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2021年9月の記事一覧

連載「カナルタ コトハジメ」#7 パリの憂鬱と、映画への没入

連載「カナルタ コトハジメ」#7 パリの憂鬱と、映画への没入

*2021年10月2日(土)より全国のミニシアターで劇場公開されるドキュメンタリー映画『カナルタ 螺旋状の夢』。僕自身がひとりでアマゾン熱帯雨林に飛び込み、かつて「首狩り族」として恐れられていたシュアール族と呼ばれる人々の村に1年間住み込んで撮った映画です。この連載では、『カナルタ』をより深く味わってもらえるように、自分の言葉でこの映画にまつわる様々なエピソードや製作の裏側にあるアイデアなどを綴っ

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フクシマからの報告 2021年夏    俳人・中里夏彦さんが語る原発事故・下 頭では帰れないとわかっていても    心は帰りたいと願い続ける       奪われたふるさとの記憶

フクシマからの報告 2021年夏    俳人・中里夏彦さんが語る原発事故・下 頭では帰れないとわかっていても    心は帰りたいと願い続ける       奪われたふるさとの記憶

前回の本欄で、福島県・双葉町出身の俳人・中里夏彦さん(64)のお盆のお墓参りに同行した報告を書いた。

中里さんが生まれ育った家は、福島第一原発から西に5キロ(道路沿い。直線距離で3キロ)にある。噴き出した放射性物質の雲(プルーム)の直撃を浴び、10年後の現在も立ち入りが禁止されている。いやそれどころか、双葉町全体が人口ゼロの無人地帯である。

 2021年8月13日に撮影した冒頭の写真でもわかる

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フクシマからの報告 2021年夏    「あれはすべて幻だったのか」      帰りたくても帰れないふるさと     「文字盤のない時計」が回り続ける    俳人・中里夏彦さんの原発事故の物語(上)

フクシマからの報告 2021年夏    「あれはすべて幻だったのか」      帰りたくても帰れないふるさと     「文字盤のない時計」が回り続ける    俳人・中里夏彦さんの原発事故の物語(上)

 福島県・双葉町出身の俳人・中里範一さん(64)と知り合ったのは偶然である。

 福島第一原発が立地する双葉町の北隣に「浪江町」という街がある。そこの中心部に「サンプラザ」というショッピングセンターがあった。福島第一原発から8キロほどの距離だ。

 中里さんはその総務部長だった。

下は同社ホームページから。

 サンプラザがある浪江町中心部の強制避難が解除され、中に入れるようになったのは、201

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