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公務員からのベンチャー転職


【Co-WARCサイトオープン】

WARCに所属している公認会計士・税理士の皆さんで組織された会計コンサルチームであるCo-WARC(コワーク)のサービスサイトがオープンしました。
是非御覧ください。


はじめに

今日はちょっと変わった(ニッチな)記事を書きたいと思っております。
テーマとしては、公務員からのベンチャー転職です。

実は最近、事例がちょこちょこと出てきていて、非常に面白い傾向だなと思っています。
安定の代名詞ともいえる公務員という職種から、危険・不安定の代名詞であるベンチャー企業に転職するのは、普通の感覚で考えると大冒険の一種です。

しかし、私は「あり」だと思っています。

実は私の身内の半数くらいが公務員で、幼い頃からその現状をいろいろと目の当たりにして来ました。
身内から見ても、公務員は確かに安定していますが、その安定は、崖と崖の間にかけられた細い板の上に乗っているような安定性で、一歩足を踏み外せば一気に落下してしまうタイプのものだと認識しています。

新卒で公務員になったなら、多くの人はそれから約40年間の間、トラブルなく無難に過ごすことを中心に考え、年功序列制度の中でチャンスが有れば出世を目指すことになります。

おそらく、勘の鋭い公務員の皆様も、日々の業務の中でその危険性を感じ取っているのではないかと思います。
そして、これからの人生を深く考えたときに、自分で生き抜く力を身に着けるべきだと強く感じることも多いでしょう。

その結果、ベンチャー企業に転職するという手段を検討する人も出てきたのではないかと思います。
私はそういう考え方を尊敬しますし、賛同もします。
ただ、注意しないといけないこともたくさんあるので、公務員からのベンチャー転職について、私の私見を述べさせていただこうと思っております。
かなりニッチな分野なので極一部の方にしか妥当しませんが、参考になれば幸いでございます。



1.公務員のメリット

公務員にも様々な職種がありますが、共通しているのはその身分の安定性だと思います。
地方公務員法、国家公務員法、人事院規則等でその身分が保障されているので、国又は地方公共団体の後ろ盾がある状態です。

初任給はけして高くないですし、むしろ少ないとすらいえますが、年功序列制度の下でほぼ確実に昇給していくため、40歳を超えたあたりからは高年収に属する人が増えていきます
50歳から60歳までが報酬的には全盛期になることが多く、役職次第ではありますが、年収が高い人では1000万円を軽く超えることもあります。
最高レベルまで出世できた人については、天下り先まで用意してもらえるので老後も安泰です。
天下り先を何度かこなせば、場合によっては億単位の資産を手にすることも可能です。

そこまで出世できなかったとしても、滅多なことではクビにならないので、極論をしてしまえば、そこまで頑張らなくてもちゃんと給料がもらえます。

私の親戚たちもよく「職場で寝てても金が入ってくる最高の職業だ」と言っていましたが、実際にそういう人も何割か存在します。
それでもクビにならないくらいには安定しています。
実際に寝てばかりいると出世はしませんけども🤣


また、公務員になることで様々な恩恵を受けられます。
たとえば、住宅ローンや借入れなどで困ることはまずないでしょう。
よほど多重債務を背負っていない限り、審査はほぼ間違いなく通ります。

そして、地方では特に顕著ですが、公務員≒お上として認識されるので、エリートの仲間入りです。
職種にもよりますが、公務員というだけで少し尊敬されたりもしますし、下請けから美味しい接待も受けられるかもしれません(場合によっては違法)。

そういう様々なメリットを得られるのが公務員という職種の魅力です。


2.公務員のデメリット

上述のとおり、公務員という職種には大きなメリットがあります。

しかし、当然のことながらデメリットもあります。

職種によってデメリットの種類や大きさも異なりますが、ある程度共通している点として、その職務の特殊性から民間でほぼ役に立たないスキルだけが身についてしまうことが多いという点が挙げられます。

公務員という職業は、そもそも転職を想定していないので、公務という特殊な仕事をこなすためだけに研修が組まれますし、事務系公務員であれば定期的に人事異動があります。
様々な部署の事務作業を経験して、公務スペシャリストになっていくキャリアです。

この特殊な「公務」という職種は、民間の仕事とは大きくかけ離れていることが多い上に、公務のIT化も非常に遅れているので、極めて非効率的で時代遅れのスキルが多いのです。
その結果、公務員として長く過ごせば過ごすほど、民間ではほとんど使えないスキルばかりが身についていくことになります。

そして、40歳を超える頃には公務員しかできないという状態になるのが普通です。
辞めたくても辞められなくなるのです。
私の身内もほぼ全員がそのような状態でしたし、現役公務員をしている同世代の知人らも同じ理由で悩んでおりました。
結局は全員が公務員を続けていますし、そうせざるを得ないというのが正直なところです。


また、民間では「公務員は安定した高収入職種」という認識が強く、過去の転職者で活躍している人も極僅かなので、転職をしようとしても通常は敬遠されます。
一昔前までは、公務員から転職する人は極めて少数だった上に、その中には問題を起こして退職せざるを得なかった人も少なからずいたので、若干警戒されてしまう傾向があるのです。

他にも、公務員という職種に対して妬みの感情を持っている人も少なからずいるので、それによって落とされることもあります。
そのため、公務員という職種は、よほどの条件が揃わない限りは転職にあまり向いておりません。
その点が大きなデメリットかなと思います。


さらにいうと、国家公務員と一部の地方公務員に関しては、世の中のブラック企業と比肩しても何ら遜色ないくらいのブラックな労働環境で知られています。
長時間労働に加えて低い賃金、土日出勤も当たり前というような環境も一部に存在します。
公務員宿舎などの手厚い福利厚生が無かったら、とっくに大量退職を招いていただろうと思われる環境です。

ただ、こういう実態はあまり世間には知られていないですし、世間からの関心も薄い(世間は公務員が恵まれていると信じ込んでいる)ので、同情すらされません。
むしろ、税金で食ってるんだから当然くらいに思われています。
この事自体も公務員としてのデメリットに該当すると思います。



3.ベンチャー転職と年齢制限

さて、上記のようなメリットデメリットがある中で、公務員からのベンチャー転職は何歳くらいがベストでしょうか🤔

私の見解でいえば、早ければ早いほど良いと思っています。

ここ数年で、優秀な学生が公務員という職種を捨てて、あえて民間に行くというケースが増加しております。
公務員志望者数もここ数年ほぼ減少し続けておりますし、東大や一橋の学生に聞く限りでも、すでに公務員は眼中にないという学生が以前より多くなってきています。
私が学生の頃は、優秀な人材ほど官僚を目指した(合格実績を得たいだけの人も含む)ものですが、今ではもう時代が変わったようです。

やはり気づいている人は気づいているなという感じです。
公務員はとても素晴らしい職業だと思っていますし、絶対に必要な職種なのですが、長い人生で考えたときに若干リスクが大きいなと思います。
労働条件もけして良いわけではないので、身分の安定というリターンだけでは厳しいものがあります。
若い皆さんも同じような感覚なのでしょう。

仮に公務員のデメリットに気づくのが遅れたとしても、公務員になって最初の数日~数ヶ月で違和感を抱くはずです。
本当にこの選択で良かったのか?大丈夫なのか?
そういう違和感を大切にした方が良いと、個人的には思っております。
公務員に向いている人は、そういう違和感を一瞬で忘れられる人です。

公務員に向いていない人は、その違和感を少しずつ積もらせていき、5年、10年という月日を経て、大きな鬱憤として溜め込んでいきます。
その頃には、転職には若干厳しい年齢になっていて、民間で活かせるスキルも何も身についていないという状態に陥っている可能性が高いです。

極一部の特殊な職務を任されたキャリア官僚を除いて、通常の公務員職種は、似たりよったりの仕事をしています。
それゆえ、長く勤めたからといって、ベンチャーや民間で役に立つスキルが身につくこともほぼありません。

そうだとすれば、転職は早めにした方が良いだろうと思います。

特にベンチャーに行きたいと思うのであれば、ベンチャーの平均年齢が若いので、転職も早い方が良いと思います。
一つの目安として、35歳くらいがリミットになってくると思うので、できればそれより前に行動を起こしたほうが良いと考えます。
私が知る事例でいうと、最も多い年齢帯は24歳~28歳です。



4.ベンチャー向きの公務員

では、公務員からベンチャーに転職しようと思い立った場合、どういう人であればベンチャー企業で活躍できるでしょうか。
この点について考えていきたいと思います。

私の見解としては、以下の4つの特徴を有する人がベンチャーに向いている公務員であると思います。

(1)能動的に動ける人
(2)貪欲に学べる人
(3)リスクを取れる人
(4)明確な目標を持っている人

以下、一つずつ解説していきます。


(1)能動的に動ける人


まず重要なことは、ベンチャーの多くは公務員組織と異なり、多くの組織で指導者がいません。
名目上の管理職はいる可能性がありますが、年齢も同世代であることが多いですから、マネジメント能力には期待できません。
したがって、入社したあとでいろいろと教えてもらおうという気持ちでいると、何も仕事を任されず、何も活躍できずに終わることが多くなります。

そのため、ベンチャーで活躍したいなら自分で積極的に手を上げて仕事を率先して取りに行くべきです。

公務員として働いていると(全ての機関でそうとはいえませんが)出る杭は打たれるという慣行が目立つので、徐々に能動性を失っていくことが多いです。
入庁(入職)した当初はいろいろと情熱もあったと思いますが、3年もすればすべてを失って受け身になっていくのが普通です。

その受け身の習慣のままベンチャーに入るのはとても危険だと思うので、転職をするときには意識の切り替えが必要です。
学生時代の情熱を思い出してください😁

なお、ベンチャーには、そういう積極的な若手が比較的多いので、仮に手を上げてもその仕事をやらせてもらえるかはわかりません。
場合によっては取り合いになります。

そういう競争の中で生きていかないといけないので、能動的に動ける人の方が向いているでしょう。

その仕事!自分がやります!


(2)貪欲に学べる人


上述のとおり、ベンチャーの場合は多くの組織で指導者がいませんので、下手をすると誰も何も教えてくれない組織に放り込まれることになります。
私も初めてベンチャーに入った時は、入社2日目から放置でしたので、どこに何があるのかもさっぱりわからず、非常に苦労しました。

そもそも一人部署なんてのもザラなので、上司も部下も同僚もいないなんていうケースも多いです。
その場合は、すべて自分で生み出していく必要があります。

今でこそ、ベンチャーであっても入社時研修を用意している企業も増えてきましたが、それでもまだ放置はあり得ます。
業務が忙しすぎて、誰も教えられる余裕がないということも多いです。

そういう世界に突然放り出されたとしても、貪欲に自学自習できる人が向いています。
周りの状況をよく分析して、自分で必要な知識を学び、仮説検証を行える人です。

なお、ベンチャーでは、普遍的な正解があまりありません。
大組織であれば普通はこうするだろうというルーチンワークや習慣は、大抵間違いになりますし、適合しないことが多いです。
そのため、その組織に合ったやり方やスキルを編み出していかないといけません。

これができるようになるためには、まずは大量のインプットが必要になります。
その会社のこと、業界のこと、サービス(プロダクト)のことをよく調べて、頭に叩き込みましょう。
地味な話ですが、備品(文房具やファイルや封筒など)がどこにあるのかなどもできれば初日に記憶したいところです。
こういう地道なインプットが業務効率に意外と響いてきます。

また、ベンチャーの多くはIT業界に属することが多いので、最初は専門用語を覚えるところからスタートになると思いますが、そういう共通言語は極力早く記憶してしまいましょう。
じゃないと、周りの人間が何を言っているのかもわからないという状況に陥りやすくなります。

IT業界及びマーケティング業界では、アルファベット3文字の略語なども多用される世界なので、全部メモして調べましょう。
その上で、自分の職種に必要となる一般常識を詰め込まないといけません。

この初期的学習の段階は、できる限り早く修了するべきです。
最初の半年で一人前の活躍ができるようにならないと、ベンチャーでは成長が遅い方に属することになると思います。
早い人は3ヶ月で用語も覚えて馴染みます

それくらいの感覚で貪欲に学べる人がベンチャーに向いております。

最初の3ヶ月は寝る時間もないかもしれない



(3)リスクを取れる人


続いて、リスクに対する考え方を変えておきましょう。

公務員という職種は、基本的にはリスクを避けるスペシャリストになる職種です。
極力無難に、極力問題を起こさず、極力変化のない1年を送ることが安定した人生を送るコツです。
公務員の世界で目立って良いことなんて、私の知る限りではあまりないです。

しかし、ベンチャーでリスクを取れない人は基本的に成功しづらいです。
文化が真逆に近い感じです。

ベンチャー業界における基本的な考え方は「リスクを取らない方がリスク」です。
すべてのベンチャーでそうであるわけではないですが、基本的には、変化を起こさないことや現状維持自体がリスクになるという価値観が根付いていると思います。
生き残るためには変化し続けないといけないという現実がベンチャー業界にはあるので、自然とそういう考え方になっていきます。

公務員になって、大きな違和感を抱いた人たちの多くは、まさしくこの価値観を持っているのだろうと思います。
現状維持のまま、年功序列制度に身を任せて生きていくことのリスク。
そういうのを感じたからこそ行動した(リスクを取った)のでしょう。

したがって、公務員を辞めてベンチャーに行こうという発想ができている時点でかなりベンチャーに向いていると思います👍
公務員という世界ではファンキーな生き方に属すると思いますが、ベンチャーの世界では普通の人なので、どんどんリスクを取っていきましょう!

現状維持は危機を招くと思うんですよ



(4)明確な目標を持っている人


最後の要素として、明確な目標を持っている人の方がベンチャーには向いているだろうと思います。
この要素は、転職時にすぐに必要というわけではありませんが、長くこの業界で活躍し続けるためには必要になってくると思います。

何の目標もなく、ダラダラと同じ仕事を続けるという生き方だと、ベンチャーの世界ではすぐに淘汰されていきます。
モチベーションが高い人が多いベンチャー業界であるからこそ、長年活躍し続けられる人は極僅かです。
5年活躍し続けられれば長い方だと思います。

短期的な目標を次々とクリアしていき、長期的な目標に近づいていく生き方をしていないと、あっという間に若手に追い抜かれる世界です。

最初はアバウトな目標でも良いので、短期・中期・長期の目標を考えてみましょう!

やっぱり玉の輿かな……



おわりに

今回はだいぶニッチな内容になってしまいましたが、最近周りでも数件の事例が発生しているので書いてみました。

公務員という職種は特殊な職種なので、なかなか周りに理解してもらえない職業です。
スキルや経験も民間とはあまりに違いすぎて、なかなか評価されません。
事務処理能力と関係部署との調整力のようなスキルは一定の評価を受けるかもしれませんが、結局何ができるのかと言われると説明が難しいという感じだろうと思います。

だからこそ、10年後、20年後の未来が心配になりますよね🤔

夕張市のような事例が今後も発生するでしょうし、本当の意味で安泰なのかといわれると怪しいところです。

もし将来に対して若干の不安を抱えているのであれば、ひとまずは求人情報を閲覧するという習慣をつけると良いかと思います。
様々な職種をチェックしてみて、世の中で必要とされているスキルや報酬帯を把握しましょう。
どのような資格が求められているのか、どういう経験を積めば良いのか。

色々なヒントが求人情報に詰まっていると思います。

ベンチャーの求人であれば、SYNCAが便利です。

SYNCAは、ベンチャー企業の経営管理部門(経理・財務・法務など)に特化した転職サイトなので、専門職の求人ばかりです。
傾向把握には活かせると思いますので是非ご活用ください。


では、また次回!


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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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