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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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#子育て

「シュフと稼ぎ手を交換してみたよ」な夫婦、20日ほど経った所感

「シュフと稼ぎ手を交換してみたよ」な夫婦、20日ほど経った所感

夫がシュフ、私が稼ぎ手となってもうすぐ1ヶ月。これまで通り楽しく懸命に仕事に取り組むわたしの生活に変わりはないけど、「家事(と育児)負担が激減する」という大きな変化がありました。

まあ、もう数年前から家事は手を抜きまくりで、育児も本当最低限といった状況であったので、「そんな変わんないでしょ」感は否めないのだけれど。

ただ、毎日のご飯を心配しなくて良くなったのは本当に楽で、脳のリソースにも体力ゲ

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心が感じたことは、確かにそこにあるのだから

心が感じたことは、確かにそこにあるのだから

「AくんやBくんにな、オレぜったいバカにされたと思う」

小三の子どもが言った。子どもは背が低い。特別大きいわけでもない小一の弟とほぼ変わらないくらいの背丈だ。何度か「チビって言われた」と報告を受けたこともある。「バカにされた」と感じたことの背景には、そうした彼の見た目が関係していたのかもしれない、と思う。軽んじて見られやすい、というか。

「先生に言うって言ったらな、バカにしてないって言われたわ

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我が家の鬼滅ブームと好きとお金と

我が家の鬼滅ブームと好きとお金と

世の多くの子育て家庭と同じく、我が家は現在「鬼滅の刃」ブーム真っ盛りだ。昨日は上映初日の映画を母子で観に行ってきた。映画帰りに食べた夕飯は、鬼滅コラボ中のくら寿司だ。ちなみに、今夜もくら寿司らしい。今月の寿司率の高さは異常だ。

映画館では「何かひとつにしておこうよ」の話が一転、結局ひとり4つずつグッズを選ぶという事態に。散々「今回は特別だからね」と言い含めて、レジに並んだ。お会計、1万円超え。…

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「ちゃんと」の呪い

「ちゃんと」の呪い

我が家の小三は、小一の頃から登校渋りの気がある。友達は好きで、先生も別に嫌いとまではいかなくて、給食も好き。ボランティアの読み聞かせが好きで図書室に通っているらしいし、昨年まで通っていた学童も好きだった。

それでも、「学校に行きたくない」とぐずり、わんわん泣いた。行ってしまえば楽しく過ごしているそうだから、ときどき休みながらも何とか通う生活を送ってきた。

そこにきたのが休校だ。「学校」がまだど

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名前に邪魔をされないように

子どもの同級生に、学校では声を一切出さない(出せない)子がいる。幼稚園時代からなのだそうだ。詳しい事情は知らない。「話さないんだよ」と子どもから聞かされているだけだ。参観日に目にしたとき、確かにその子は一言も口をきかず、仲良しの子の隣でにこにこしていた。

クラス全員が一人ひとり描いた絵を持って一言ずつ言葉を言う発表の際には、絵を持ち立つその子の代わりに、隣の子が紙の裏に書かれた言葉を読み上げてい

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明日のために蓋を閉じよ

明日のために蓋を閉じよ

昨日、学校へ課題を引き取りに行った。その予定を耳にしていた小一次男が、家を出る前にぐずってしまった。どうやら、自分も一緒に行けるものと思っていたらしい。「せんせいの顔を見たかった」と泣く彼に、胸が塞がる。「そうだよね」と寄り添うことしかできなかった。(彼はまだ一度も学校に行っていない。担任とは一度電話で話したきりである)

学校の廊下には、「新入・進級おめでとう」と色紙で彩られた模造紙が飾られたま

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今だからこそ、もきっとある

今だからこそ、もきっとある

体力維持のため、子どもを朝から公園へと連れだした。その後、散歩へ繰り出す。昼間の気温を考えると、今が一番外遊びに適した時期だ。(最近は5月になると割と暑い)

そんな一番いい時期に、今年は満足に出かけられない。わたしが、というよりも、子どものことを考えると、やっぱりちょっと辛くなる。ちなみにわたしはどうかというと、アクティブなようで出不精だから、家で過ごすことはあまり苦ではないのだ。

けれども、

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子どもがほしかった理由だとか、非常時に感じる自分の強さだとか

子どもがほしかった理由だとか、非常時に感じる自分の強さだとか

「脆い」とか、「弱い」とか、「繊細」だとか。そんな風に、言われて育った。

自分でも「打たれ弱い」とは思っていて、メンタルはお世辞にも強靭とは言えない。

もともと、早く子どもを産みたかった。もとは産みたい理由に明確なものなんかなくて、単純に「子どもが好きだから」といった程度のものだったと思う。子どもを産み育てることについての責任、なんてものについて、そこまで深刻に考えてはいなかった。(何にも考え

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理想は、ふんわりがいい

理想は、ふんわりがいい

何かをはじめるとき、そこには何かしらの理想がある。

築きたい家庭像、描いていた夫婦関係や親子関係、自分のキャリア。確固たるものではなくとも、何となくの理想を抱いている人の方が多いように思う。

むしろ、理想はぼんやりしているくらいの方がいいのかもしれない。



友人の子どもが、担任の一存で作文を発表するはずだったところを別の子に変えられたと聞いた。聞いただけだから一方的な判断はできないけれど

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見て聴いて嗅いで触れて、育む

見て聴いて嗅いで触れて、育む

行きたい場所が、またひとつ増えた。



「周りのお母さんは、“夏休み嫌だ〜”とか“やっと夏休み終わる〜!”って言うんやけど、お母さんそんなこと思ったことないんよね」

わたしが小六くらいだったろうか。夏休みが終わるころに母が言った。

「お母さん、“もう夏休み終わっちゃうわあ”って思うんよねえ。始まるときは、“今年は何しよう”って楽しみなんよ」

当時、母は専業主婦。介護ヘルパーの資格を取りに

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7歳、こがけんさんの単独ライブに行く

7歳、こがけんさんの単独ライブに行く

人は笑うと寿命が延びるという。わたしの書いたもので誰かの寿命がもしも数秒間延びるのならば、そんなにうれしいことはない——。

冒頭は高校時代の文芸部OBが卒業時に書き記していた言葉だ。当時、すでに大学生だった彼に会う前から、わたしはこの言葉が好きだった。

彼の書くものはユーモアに溢れていて、言葉遊びが巧みだった。わたしは悲しきかなユーモアセンスが皆無で、だからこそ余計に彼の書くものに惹かれていた

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7歳、カメラの楽しさを知る

7歳、カメラの楽しさを知る

失敗を恐れる子どもだった。

誰だって、失敗は怖い。一ミリも怖くない人は珍しいだろう。

ただ、わたしは過度に恐れていたように思う。理由はわからない。成功すれば褒められ、失敗すると叱られていたからなのかもしれないけれど、あまりにも極端な接し方をされた記憶はない。できたときに大いに褒められる体験はしてきたように思うけれど。



長男も失敗をひどく恐れるタイプだ。慎重を通りすぎて、やる前から「ぜっ

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それ、かっこよくないよ。

それ、かっこよくないよ。

子どもは無垢ではない。大人が無垢で純粋だと思っていたいだけだ。

平気で嘘だってつくし、小狡いことも早々に覚える。大人に褒められるであろうことを、あらかじめ理解したうえで実行に移すことだってある。

かわいいと思ってもらいたい。
かっこいい自分になりたい。

その想いだけは純粋だ。「認めてもらいたい」に繋がる、まっすぐな欲求なのだと思う。



かわいい自分になろうとする子がとる言動は、褒める類

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子どもに読ませたくない本

気づけば、本を開いていた。出会わせてくれたのは、母だった。

興味があったのだろう、早くに文字をおぼえ、そこから先は自分でがしがし本を読むようになった。

幼稚園時代の参観の様子を残した映像には、ひとり教室の隅で絵本を開く五歳のわたしの姿が残っている。

高校時代の教師たちは、口を揃えて「本を読め」と言った。正確には、「新書を読め」だ。あとは新聞。すべて読解力など、受験のための「読め」だった。

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