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本という海を旅して

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あおやぎの読書記録です。感じたことをぜひ残しておきたい、と思った本をご紹介します。
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記事一覧

その言葉を追う―池田晶子という「場」―

その言葉を追う―池田晶子という「場」―

最近足を運んだ書店で、どうしても気になる本があった。若松英輔氏の『不滅の哲学 池田晶子』(亜紀書房)である。

表紙を見てまず「あっ」と立ち止まった。挿画はまちがいなく、西淑さんのものだ。奥付で確認したらやはりそう。私の好きなイラストレーター、西淑(にし しゅく)さんが手がけている。

最初の数ページをめくって、もうどこか購入を決めている自分がいた。若松氏の著作をまだ読んだことはなく、この本で取り

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“わかりあえない”にある価値 読書記憶⑤「他者と働く わかりあえなさから始める組織論」

“わかりあえない”にある価値 読書記憶⑤「他者と働く わかりあえなさから始める組織論」

わかりあえない、理解できない。
でもなんとか関係を良くしたい。
物事を前に進めたい。

そんな思いは日々、多くの人が抱いています。

「こう伝えればうまくいく」「こう捉えればうまくいく」「こうすれば…」

他者と関係性を紡いでいくためのハウツーは溢れていて、それらをひとつひとつ試していくことは可能です。

けれど、なかなか前に進めなくて,もどかしい思いをする人もたくさんいます。例えば私です。

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読書記憶④正直でありたい。『なんで僕に聞くんだろう』

読書記憶④正直でありたい。『なんで僕に聞くんだろう』

最近noteを書くたびに思う。

私は、私に嘘をついていないだろうか。

嘘のある文章を書いていないだろうか。

本当に書きたいことを書きたいように書いているだろうか。

この居心地の悪さはなんだろうか。

幡野さんのことば幡野広志さんの本が好きだ。

人との関係のこと、病気のこと、生きることについて思うこと。写真のこと。ご家族のこと。

率直に書く方だと思う。

それでいてどこか優しさも

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読書記憶③“ほどよさ”は人間を考え続けること。「ほどよい量をつくる」

読書記憶③“ほどよさ”は人間を考え続けること。「ほどよい量をつくる」

1月に入ってから、ペットボトル飲料を買っていない。

強く心がけたわけではないけれど、この記事を読んでマイボトルに切り替えたくなったのだ。

マイボトル習慣スタート塩谷さんがご紹介されているボトルを買ってみたのだけれど、とてもいい。シンプルなデザインで落ち着くし、比較的軽く、洗いやすい。

基本的に白湯を入れているのだが、先日スタバでチャイティーをこれに入れてくださるよう頼んだら「かわいいボトルで

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読書記憶②“今“を変えていく1冊「怖れを手放す」

読書記憶②“今“を変えていく1冊「怖れを手放す」

出会ってしまった、最愛の1冊「最高」ではなくて「最愛」という言葉が浮かんでくる本と出会った。

私はNVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)というものを3年ほど前に知り、折に触れてそれを実践できるようになりたいと考えていた。

NVCの考え方には納得がいったし、自分がより健康に生きることができて、人との関わり方を根本的に変えることになるだろうと思ったから

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読書記憶①「パイロットフィッシュ」

読書記憶①「パイロットフィッシュ」

本を読んで、感想を話す。または書く。

シンプルなことなんだけれど、なかなか続けられない。

目の前に人がいれば感想は話せるのだけれど、毎回そうもいかないので、noteで「読書記憶」として書いていこうと思う。

読書「記録」としなかったのは、最近読んだ「パイロットフィッシュ」という小説に“記憶”という言葉が繰り返し出てきたから。

記録と記憶のちがいについて熱く語りたいわけでもないけれど、「読書記

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「モモ」からの発見

「モモ」からの発見

なぜかというと、この訪問者の話すことを聞いていればいるほど、さっき人形と遊んだときのようになってくるからです。つまり、話す声は聞こえるし、ことばは聞こえるのですが、話す人の心は聞こえてこないのです。

私は最近まで、エンデの「モモ」をきちんと読んだことがなかった。

職場の人が「僕は『モモ』に出てくる、カシオペイアという亀が好きで」と話しているのを聞いて、読もうと思ったのだ。

小学生の頃に少し読

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The Future Changes The Past

The Future Changes The Past

映画「マチネの終わりに」を観た。

一人で映画を観に行くのは、数年ぶりの2回目だ。たぶん一人で観た方がいい、という映画はそんな予感があるから間違えない。

それほど、原作に心を貫かれた映画というものは感想が言葉になるのに時間がかかる。



原作を読んだ時、あまりの痛みに一読しかできなかった。

読み終わった本は何度となくぱらぱらとめくるものだが、1ページも読み返せず、こわいものを扱うかのように

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世界音痴、ここに。

世界音痴、ここに。

穂村弘さんの『世界音痴』を読んでいる。
歌人の方だということはもちろん知っていたが、これまでその文章には触れてこなかった。

いまはもっと早くその世界を知りたかった、と思う。



本の中の「世界音痴」という話で、
穂村さんは、“飲み会が苦手だ”と書いている。

私も苦手、と頷きながら読む。

飲み会が苦手ではない人は、“飲み会が苦手だ”と言う人がどうしてそう感じるのか、予想できるだろうか。 お

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鍛えます、自尊心with美容

鍛えます、自尊心with美容

突然だが、わたしは自分が大好きだ。

この性格も、この容姿も!
わたし、大好きだー!

…突然、自己愛を叫ぶ。
あおやぎに一体、何があったのか。

✳︎

美容ライターが書いた“こわくない”美容の話?

今回は、「自分のことはまあ好きだけど、でも嫌いなところ、自信が持てないところもたくさんあって、だから日々落ち込んだり葛藤してるんだよ」というあおやぎの背中を押してくれた本をご紹介したい。

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もしも「脳が壊れた」ら?

もしも「脳が壊れた」ら?

成長して大人になって様々なことを経験しても

自分の行いのうち「あの時あんなことしなければ」と、頭の隅に

ずっとひっかかっていることもある。

あの時、自分はどうしたらよかったのだろうか?

今なら、どうしたいだろうか?

後悔は消えないけれど、

「これから」に目を向けられるヒントをくれるお話と出会った。



「脳が壊れた」を読む

先日図書館で借りてきた、
「脳が壊れた」(新潮社)という

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