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応募作品

29
コンテストやお題に応募した文章
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#教師

猫に九生⑤

猫に九生⑤

手紙を恐る恐る開いた。

『猫には九つの命があると言われています。あなたなら、その命をどう使うかしら?
私は、教師として生きたい。
生まれ変わったのは、これで九回目。これまで綴ったのは私の人生です。よくここまで読んでくれましたね。
何度もあると分かりきった命。自分のために精一杯生きる動機なんてなくて、目的もなく自分の命を渡し続けているように感じていました。
でも、私はいつしか選択していたのです。教

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猫に九生④

猫に九生④

憧れの大人がいた。忘れもしない。中学校三年生の時の担任の先生。
私は、家庭環境があまり良くなかった。学校も休みがち。積極的に生きる意味を見出せず、毎日がどうでもよかった。
「どうせ私なんか、誰からも必要とされていない。」
なんて思い、自分の殻の中に閉じこもる日々。

そんなある日、先生から『うちへいらっしゃい。』と手紙が届いた。あんまり会ったことも無かったけれど、まあ、暇だし行ってみてもいいかな、

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猫に九生③

猫に九生③

三回目は、教師。
知識は生きる術だから。子どもたちがお腹を空かせず、理不尽な目に逢わずに生きていけるように。
「マオ先生。黒雲母は薄くて爪で剝がせるんですよ。透かして見ると、先生の目みたいにきらきらしてて綺麗でしょう?」
はにかみながら言う子。遥かに長く生きているのに彼らの持つ感性には敵わないなと思う。
教えているようで教えられる日々。
私は、よく彼らへ本を読み聞かせた。言葉は世界だ。新しい言葉を

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私たちは労働の奴隷じゃないから

私たちは労働の奴隷じゃないから

私は今、「仕事のため」に生きている。

平日朝は7時頃に出勤し、夜は21時前に退勤。
忙しい時は22時過ぎても学校にいる。
帰ってきたら週末に作り置きしたものをかき込むように食べて、シャワーだけ浴び、少しだけ仕事をしてから寝る。
平日も土日も仕事のことを考える。
長期休みぐらいしか、自由に休みは取れない。
そんな生活も5年目だ。

今はいい。
仕事は生きがいだから。
でも、これからは?
もし、結婚

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剥き出しの愛にマスクを着ける

剥き出しの愛にマスクを着ける

私は小学校の教師をしている。
現在、マスクの着用が自由意志となり、学校でもマスクを外している子の姿が、ちらほらと見られるようになった。  



思えば、突然「マスクを着けなさい。」と大人たちから洗脳のように言われた子どもたち。
暑い夏の日にもよく我慢してマスクをしていたものだ。偉すぎる。
マスクが汗ぐっしょりになって透けている子もいて可哀想だった。
和気あいあいと給食を食べる日常も奪われ、友だ

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「欠点」さえ「強み」になる。

「欠点」さえ「強み」になる。

教師になってから、転職を考えた回数は星の数ほど。
自分の短所にばかり目がいき、遂に今年は病んだ。

そんな時、「ストレングスファインダー2.0」という本に出会った。
「欠点さえ強みになる」という謳い文句に惹かれて購入。
どうか、私の数多の欠点を長所へと昇華させてくれ……!という一縷の望みを込めて。

ネットで診断をした後(本を買えば無料で受けられる)、この本で詳しい解説を見ることができる。
診断後

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