しているベンチャーの経営管理部門に特化した転職サイトであるSYNCAでも、以下の資格を持っている人については、スカウトがよく打たれているので、かなり強い資格であると言えるでしょう。
【会計専門職の転職で強い上級資格一覧】
・日商簿記1級
・全経簿記上級
・公認会計士
・税理士(科目合格も含む)
・証券アナリスト(CMA)
・米国公認会計士(USCPA)
・ビジネス会計検定1級
・財務報告実務検定 連結実務演習編 上級レベル
・IPO実務検定 上級
・公認内部監査人(CIA、主に内部監査)
・TOEIC 800点以上
・国内MBA(京大、一橋、早慶)
・海外有名校のMBA
・米国税理士(EA)
・米国公認管理会計士(USCMA)
・英国公認会計士(ACCA、ACAなど)
・米国証券アナリスト(CFA)
など
(2)法務・労務・人事
続いて法律系職種の転職で強い資格一覧です!
なお、人事についてはあまり資格は関係ありませんので、主に法務・労務の職種で強い資格になります。
・弁護士
・司法書士
・司法試験予備試験
・法科大学院修了(東大、京大、一橋、慶應、神戸などの上位校)
・ビジネス実務法務検定1級
・法学修士号(東大、京大、一橋、早慶などの上位校)
・経営法学又は先端法学修士号(一橋、早稲田)
・知的財産管理技能検定1級(主に知財法務)
・弁理士(主に知財法務)
・社会保険労務士(主に労務)
・国内MBA(一橋、早慶などの上位校)
・海外有名校のLLM
・海外弁護士資格(NY州などが人気)
・TOEIC800点以上
(3)ビジネスサイド(事業部門)
ビジネスサイドの場合、資格よりも経歴や実績で評価されることが多いため、30代のミドル層であっても上級資格を持っている人は少数派です。
だからこそ、資格を持った上でビジネスもできるという人については、引く手数多の状態になります。
そのため、参考として、ビジネスサイドの人でも取っておくと高く評価される上級資格等を一覧表記しておきます。
・日商簿記1級
・全経簿記上級
・ビジネス会計検定1級
・ビジネス実務法務検定1級
・中小企業診断士
・証券アナリスト(CMA)
・米国公認会計士(USCPA)
・TOEIC 800点以上
・国内MBA(京大、一橋、早慶)
・海外有名校のMBA
・米国公認管理会計士(USCMA)
など
おわりに
ということで今日は転職と資格の関係について検討してみました。
資格や学位はあっても損はないので、もし時間に余裕があるなら勉強してみるのも有益だと思います。
そして、資格を取得したら、是非SYNCAにご登録いただいて、スカウト待ちをしてみてください😁
自分の市場価値が上がったという実感が得られると思います。
では、また次回お会いしましょう!
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この記事は、株式会社WARCの瀧田が担当させていただいております。
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