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テュル活マガジン

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テュル活とは、テュルク的活動のこと。「日常に、ほんの少しテュルクがあると、少しだけ幸福感が増す。」という趣旨でやっている、趣味と実益を兼ねたライフスタイルともいえましょう。 こ…
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#星の王子さま

【遠征6日目】念願のLPP博物館訪問が叶う

【遠征6日目】念願のLPP博物館訪問が叶う

10月4日。アンカラを離れます。4日いただけでしたが、とにかくかつてお世話になった人たちに次々に会えたということもあるのでしょう。エスキシェヒル行きのバスが動き出した時はなんともいえない感情になったように思います。

まあ、また近々来れるだろうからと自分に言い聞かせています。なんせプロジェクトは来年、再来年度まであるんですから。現地のいろいろな知り合いにもそのように申し上げて、たぶん来年またいるか

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なにがなんでも入手せねばならぬ

なにがなんでも入手せねばならぬ

今月末から4年9か月ぶりのトルコでして、最後にかの地を離れて以降、現地で出版された関連書籍のほとんどに目を通せずにおりました。ですので、今回は予算の許す範囲で本を買うだけ買って帰国するつもりでおります。

これはまあいつも通りのことなのでよいのですが。某SNSで、ノガイ語辞典と、トゥヴァ語辞典が出版されたというおそるべき情報を得ましてね…??

こんな俺得の辞書を出版するのは、トルコ言語協会以外に

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さあトルコへ。準備を怠るまいぞ

さあトルコへ。準備を怠るまいぞ

以前、LPP(『星の王子さま』)蒐集に関係する話でこういう記事を書いたことがありました。

上記の記事を書いた時点では、トルコに再訪問できる機会がいつになるかは全くわかりませんでした。しかし後日、運良く競争的研究資金公募のほうでよい結果を得るに至りまして、トルコ渡航の機会を得られそうだとなった次第です。

ならばテュル活民のはしくれとしてはやることはただ一つ。春ごろ、上記リンク先で言及した博物館の

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【研究日誌】LPP事典に出会うという僥倖

【研究日誌】LPP事典に出会うという僥倖

今週月曜日、また地元の非常勤先の大学図書館にいました。借りていた本の返却と、研究に関係しそうな文献をあたるという作業をやっていたところ、偶然「文学」の棚で見つけたのがこちらで…

以前から『星の王子さま』(LPP)を読んでいて知りたかったことがたくさん書いてあったのは自分にとって大いなる収穫です。たとえば、LPPは子供むけなのかそれとも大人向けと認識されているのかとか、「バラ(薔薇)」はどういうも

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サンテックスさん、すべてはアンタのせいやでェ

Twitterで気づいたのですが、今日4月6日はサン=テグジュペリが"Le Petit Prince"を公刊した日だったのですね。以下引用ツイートですが、岩波書店さんは内藤濯氏の日本語訳を最初に出した出版社ということで知られています。

ねえ…。サンテックスの旦那…(「サンテックス」はサン=テグジュペリの愛称ですね。これ豆知識な!)
あんさんはホンマに、えらいもんを世に出してくれはりましたなあ…!

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ノガイ語版『星の王子さま』の刊行を祝福する

ノガイ語版『星の王子さま』の刊行を祝福する

本日のお題は、「#私のコレクション」です。以前から拙文を読んでくださっている方には自明であろう、アレの話。

1. 多言語『星の王子さま』(LPP)蒐集当初は自分の専攻とする言語だけ所持していた『星の王子さま』(原題"Le Petit Prince, 以下本文ではLPPと略記します)、その後自分の興味関心の対象がトルコ語やアゼルバイジャン語だけでなく、テュルク諸語全体に広がっていきました。 

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喜びの知らせの陰で、しれっとフィン・ウゴル系諸言語訳『星の王子さま』の蒐集を進めていたオレ

喜びの知らせの陰で、しれっとフィン・ウゴル系諸言語訳『星の王子さま』の蒐集を進めていたオレ

2月最後の日、春以降の活動にむけてうれしい知らせを受け取ったその日は、ドイツの書店から国際郵便が届いた日でもありました。かねてより気になっていたフィン・ウゴル諸語訳の『星の王子さま』が3冊ほど届きまして、蒐集リストに

ヴォロ語(Võro)

コミ語(Komi)

モクシャ語(Moksha)

が加わった喜びをみなさまと共有する必要があるのではないでしょうか(異論は認めない)。

とりわけ、ヴォロ

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また一つ、トルコで訪問したい場所ができてしまった

また一つ、トルコで訪問したい場所ができてしまった

ご存じの方も多いと思われますが、日本ではかつて箱根に「星の王子さまミュージアム」があったものの、先般惜しまれながら閉館となってしまいました。

開館しているうちに一度でも行っておいたらよかったなと思うばかりですが、世界にもいたるところに『星の王子さま』(以下、LPP)に関係する博物館があるようです。

日本の近場ですと、済州島にあるのだそうです(こういう情報はLPP関連ウェブサイトに行くとすぐ見つ

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571(+α)分のXを求める意味

571(+α)分のXを求める意味

いつも参考にしているこちらのデータベースによりますと、今のところ全世界で『星の王子さま』(LPP)が翻訳されている言語は571だそうで、この数字はもちろん今後も増えていくことになるでしょう。先日も、テュルク諸語のうちノガイ語版が出るらしいということではしゃいでいる、という趣旨の記事を書いたところでした。

今日はその前日あたりに魔が差して(←)イランの書店から注文していたイラン国内のクルド語版LP

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「表紙ミスプリ事案」への雑感

「表紙ミスプリ事案」への雑感


先月末、慢性のLPP収集癖がまた発動してしまいましてドイツの例の会社から日本語訳の『星の王子さま』を購入した話をここで書いたことがありました。

年が明けまして今月、5日ほど前に上記注文の本が届いたのですが、裏表紙を見ますとなんと日本語になっているべき引用文の箇所が、別の言語(具体的には中国語になっていました)になっていたことに気づきました。

正直なところ、それに気づいた瞬間はけっこうがっくり

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『星の王子さま』で読むクムク語(3)

『星の王子さま』で読むクムク語(3)

さてクムク語訳LPPによる言語紹介記事も、あまり長引かせる意味はないよなあと思いつつ、一度やりだした以上は最後までやり遂げることも大事だろう(我ながらいいこと言うたりましたわ)ということで、第2章の各文の分析を続けていこうと思います。

前回までの記事は以下の通りです。

これはクムク語に限らず、トルコ語以外の言語で気になっている現象が入っている構文です。何がといいますと、「ある/ない」のように存

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キリル文字表記アゼルバイジャン語のアレの件

キリル文字表記アゼルバイジャン語のアレの件

今までアゼルバイジャン、バクーにはおそらく通算で10回近く訪問したことがあるのですが、それだけの回数バクー市内を見て回る時間があったにも関わらず、すっかり忘れていたことがありました。それは、かつてアゼルバイジャン語がキリル文字で表記されていたころに出版された『星の王子さま』(おなじみ、以下LPPと記します)を探すこと…

いや、我ながらなぜ今まで一度もそのことに思い至らなかったのでしょうか?

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さすが先輩だ

さすが先輩だ

先日のこのツイートに対しまして…

正確にリプしてくるLPPコレクターパイセン…
あんさんには…到底かないやしまへん…

というわけで、遅ればせながら4言語新たにゲットしました。南アジアが充実したとあっては、いよいよまだ手のついていなかったアメリカ大陸の諸言語に食指が伸びるのも時間の問題かもしれません。七大陸制覇待ったなし…(なのか?)

もう一つの『28言語で読む「星の王子さま」』のラインナップがヤバい件

東京外国語大学出版会から2年ほど前に公刊された例の『28言語で読む「星の王子さま」』は界隈でずいぶん評判になったものですが、

その後ドイツの出版社からも別の「28言語」版が出ていたことは把握していました。よきタイミングで入手できればと思っていたところ、本日ついに落手いたした次第であります。これ。

こちらは今年、2023年4月に公刊されています。

「外大バージョン」のほうは、大学で専攻語がある

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