烏賀陽(うがや)弘道/Hiro Ugaya
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フクシマからの報告 2023年春 原発事故12年目の被害地 消えゆくふるさと 荒れ果てるわが家 住民92%がいなくなったゴーストタウン 消去される住民の生活の記憶
福島第一原発事故が始まって12年目の2023年3月11日の前後数日、私は原発事故被害地を訪ねて回った。レンタカーを借りて、同原発から半径10キロ、半径20キロと範囲を広げながら走ってみた。 フクシマの現場取材は12年間に100回を超えた。が、足を運ぶたびに、風景は変わり、残酷な現実に足が止まる。 今回も、無残な光景が広がっていた。JRの駅前にあった商店街は破壊されて、雑草の茂る空き地がどこまでも続く荒野になっていた。 「除染」という名目で建物が解体されたからだ。そんなふ
山上ひかり・烏賀陽弘道 「こころにビタミン」7 有料版 30分版 避妊は男の義務であり責任だ! 避妊しない男とは付き合うな!
はっきり言いますが、セックスのときに避妊をしない男はクズです。カスです。ゴミです。 淑女のみなさん、そんな男と付き合ってはいけません。ただちに捨てなさい。別れなさい。 避妊をしない結果、妊娠したときに身体、精神の負担を負うのは女性です。片務的に、女性だけなのです。相手の女性に愛情と敬意を持つ男性なら、大切な相手をそんなリスクにさらしません。 そんな重い負担を負うかもしれないリスクがある(つまり避妊しない)セックスを、女性が楽しめるはずがない。気持ちいいわけない。 男性
有料500山上ひかり・烏賀陽弘道 「こころにビタミン」6 有料版 30分版 ひかりさんも烏賀陽も、かつて「性の目覚め」って時代があったのだ。
誰にも子供から大人に移行する年ごろがあります。 それは「子供の自分」に別れを告げて、ひとりの自立した人間=大人として自我を確立していく時代です。 親、兄弟、親戚など「生まれながらにある人間関係」から抜け出して、自分独自の人間関係をつくり、自分独自の「好きなもの」を見つけていく時代です。「私とは何者なのか」を見つけ、育てていく旅立ちともいえるでしょう。 その「自分だけが見つけた人間関係」の最初は「友だち」でしょう。そこに男女愛が介在すると「恋」になります。 しかし、何も
有料500山上ひかり・烏賀陽弘道 「こころにビタミン」5 有料版 60分版 「意見が合わないことで意見が合いましたね」ってステキじゃない?
みなさんこんにちは。お元気ですか。 前回に続き、私・烏賀陽弘道がこの文章を書いています。 モデル・俳優の山上ひかりさんと対話するYou Tubeプログラム「心にビタミン」の有料版、2つ目です。60分1000円のバージョン。 今回の話題は「私たちは意見が合わないことで意見が合いましたね」という英語の慣用句。原文では"We agree to disagree"といいます。 過日、山上さんと私が、スポンサーやネットでの嫌がらせの体験について意見を交換したとき、私たちは正反対
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記事をすべて見る すべて見る旧ソ連国の視点から見たウクライナ戦争を ジョージア人国際政治学者に聞いた 「ロシアは旧ソ連の『近い外国』を 対等の主権国家と考えていない」
2022年2月24日に始まる(第二次)ウクライナ戦争について、ひとつの論点を読者に提供するため、かつてソ連の一国だった国の人々に同戦争をどう見るかインタビューすることを思い立った。 ●ジョージアとウクライナの共通点 私が注目したのはジョージアである。ロシアとの関係において、ジョージアはウクライナと非常によく似た立場にあると考えた。 ①モスクワやサンクトペテルブルグを中心とする「ロシア」に軍事的に征服され、ロシア帝国→ソ連の一部として併合された。 ②1991年後のソ連崩壊
射殺されたリトアニア人監督が遺した ウクライナ激戦下の市民の生活の記録 「7日間の取材記録に命を吹き込む」 フクシマやツナミと同じ人間の気高さ この映画には人間への愛がある ウクライナ戦争に関する論考 2023年3月1日現在
本稿は話題を少し変えて、第二次ウクライナ戦争(2022年〜)下の市民の暮らしを記録したドキュメンタリー映画「マリウポリ 7日間の記録」の話をする。 この映画は2023年4月15日の東京を皮切りに、全国の主要都市で公開される。世界でも初めての劇場公開である。 私がこの映画を知ったのは偶然だ。映画の配給宣伝会社から試写の案内が来たのだ。オンラインで試写を見た。 冒頭写真:殺害されたマンタス・クヴェダラヴィチウス(Mantas Kvedaravičius)監督。特記のない限り
ウクライナ戦争を理解する歴史知識7 ウクライナ・ロシア32年間の負のループ 政治・経済・国際関係とも抜け出せず 最後は武力侵攻という暴挙に ウクライナ戦争に関する私見 分析編 2023年2月1日現在
前回、前々回本欄で、ソ連崩壊・ウクライナ独立後32年の歴史をたどってみた。たいへん複雑である。自分で書いていても、平易にまとめるのに四苦八苦した。 そこで、さらに本編で「分析と解説」を加えることにした。 ロシア・ウクライナの過去32年の歴史を調べていくうちに、いくつかの「パターン」が繰り返されていると私は考えるようになった。そのうち、特徴的な次の3点を抽出してみた。 (1)「経済」「政治」「国際関係」3つの負のループに2国間関係がはまり込み、抜け出せなくなった。 (2)
ウクライナ戦争を理解する歴史知識6 ロシア産天然ガスのくびきから解放され ウクライナは脱露から反露へ転換 露も報復に転じ武力衝突へエスカレート 終わりなき泥沼の離婚劇 ウクライナ戦争に関する私見 後編・各論 2023年1月25日現在
今回は1991年、ソ連が解体しウクライナが独立した後、現在に至るまで32年間の歴史を時系列でたどってみる。350年の悲願である主権国家を持ったウクライナにとって、独立は夢と希望に満ちた出発だった。それが32年間で「旧社会主義国でいちばん貧乏な国」に転落した。一体何があったのか。 (注)本文中では、2014年に始まるロシアのクリミア半島併合と東部2州への軍事介入を「第一次ウクライナ戦争」、2022年に始まる軍事侵攻を「第二次ウクライナ戦争」と記す。2014年にはすでにロシアの
ウクライナ戦争を理解する歴史知識5 軍事侵攻以前から続くロシアとの紛争 政治混乱と汚職・寡頭支配で不安定 ウ経済はソ連時代の6割に縮小 32年間政治・経済体制の移行に失敗 ウクライナ戦争に関する私見18/概観 2023年1月20日現在
今回は1991年にソビエト連邦が崩壊、ウクライナが主権国家として独立してから、2022年2月にロシアが軍事侵攻するまでの話をする。 日本人の大半は、2022年2月24日にロシアの軍事侵攻が始まって初めて、ウクライナという国に注意を向けるようになった。「戦争が始まるまで、ウクライナはどんな国だったのか」を深くは知らない。その空白を埋めようというのが本稿の狙いだ。 前編では、まず独立後ウクライナのOverall View=全体像を俯瞰していく。いわば「概観」「概論」である。後
ウクライナ戦争を理解する歴史知識4 なぜプーチンはウクライナを 「ナチ」「ファシスト」と呼ぶのか 第二次世界大戦、ドイツ・ソ連戦争期 被害と加害の記憶をめぐり今も止まぬ論争 ウクライナ戦争に関する私見17 2022年12月6日現在
今回は第二次世界大戦時代のウクライナの話をする。 1941年6月22日、ナチス・ドイツがソ連に攻め込んだ。ドイツ側では「バルバロッサ作戦」という。 1939年にナチスがポーランドに侵攻して英仏が宣戦布告、第二次世界大戦が始まって2年が経っていた。 当時、ウクライナはソ連の「一地方自治体」になっていた。1922年にウクライナをソ連に併合する内戦は終結し「ソビエト・ウクライナ」になっていた。そこにナチス・ドイツが攻め込んできたのである(下の地図の赤いエリアがソ連。ポーランド
ウクライナ戦争を理解する歴史知識3 大飢饉の次は大粛清=75万人犠牲 「富農」追放に続きポーランド系住民虐殺 ウクライナ・ベラルーシはその被害地 ウクライナ戦争に関する私見16 2022年8月24日現在
ウクライナの苦難は続く。 大飢饉が収束したと思ったら、今度はスターリンが「大粛清」(政治弾圧)を始めた。また百万人単位のソ連国民が犠牲になった。続いてナチス・ドイツがソ連に攻め込んできた。ウクライナは「殲滅戦」の戦場と化した。 まず今回はスターリンの「大粛清」について書く。 冒頭写真:ロシアのペルミ市(1940年〜57年はモロトフ市)郊外にある「ペルミ36」グラーグ(強制収容所)。現存するグラーグはロシアでここだけ。現在は博物館になっている。 私見だが、これはスターリ
ウクライナ戦争を理解する歴史知識2 第一次大戦で近隣強国すべて瓦解 ウクライナ初の独立国家樹立するも ボルシェビキ・ポーランド・ドイツに潰され ソ連統治下で死者500万人の大飢饉 ウクライナ戦争に関する私見15 2022年8月4日現在
第二回目の本稿は、20世紀に入ってからのウクライナの歴史を述べる。 まずは20世紀前半、第一次世界大戦とロシア革命から。 20世紀になってからのウクライナ史はテンポが早くなり、そして陰惨な出来事が連続で起きる。血なまぐさい。第一次世界大戦が始まった1914年から、第二次世界大戦が終わる1945年の31年間のウクライナは、数百万単位で人が死ぬ戦争、殺戮、破壊、飢餓の連続である。悲惨としか言いようがない。 (冒頭写真はロシア10月革命100周年を祝うモスクワの集会。2017
ウクライナ戦争を理解する歴史知識1 異民族支配と抵抗の歴史 大陸ど真ん中「ウクライナ」の歴史は 朝鮮・インドシナ・バルカン半島に似る ウクライナ戦争に関する私見14 2022年7月29日現在
<前置き ウクライナの民族問題を理解するヒント> 2022年2月に始まった「第二次ウクライナ戦争」は、ロシア軍の侵攻以来5ヶ月が経過した。ウクライナは軍事大国ロシアに抵抗を続けている。彼の国の国民がかくも頑強にロシアに抵抗する姿を見て、その背景を知りたいと思った。そこにはウクライナ人が共有する「民族の記憶」があるはずだ。その歴史を知らずに現在の「ウクライナ」を理解することはできない。そう考えた。 そう思ってウクライナや東ヨーロッパの歴史に関する文献を集め、読み込んで、頭を
「ウクライナ」という国の文化的多様性 国内東部と西部はほとんど別の国 ロシアが攻め込んだ東部「ドンバス」に 親欧米キエフとは正反対の親露住民 ウクライナ戦争に関する私見13 2022年7月8日現在
現在の「ウクライナ」という国は、現代日本のような民族的あるいは文化的な均質性が高い国ではない。その多様性は日本人の想像を超えている。 いま私たちが「日本人」と呼ぶような、文化的あるいは民族的に均一な「ウクライナ人」が存在すると誤解すると、この国の歴史と文化、多様性は理解できない。ゆえにウクライナ戦争の原因も理解できない。 なぜそれほどの文化的多様性がウクライナにあるのか。それを日本人読者に説明するにはどうしたらいいのか。頭を悩ませた。 まず、国家として現在存在する「ウク