烏賀陽(うがや)弘道/Hiro Ugaya
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五月書房新社・出版妨害事件 第一回口頭弁論が東京地裁で開かれた 被告・佐藤章らは出廷せず 烏賀陽の提訴の棄却を求め争う答弁書
You Tube番組「一月万冊」主催者の清水有高と、その常連出演者・佐藤章ほかによる出版・言論妨害事件で、烏賀陽が彼らを被告に東京地裁に提訴した民事訴訟のうち、五月書房新社事件(一月万冊事件とは分離して審理)の第一回口頭弁論が2024年3月4日午後、東京地裁民事32部504号法廷(遠藤貴子裁判官・単独)で開かれました。開廷時間はおよそ20分。傍聴席には6人の一月万冊読者の方々がお見えでした。 (文中敬称略。冒頭の写真は2023年12月26日、提訴時の東京地裁司法記者クラブで
ALPS水海洋排水・政府が隠したストーリー フクイチから海洋排水できなければ 政府のエネルギー政策は破綻してしまう 答えのカギは青森県・六ケ所村にあった
2023年8月24日、東京電力と日本政府は福島第一原発から「ALPS処理水」の海洋への放出を始めた。 2011年3月にメルトダウン事故を起こしたウラン燃料棒(またはウラン・プルトニウム混合)の、溶け落ちた残骸(デブリ)を冷やした水。これを「ALPS」(多核種除去装置)なる濾過デバイス(冷蔵庫に入れておく「キムコ」みたいな吸着剤の集合体)を通したものが「ALPS水」である。 これを海洋に投棄してよいのか。世論は賛否に分かれて沸騰した。処理後の水をどう呼ぶのかすら「汚染水
¥1,500フクシマからの報告 2024年冬 原発事故の汚染で封鎖され13年 眠りから覚めた「オラが浜」 「日本一小さな漁港」と灯台の漁村は 除染解体で消滅寸前だった
「小さくても良い浜」=「小良ヶ浜」と書いて「おらがはま」。つまり「オラ(自分)の浜」。そんな名前の小さな集落が、福島第一原発事故のすぐ近く、強制避難で無人になった被害地にある。 オラが浜。郷土愛にあふれていて、いい響きだと思った。 この小さな集落には「日本一小さな漁港」があり、沖を照らす灯台がある。2011年3月11日に東日本大震災が起き、福島第一原発事故が始まったころには、134世帯・359人が住んでいた。そう聞いた。 福島県富岡町という町の北東の隅に「小良ヶ浜」
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You Tube「一月万冊」主宰者・清水有高 その出演者・佐藤章 佐藤が取締役を勤める出版社「五月書房新社」などを 言論・出版の妨害と信用・名誉毀損で 東京地裁に民事提訴しました。
(注) ・本文中では敬称を一切省略します。 ・以下の内容はあくまで原告・烏賀陽の主張であり、被告側は被告側の主張を今後法廷で述べると思います。あくまでその前提での報道・発言をお願いします。 ・扉写真は2023年12月26日、東京・霞が関の司法記者クラブで。 1.概略本日2023年12月26日、私・烏賀陽弘道(うがや・ひろみち)は、私の著作3点の出版を妨害したことに加えて、ツイッター(現X)、YouTubeなどインターネット上での私の発言を妨害し、言論・出版の自由を侵害したこ
山上ひかり・烏賀陽弘道 「こころにビタミン」7 有料版 30分版 避妊は男の義務であり責任だ! 避妊しない男とは付き合うな!
はっきり言いますが、セックスのときに避妊をしない男はクズです。カスです。ゴミです。 淑女のみなさん、そんな男と付き合ってはいけません。ただちに捨てなさい。別れなさい。 避妊をしない結果、妊娠したときに身体、精神の負担を負うのは女性です。片務的に、女性だけなのです。相手の女性に愛情と敬意を持つ男性なら、大切な相手をそんなリスクにさらしません。 そんな重い負担を負うかもしれないリスクがある(つまり避妊しない)セックスを、女性が楽しめるはずがない。気持ちいいわけない。 男性
¥500山上ひかり・烏賀陽弘道 「こころにビタミン」6 有料版 30分版 ひかりさんも烏賀陽も、かつて「性の目覚め」って時代があったのだ。
誰にも子供から大人に移行する年ごろがあります。 それは「子供の自分」に別れを告げて、ひとりの自立した人間=大人として自我を確立していく時代です。 親、兄弟、親戚など「生まれながらにある人間関係」から抜け出して、自分独自の人間関係をつくり、自分独自の「好きなもの」を見つけていく時代です。「私とは何者なのか」を見つけ、育てていく旅立ちともいえるでしょう。 その「自分だけが見つけた人間関係」の最初は「友だち」でしょう。そこに男女愛が介在すると「恋」になります。 しかし、何も
¥500山上ひかり・烏賀陽弘道 「こころにビタミン」5 有料版 60分版 「意見が合わないことで意見が合いましたね」ってステキじゃない?
みなさんこんにちは。お元気ですか。 前回に続き、私・烏賀陽弘道がこの文章を書いています。 モデル・俳優の山上ひかりさんと対話するYou Tubeプログラム「心にビタミン」の有料版、2つ目です。60分1000円のバージョン。 今回の話題は「私たちは意見が合わないことで意見が合いましたね」という英語の慣用句。原文では"We agree to disagree"といいます。 過日、山上さんと私が、スポンサーやネットでの嫌がらせの体験について意見を交換したとき、私たちは正反対
¥1,000旧ソ連国の視点から見たウクライナ戦争を ジョージア人国際政治学者に聞いた 「ロシアは旧ソ連の『近い外国』を 対等の主権国家と考えていない」
2022年2月24日に始まる(第二次)ウクライナ戦争について、ひとつの論点を読者に提供するため、かつてソ連の一国だった国の人々に同戦争をどう見るかインタビューすることを思い立った。 ●ジョージアとウクライナの共通点 私が注目したのはジョージアである。ロシアとの関係において、ジョージアはウクライナと非常によく似た立場にあると考えた。 ①モスクワやサンクトペテルブルグを中心とする「ロシア」に軍事的に征服され、ロシア帝国→ソ連の一部として併合された。 ②1991年後のソ連崩壊
フクシマからの報告 2023年春 原発事故12年目の被害地 消えゆくふるさと 荒れ果てるわが家 住民92%がいなくなったゴーストタウン 消去される住民の生活の記憶
福島第一原発事故が始まって12年目の2023年3月11日の前後数日、私は原発事故被害地を訪ねて回った。レンタカーを借りて、同原発から半径10キロ、半径20キロと範囲を広げながら走ってみた。 フクシマの現場取材は12年間に100回を超えた。が、足を運ぶたびに、風景は変わり、残酷な現実に足が止まる。 今回も、無残な光景が広がっていた。JRの駅前にあった商店街は破壊されて、雑草の茂る空き地がどこまでも続く荒野になっていた。 「除染」という名目で建物が解体されたからだ。そんなふ
¥1,500射殺されたリトアニア人監督が遺した ウクライナ激戦下の市民の生活の記録 「7日間の取材記録に命を吹き込む」 フクシマやツナミと同じ人間の気高さ この映画には人間への愛がある ウクライナ戦争に関する論考 2023年3月1日現在
本稿は話題を少し変えて、第二次ウクライナ戦争(2022年〜)下の市民の暮らしを記録したドキュメンタリー映画「マリウポリ 7日間の記録」の話をする。 この映画は2023年4月15日の東京を皮切りに、全国の主要都市で公開される。世界でも初めての劇場公開である。 私がこの映画を知ったのは偶然だ。映画の配給宣伝会社から試写の案内が来たのだ。オンラインで試写を見た。 冒頭写真:殺害されたマンタス・クヴェダラヴィチウス(Mantas Kvedaravičius)監督。特記のない限り
ウクライナ戦争を理解する歴史知識7 ウクライナ・ロシア32年間の負のループ 政治・経済・国際関係とも抜け出せず 最後は武力侵攻という暴挙に ウクライナ戦争に関する私見 分析編 2023年2月1日現在
前回、前々回本欄で、ソ連崩壊・ウクライナ独立後32年の歴史をたどってみた。たいへん複雑である。自分で書いていても、平易にまとめるのに四苦八苦した。 そこで、さらに本編で「分析と解説」を加えることにした。 ロシア・ウクライナの過去32年の歴史を調べていくうちに、いくつかの「パターン」が繰り返されていると私は考えるようになった。そのうち、特徴的な次の3点を抽出してみた。 (1)「経済」「政治」「国際関係」3つの負のループに2国間関係がはまり込み、抜け出せなくなった。 (2)
ウクライナ戦争を理解する歴史知識6 ロシア産天然ガスのくびきから解放され ウクライナは脱露から反露へ転換 露も報復に転じ武力衝突へエスカレート 終わりなき泥沼の離婚劇 ウクライナ戦争に関する私見 後編・各論 2023年1月25日現在
今回は1991年、ソ連が解体しウクライナが独立した後、現在に至るまで32年間の歴史を時系列でたどってみる。350年の悲願である主権国家を持ったウクライナにとって、独立は夢と希望に満ちた出発だった。それが32年間で「旧社会主義国でいちばん貧乏な国」に転落した。一体何があったのか。 (注)本文中では、2014年に始まるロシアのクリミア半島併合と東部2州への軍事介入を「第一次ウクライナ戦争」、2022年に始まる軍事侵攻を「第二次ウクライナ戦争」と記す。2014年にはすでにロシアの
ウクライナ戦争を理解する歴史知識5 軍事侵攻以前から続くロシアとの紛争 政治混乱と汚職・寡頭支配で不安定 ウ経済はソ連時代の6割に縮小 32年間政治・経済体制の移行に失敗 ウクライナ戦争に関する私見18/概観 2023年1月20日現在
今回は1991年にソビエト連邦が崩壊、ウクライナが主権国家として独立してから、2022年2月にロシアが軍事侵攻するまでの話をする。 日本人の大半は、2022年2月24日にロシアの軍事侵攻が始まって初めて、ウクライナという国に注意を向けるようになった。「戦争が始まるまで、ウクライナはどんな国だったのか」を深くは知らない。その空白を埋めようというのが本稿の狙いだ。 前編では、まず独立後ウクライナのOverall View=全体像を俯瞰していく。いわば「概観」「概論」である。後