見出し画像

【たまに映画】当事者とそれ以外『流浪の月』

Amazon primeでずっとスルーしていた作品。その時の気分で見れるかどうかわからない骨太な作品だからだ。

■『流浪の月』作品情報&予告

解説

2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうのベストセラー小説を、「怒り」の李相日監督が広瀬すずと松坂桃李の主演で映画化。ある日の夕方、雨の公園でびしょ濡れになっていた10歳の少女・家内更紗に、19歳の大学生・佐伯文が傘をさしかける。伯母に引き取られて暮らす更紗は家に帰りたがらず、文は彼女を自宅に連れて帰る。更紗はそのまま2カ月を文の部屋で過ごし、やがて文は更紗を誘拐した罪で逮捕される。“被害女児”とその“加害者”という烙印を背負って生きることとなった更紗と文は、事件から15年後に再会するが……。更紗の現在の恋人・中瀬亮を横浜流星、心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子が演じる。「パラサイト 半地下の家族」のホン・ギョンピョが撮影監督を担当。

■騒ぐのはそれ以外。

映画のストーリーが重たいので見たいと思う時しか勇気が出ない作品と感じていた。たまたまホテルに宿泊しているときに予告を見て、気分だった。小説も未読なので予告情報だけで映画を観た。

その理由は李相日監督作品だったこと。
『フラガール』は大好きな作品ですが、それとは題材も作風も違う骨太な2作品がある。それは『悪人』と『怒り』。事件を中心に犯人と関係する人たちの物語が交錯していく。当事者と親近者の物語。

未見の人は『悪人』予告どうぞ。

こちらが『怒り』の予告です。

ほとんどの人が人生で犯人になることは少ない。殺人事件があっても自分が犯人になることはないだろう。テレビやネットで知るだけ。親近者になることも少ない。多くの人がそれ以外の人になる。

この作品の2人は「加害者」と「被害者」という関係性。それは「それ以外」の人から見た場合の関係性である。つまり世間から見た関係性でもある。「加害者」が感じていること抱いている想い、「被害者」が感じていること抱いている想いは、それ以外からみた「事象(事件)」とはずれていた。しかし、それは正しくないと「それ以外」からは判断される。

当事者にしかわからないことがある。

普通に生活している我々もそうだ。自分しか知らない誰にも言わない部分。誰かだけに伝える部分。オープンにする部分。きっと、たくさんあるだろう。人は多くの側面を持つ。場面によっても使い分ける。だから心は複雑で悩み苦しむ。

この作品で、「加害者」と「被害者」との関係が「事件」というバイアスだけで善悪として「それ以外」が判断して正しいのかがわからなくなる。この物語はレアケースだと思う(「それ以外」だからそう思うのかも)が、事件だけではなく物事をさまざまな角度や視点で観ていくことが、これからもとても重要であると感じる。

この記事が参加している募集

参考になったらサポートをお願いします。いただいたサポートは新たな取材・企画に使わせていただきます。