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気仙沼市民と外国人技能実習生をつないできた活動を知られる「つながる気仙沼プロジェクト報告展」と「アジアカフェ&nihongo cafe」体験記|イベントレポート

現在の日本は、海外からやってきた多くの人々によって支えられている。とりわけ少子高齢化が進む地方において、外国人技能実習生と呼ばれる海外からやってきた人々の存在は、なくてはならないかけがえのない存在となっている。

一方で、母国を離れて日本で生活する彼ら彼女らにとって、地方はお世辞にも住みやすい環境になっていない。とくに言語の壁、見ず知らずのコミュニティで生活を営む壁は大きい。

新型コロナウイルスによるパンデミックが世界中で騒がれる以前、インバウンドによって地方経済が支えられる中で、海外旅行者・日本滞在者など海外からやってきた人々が旅行や生活をしやすくするための環境整備が叫ばれていた。

あれから5年近く経った今も、地方はとてもでないが海外からやってきた人々にとって旅行や生活をしやすい環境とは言えない。一時滞在者でさえ困る環境が、今もなお存在し続けている。

外国人技能実習生たちは、そんな環境で3年間以上の生活を行わなければならない。生活の中には、仕事も含まれる。慣れない土地、苦労の多い環境で過ごす外国人技能実習生にとって、不安や心細さはどれほどだろうか。

くるくる喫茶うつみで毎月行われている「アジアカフェ & nihongo cafe」は、まさにそうした外国人技能実習生に地域の人々とのふれあいをもたらし、生きた日本語にふれる機会を提供する貴重な活動である。

本noteでは、過去4回「アジアカフェ&nihongo cafe」について取り上げた。今回は5回目となる。5回目となる今回は、いつもの「アジアカフェ&nihongo cafe」に加えて、特別な内容がある。


くるくる喫茶うつみで行われている「アジアカフェ&nihongo cafe」

アジアカフェ開催を告げるのぼり

先ほど少しふれたが、「アジアカフェ&nihongo cafe」は、宮城県気仙沼市八日町通りにあるくるくる喫茶うつみで行われている。

くるくる喫茶うつみは日曜日が定休日であり、定休日に併せて場所を借りる形で「アジアカフェ&nihongo cafe」が開催されている。くるくると様々な人々がつながっていくくるくる喫茶うつみにマッチしたイベントに感じられる。

炭in七輪
マシュマロを焼く

前回同様、軒先に七輪を置き、焼きマシュマロを食した。「アジアカフェ&nihongo cafe」は、決まったプロジェクト通りに何かをしなければならないものではない。

その日、くるくる喫茶うつみを訪れた人々が、各々の過ごしたいように時間を共有し、ふれ合う場である。もちろん外国人技能実習生だけでなく、誰が参加しても良い。

地元の人々や仙台、東京といった遠方から訪れた人々、大学生、移住者など実に様々な人々が入れ替わり立ち替わりやってきては、交流していく。誰に何を強制されるでもない純粋な共生の場である。

「アジアカフェ」に至る軌跡を知られる「つながる気仙沼プロジェクト報告展」

2024年4月は、「アジアカフェ」にとって重要な月である。これまでの活動の節目として、これまでくるくる喫茶うつみで行ってきたイベントに加えて、大規模なイベントが催されているためだ。

つながる気仙沼プロジェクト報告展パンプレット

「つながる気仙沼プロジェクト報告展」。これまでくるくる喫茶うつみを舞台に行ってきた「アジアカフェ」。そしてくるくる喫茶うつみ以外の場所で行ってきた数多くの取り組み。

それらの報告を気仙沼市の各地で展開する一大プロジェクトである。4月13日を皮切りに5月上旬までを期間として、これまでの活動報告展示や外国人技能実習生たちと行うイベントを予定している。

※詳しくはFacebookを参照

展示等が行われる場所を記したマップ

第一弾として、4月13日より海の市とヤマザキショップ気仙沼魚市場前店にて展示が行われている。

展示の一部
展示の一部
展示の一部

展示では、これまでの活動を写した写真に加えて、活動の軌跡を記した記録が展示されている。「アジアカフェ」を運営している地球対話ラボが、気仙沼市において、どれだけ外国人技能実習生たちに寄り添ってきたがひと目で分かる内容だけに、ぜひ一度読んで欲しい。

活動の記録は、期間にして5年を超える。東日本大震災によって多くを失い、その後復興に向けて歩んできた筆者たち被災者にとって、5年もの期間にわたり支援を続ける苦労は、誰もが自分ごととして理解できると思われる。

また見ず知らずの土地、激変する環境で生活する苦労や苦悩、そうしたところに差し伸べられる手の温もりもまた、誰もが理解できるに違いない。地球対話ラボの活動は、まさにそうした多くの人々を救い続けてきた活動と言え、その軌跡は多くの人々に見て欲しいと切に願うばかりである。

「アジアカフェ&nihongo cafe」は多文化共生を肌で感じられる稀少な場

話は今月の「アジアカフェ&nihongo cafe」へと戻る。この日は、参加した方々から自家製イチゴの差し入れがあった。

自家製イチゴ

旬の終わりとのことであったが、甘酸っぱさが素敵な新鮮なイチゴであり、良いタイミングで参加できたと感じるばかりだった。

ナシゴレン

今回の料理はナシゴレンである。4月21日の日曜日に、先ほど伝えたヤマザキショップ気仙沼魚市場前店を運営するまるきた商店にてナシゴレン大会が行われる。

その点を意識したチョイスであった。

人気の高いアボガドジュース

また、恒例のアボガドジュースも提供されている。とても人気が高く、早々に品切れとなる日が多い。

4月の「アジアカフェ&nihongo cafe」は、先月に比べて外国人技能実習生の来訪が少なかった。年度の変わり目の影響もあるかもしれない。一方で、来訪した方とは、日本語を用いたゲームに興じたり、近況を話し合ったりしながら、日本語や母国語での交流を楽しんだ。

「アジアカフェ&nihongo cafe」は、不思議なほど温かみに溢れ、優しい時間を過ごせるイベントである。それは運営している人々、参加している人々、そしてくるくる喫茶うつみという場所あってのものであり、どれ一つ欠けも成立しないものだと思う。

多文化共生といった言葉を目にする機会が増えた昨今、それが何かを知られる機会は決して多くない。「アジアカフェ&nihongo cafe」は、まさに多文化共生を肌に感じられる貴重な機会だと感じる。より多くの人々が、気軽に訪れるようになることを願ってやまない。

イベント掲示板

ちなみにくるくる喫茶うつみは、訪れる人々と気仙沼市のつながりも創っている。4月27日の土曜日には、音楽と地元のビールを楽しめるイベントがある。こちらもぜひ訪れて欲しい。


以下は広告です。ぜひ読んでください。


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