マガジンのカバー画像

シネマ・エッセイ 〜暮らしに映画のエッセンスを

63
人生の旅路という表現が意味するように、時に人生は旅に例えられる。映画は、さまざまな人生の縮図。旅をするように楽しむ。日常の、または非日常の暮らしにもっと映画のエッセンスが注がれた…
運営しているクリエイター

2024年2月の記事一覧

映画『666号室』

映画『666号室』

映画はひとつの言語であり

芸術である

16人の映画監督それぞれの映画に向ける眼差しがまぶしい

40年以上の時を経た今でも

その発言の所在は揺るがない

まさに易経の三易を物語っているようである

映画『映画の朝ごはん』

映画『映画の朝ごはん』

その時にぴったりのことを行う

このことを易経では「中(ちゅう)する」という

まさにポパイの朝ごはんは

そのことを実現している

映画にちなんだおにぎり弁当をいただき鑑賞したことで実感したこと

映画を絵画に例えるならば

映画館はその額縁

その映像芸術からどれだけの可能性を引き出せるかは

映画館の手腕にかかるのではないだろうか

その意味で

今回キャンセル待ちが出るほどの反響があったこ

もっとみる
映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』

映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』

近ごろの日本では「一粒万倍日」を縁起のよい日としてとらえて
開運のためにと 開運行動に勤しむ人も多い

種籾ひと粒から何倍ものお米が収穫できるというところから由来しているらしい

この映画に登場する牧師は
幼くして亡くした息子の命の代わりに
今までに1000人の脱北者の命を救ってきた

福音にある「一粒の麦」のようだと語る牧師

私には 一粒万倍日と似て非なることに思える

一人の命に代わりがいな

もっとみる
映画『こわれゆく女』『フェイシズ』『ラブ・ストリームス』

映画『こわれゆく女』『フェイシズ』『ラブ・ストリームス』

『こわれゆく女』

体験したことがなければ
とても表現できるものではないはず

しかし、類稀なる群を抜いた演技力と演出力で
見事に世に放った

なぜここまで言い切れるか
それは、私自身があの子どもたちと同じ境遇にあったから

間違いなく、天才の監督と俳優がいた

『フェイシズ』

ヴェンダースは外側の変化から
内側を観る

カサヴェテスは内側の変化から
外側を観る

私は、このように受け容れた

もっとみる
映画『自転車泥棒』

映画『自転車泥棒』

「人生なんとかなるさ」
「生きていれば」

父親が自分自身を鼓舞するように口にする

易経に山地剥(さんちはく)という卦がある

最後に残された陽の力さえも剥ぎ取られる

しかし、この陽の力こそ

この先の未来に待っている
地雷復(ちらいふく)という時に
大切な陽の力として“復活“する

涙する父の手をぎゅっと握りしめた
ブルーノ少年の小さな手こそ
その陽の力そのものだと、私は観た

映画『葬送のカーネーション』

映画『葬送のカーネーション』

車内のラジオから流れる哲学話

“人生に求めることは?“
“死ぬということ“

「天命を終えることを楽しめない者は、時の変化をわかっていない」
易経にはこのように記されている

この映画の英題は“Cloves & Carnation“

クローブは痛みを鎮静させる作用があると言われる
人を失った時、その傷ついた心も癒してくれるのだろうか

映画『都会のアリス』『まわり道』『さすらい』

映画『都会のアリス』『まわり道』『さすらい』

ヴィム・ヴェンダース監督最新作『PERFECT DAYS』を観て以来

この監督の映画思想が気になった

『都会のアリス』
『まわり道』
『さすらい』
ヴェンダース監督ロードムービー三部作

人生🟰旅🟰映画🟰芸術

こんな哲学方程式が
どの作品からも、ちらつく

“変化は必然だよ
また会おう ローベルト“
(『さすらい』より)

半世紀ほど前のヴェンダース監督は言葉に頼っていた

しかし最新

もっとみる