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他人を動かすには「やりたい」と自分の内側から思わせる|相手の意見を変えたいときは「極端に賛成してあげる」|人間関係の力学:人は関係性の中でバランスを取ろうとする

こんにちは!モチベートです。今回は、噛めば噛むほど味が出る、スルメのような話をお伝えしていきたいと思います。

前提として他人は変えられないもの
(人は自分が変わろうと思わなければ変われない)

自分の思うところと相手の意見がすり合わせられなくて、どうにかして相手を変えられないかと思うことありますよね。しかしながら、大抵の場合それは不毛な願いとして、一生叶うことはありません。なぜなら、人は自分が変わろうと自ら考えなければ変わることが出来ないからです。相手に自分とは反対の意見を強要されたなら、その人は必ず強い反発を起こします。自分の内側から「〇〇をしたい」と気づきを得るまでは絶対に動かないのです。

「人を動かす」には相手に「動きたい」と思わせる

では、どうしても相手の意見を変えたいときにはどうすればいいのか。「相手が自分自身で方向転換しようとする」ことを誘導しようとするしかありません。これは極めて難しい、至難の業です。相手の気持ちを操るなんてことは現実的ではないし、道徳的にも怪しい。これを(道徳的に正しく)可能にするためには、まず基本を言うとするなら、相手の気持ちを動かしたいときはまず自分が「相手のために動く」ことが必要です。

長期的な試みとしては、D・カーネギーさんの名著「人を動かす」に書いてあるように、相手がして本当にしてほしいと思っていることをよく考えて、相手に親切にし、相手に感謝し、相手の話を親身に心から聞き、相手の自己重要感を満たすことが求められます。そのような行動を続けていけば、相手は自分のために何かをしてあげたい、自分の意見に賛同してあげたいという気持ちになるはずです。

「質問をして引き出す」または「柔らかく説得する」

とは言え、即座に相手の意見を変える方法を知りたい。と思われるでしょうから、そのためのシンプルな方法もいくつか提示しておきたいと思います。第一に、人とコミュニケーションを上手く取るためには、「聞く」ことに徹することが必要です。「傾聴」が大事であるとよく聞きますよね。例えば自分が話すのと相手の話を聞くのとでは「4:6」の割合が丁度いいとか、相手にテンポ良く質問をすることで良い会話のリズムができるとかいう話があります。

では、相手の意見を変えるという文脈ではどのように質問をすればよいか。客観的に見ても、恐らく他の99%の人が聞いても「相手より自分の意見が正しい」という状況なら、論理的に相手の意見が正しくないということに気づける質問をする、もしくは柔らかく説得できるように伝えてみる、という方法が考えられます。

※「説得」のために重要なことは「頭ごなしに否定すること」は絶対に避けることです。例えば、「確かに、そうとも考えられるね。でも自分はこう思うかも。」とか「うんうん、そういう意見多いよね。でも最近はこういう考えの人たちが多いらしいよ。」といった論調だと効果的かもしれません。

頑固な相手の意見を変えるには「極端に賛成してあげる」

しかしながら、以上の方法はかなり難しいです。なぜなら、人は論理の生き物ではなく、感情の生き物だから。アメリカ元大統領ニクソン氏の言葉で、「人は理屈により納得するが、感情により動く」というものがあります。自分が感情で価値を認めていることと、理屈で証明された正しいことであれば人間は必ず前者に傾くんです。

ここで、今回一番みなさんに覚えていただきたい内容をお伝えしたいと思います。頑固な相手の意見を変える究極の方法は「極端に賛成してあげる」というものです。例えば、あなたが「ブドウの方が良い」相手が「リンゴの方が良い」という意見を持っているとします。あなたは、「ブドウはリンゴよりもアレルギー少ないし、好きな人も多いと思うよ」とか言ってはいけません。議論はしたらダメなんです。議論をすると、勝った人は虚しくなり、負けた人はあなたに対して強い恨みを持ってしまうことでしょう。

では、なんと言えば良いのか。「うん、確かにリンゴは国民全員が好きだろうし、絶対にブドウより良いよね。いやほんと、ブドウ派の人たちはどうかしてると思う。今度からブドウの方が好きっていう人見つけたらリンゴが絶対正義だって言うことを言い続けるわ。」という感じで、大げさにリンゴのことを褒めれば良いんです。そうすると、相手は「いや、そこまでは言ってないんだけど・・・ブドウのことを好きな人もいるだろうし・・・。」みたいな感じで比較的ニュートラルな意見に変わる可能性があります。

場の意見が極端に偏ると「バランスを取ろうとする力」が働いて気持ち悪くなる

これはなぜかと言うと、場の意見、もしくはプラスマイナスが偏ると「真ん中にバランスを取ろうとする力」が働くからです。

一つ、思考実験をしたいと思います。これは一つの例ですし、絶対にこれに当てはまるということはないのですが、よく働いている「バランスを取ろうとする力」を説明するためにお付き合いください。

人はよく、相手の言葉への応答として「いや、〇〇じゃない?」という否定から始まる切り返しを選択してしまいます。これは、相手が言う意見に対して自分は逆張りしたい、議論をしたいという本能が、「提示された方向とは逆側にバランスを取ろうとする力」が原因で働いているからと考えられます。

次の例です。これはあり得る話なのですが、三人家族の家庭があって、お母さん、お父さん、子供で暮らしているとします。子供はある時から学校へ行かず家に引きこもってしまいました。これはなぜか。「お父さんかお母さんが、家の内よりはむしろ家の外にばかり焦点を当てている」からだと考えられます。この場合、親が仕事や家の外のことにばかり時間を使い、家の中、子供のことに関心を示してくれなく、一緒の時間もなかなか取ってくれない。

だからお父さんとお母さんの関心を引かないと。ということで、外側に向きすぎた一家のバランスを内側に引っ張ろうとする力が働いているんです。子供のために色々なことをしてあげているかもしれない、他の原因があって引きこもっているのかもしれない、ということは考えられますが、「(自分の)周りからの評価のために子供を良い学校に進ませようとしている」「(本当の意味で)家の内側、家族、子供のことを真剣に考え、真剣に向き合うことができていない」というようなことも考えられないでしょうか。

最後の例です。人間関係によってどれほど人が外交的か内向的か、ネガティブかポジティブかということは変わってくるという話なんですが、とても内向的な人同士なら、その中で相対的に見て内向的な人が出てくるし、とてもポジティブな人同士なら、その中で相対的に見てポジティブな人が出てきます。

要するに、グループが内向的すぎたらその中で外交的なエネルギーが生まれるし、グループ内でポジティブが強かったらでネガティブ方向に力が働くようになるということです。一対一のコミュニケーションの中でも関わる人によって自分のコミュニケーションスタイル・タイプが変わるのはこのためです。全ては相対的で、バランスを取ろうとするんです。

なので、頑固で強情な相手を説得したいときには、「極端・大げさに相手の意見に賛成」をしてあげてみてください。そして、自分が持つ人間関係の中で、どのような力学が働いていて、しっかりと自分は周りの人のことを考えてあげられているのか、より良い関係性を作るためにはどうしてゆけばよいのか、ぜひ振り返ってみてください。

コラム︰ヘンリー・フォードの名言

ヘンリー・フォードさんは「自動車王」と称えられる、自動車会社フォード・モーターの創業者です。ヘンリー・フォードさんはこんな言葉を残しています。

成功の秘訣というものがあるとしたら、それは他人の立場を理解し、自分の立場と同時に他人の立場からも物事を見ることのできる能力である。

他人の立場を理解し、自分の立場と同時に他人の立場からも物事を見ることのできる能力である。心に深く突き刺さるような言葉ですね。

先程の引きこもってしまった子供の話でもあったように、本当のところで相手がどう思っているのか、相手がどうしてほしいのかということはなかなか分からないし気づくのが難しいことだと思います。だからこそ、自分から歩み寄って、相手を理解し、分かり合うための言葉を交わすことが大事なのではないかと考えています。

自分が大事に思っているものと相手が大事に思っているものは違う。別の価値観を持っているから、家族、仕事、遊び、勉強、趣味、恋愛、何に対しての優先順位が高いかというのも人それぞれ違ってくる。子供に勉強をしてほしいとき、子供にただ「勉強をしなさい!」と言うだけでは事態は好転しません。相手の価値観の優先順位を見つめようとすること、相手をできるだけ理解しようとすることが大事です。人を変えたいと思うならば、まずはそこから。

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