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#聖書

(短歌)その手から

(短歌)その手から

その手から 解き放たれて 飛んでいき
     辿り着くのは 神のふところ

聖書全体を詠む
創世記から黙示録
創造から完成
それを一つの短歌にそっと詰めて。

小説 創世記 16章

小説 創世記 16章

16章

その頃、一雄とその妻ヒメの間に子はなかった。

その頃、イブキが蘇土村の女性と結婚した。
その名を空(ソラ)と言った。
結婚式は蘇土村、吾村、河南町の三つの村が集まって、盛大に行われた。

そしてその一年後、ソラは子どもを身籠った。
そのことでヒメは心を痛めた。
神の一雄にした約束を知っていたからだ。
自分がその約束にふさわしくない者であるように感じた。
そのヒメを見て、一雄は心を痛めた

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『海』(絵)

『海』(絵)

海は聖書において死と混沌を意味する
目の前に広がる海
それを割って、中を通って
そして生と秩序を手にする。

その物語が繰り返されるのが聖書だ。

『放蕩息子の兄』

『放蕩息子の兄』

『放蕩息子の兄』

悔しいよな
腹たつよな
羨ましいよな

だってがんばってきたから
我慢してきたから
そりゃずるいよって思うよな。

僕は兄の気持ちにむしろ、
感情移入するのです。

大丈夫、お前も愛されてるよ。
全部全部、報われるよ。

小説 創世記 15章

小説 創世記 15章

15章

激動の数日間が終わった夜、
一雄の上に神の言葉が響いた。
一雄は幻を見ていた。
その声に、心は躍った。

「恐れるな。
 わたしがお前の盾だ。
 お前は大きなものを得る」

一雄の目の前には大きな光があった。
光に向かって叫んだ。
神との対話は初めてのことだった。
「神よ!あなたは何をくださるのですか!
 この財産はなんのためにあるのですか!
 わたしの子が後を継ぐのでしょうか!
 それ

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小説箴言 9章

小説箴言 9章

9章

「浅はかな者よ!ここに来い!」

僕(悟)はまた夢を見た。
俺(龍)はまた夢を見た。

夢の中でその人は家を建てている。
建てあげて、石の柱を7本切り出した。

家畜から肉の料理を並べ、
ぶどう酒を注ぎ、
食卓を整えた。

そして周りにいた女性たちに何かをことづけた。
その人たちが小高い丘の上に駆け上り、この言葉を届けた。
「浅はかな者よ!ここに来い!」

僕は「行きます」と叫んだ。
俺は

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小説箴言 8章

小説箴言 8章

8章

僕(悟)は夢を見た。
俺(龍)は夢を見た。

何かが叫んでいる夢だ。
人の形をしている。
丘の上で、街の中で、家の前で、
必死に何かを叫んでいる。

僕に向かって。
俺に向かって。

「お前だ!お前に言っている!
 お前に届くよう声を枯らしている!
 浅はかな者よ!悟れ!
 愚かな者よ!知恵を得よ!」
その必死さに、言葉とは逆に、愛のようなものを感じた。

「聞け!これは支配する者の言葉だ

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小説箴言 7章

小説箴言 7章

7章

夜、おばあちゃんの家まで、お父さんと車で行くことになった。
僕(悟)が学校から帰ってすぐに、お父さんの妹から電話があって、調子が悪いから見に行ってほしいとなったそうだ。
お母さんは仕事だからいけなくて、夕飯の都合で僕も一緒に行くことになった。

二時間ほどある車の中で、お父さんとたくさん話した。
あの子のことを話した。
お父さんの教えてくれたことを守ろうとしていることも。

するとお父さん

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小説 創世記 14章

小説 創世記 14章

14章

カイは王国を築いていた。

カイが大阪の街を支配していた頃の組織『バビロン』は解散する。
それに取って代わる組織は即座に、その領域を奪っていった。
結局、人々にとっては、
支配される組織が代わり、街が少し物騒になっただけで、大した変化はなかった。

カイは蘇土村(そどむら)の長となっていた。
村が豊かになったのはカイの商才のおかげだった。
カイは村の若者たちを力で従えて、すぐに村を支配し

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小説 創世記 13章

小説 創世記 13章

13章

飢饉を乗り越えた村はどんどん豊かになった。
家畜も増え、一雄もイブキもそれぞれ牧場を持つようになった。
その牧場はどんどん大きくなっていった。

村に子どもが増えていった。
家族も大きくなっていき、村を広げなければいけないということになった。

そこで一雄はイブキに言った。
「ここで一度、僕ら、分かれていこう。
 村を広げるのに、君の牧場をそこに移動させてくれないか?
 みんながそこをも

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小説 詩篇 9篇

小説 詩篇 9篇

9

「心を尽くして、
 心を尽くして感謝します!
 あなたのことを語り伝えます!
 あなたを喜び、誇ります!
 いと高き方!あなたの名を誉め歌います!!」

そんな祈りと共にキャンプは終わった。
感動して感動して、そんな大胆な祈りを心からしたのだ。

そしてまた、元の生活に戻っていった。

一人の部屋に戻ると孤独が襲ってきた。
孤独は不安を呼んだ。
不安は恥を生み出した。
恥は虚しさとなった。

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『祈ってから一歩』(こどもさんび)

『祈ってから一歩』(こどもさんび)

こどものための(大人ももちろん!)賛美歌を作りました!
ワーシップソングとも言います。
辛い時、苦しい時、寂しい時、
勇気が出るような歌になってくれればいいなと思っています。
(演奏はLee先生、一緒に歌ってるのはENOSHアカデミーのみんなです!)

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『祈ってから一歩』

祈ってから一歩
祈ってから一歩
祈ってから一歩 踏み出す
心が闇に

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『モーセ』(絵)

『モーセ』(絵)

世界は海から生まれた。
そして人々は海を抜けて救われた。
それも何度も。
ノア、モーセ、ヨシュア、、、

そして人は水をくぐって救われる。
そして黙示録では海はもはやないと語られる。
もう死はない。混沌はない。暴力はない。
この道の先には、、、

釣りに行った夜に1人描いた作品。