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ちょっとちょっとの小太郎

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記事一覧

襲来

ある日地球に

悪の化身が降ってきた

冷酷で

無慈悲で

鋭い牙と

鋭利な爪を持ち

邪悪な目をした

その者の体長は

約0.1ミリ

蟻たちには相手にされなかったが

ミジンコとはいい勝負だった

あー今日は散々な一日だった

鏡の中の俺

ひどい顔をしている

髪はボサボサで

無精ひげは伸びて

頬はこけ

目の下にはくま

「髪切れよ」

誰かが言った

あーうるさい

「ひげも剃れ」

また別の誰か

「飯を食え」

「ちゃんと寝ろ」

うるさい、うるさい、うるさい

「お前らちょっと黙ってろ!」

この鏡、叩き割ってやろうか

背後霊の映る鏡なんて

買わなきゃ良かった

ウルトラソーラーパネル

すごいソーラーパネルを作った

1メートル四方の大きさで

物凄い集光能力を発揮する

どれくらいって

この大きさで地球に当たる

太陽光をすべて集めてしまう

お陰で地球は真っ暗

なんと氷河期になっちゃった

みんな寒いだろうけど

僕のお金儲けの為に我慢してね

それから

あんまり暗くて寒いと可愛そうだから

お正月とゴールデンウィークと

お盆はそれぞれ三日間だけ

ソーラーパネルを

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歯みがき

まったく新しい歯みがきの登場です

一度磨けば

それだけでOK

どんなに黄ばんだ歯でも

たちどころに真っ白になります

しかも歯を削ったりする事なく

とても安心です

白い歯はみんなの願い

さあ、あなたも今日から

白い歯生活始めましょう

主成分は白ペンキという

とてもシンプルな歯みがきです

あなたもぜひ一度

お試し下さい

お食事会

お食事会に招待された

招待状には

ごく軽装でお越し下さいと書いてある

軽装と言われても悩んでしまう

やはりスーツが無難か

でもこの招待状

差出人は?

名前を書き忘れたのか

それともサプライズのつもりか

会場は森の小道を進んだ先

その森へは入った事がないので

少しだけ不安

だがどうせ友人の悪ふざけだろう

ヒマだから乗ってやろう

私はスーツに着替え

その森へと分け入った

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猫カフェ

一丁目のカフェには

たくさんの猫がいる

俺は一人隅のテーブルで

友人を待っている

中央のテーブルには三人組

三丁目のマドンナのハートを

射止めるのは誰かと騒いでいる

その向こうには髭の似合う

物静かな紳士

まん丸な目をしたウエイトレスが

またたび酒を運んできた

ここは猫カフェ

俺たち猫が集まる憩いの場所

魔法使い

私は魔法使い

魔法を使って色んな事をした

人助け

環境保護

他にも色々

人々は私を讃えた

魔法使いの学校を開いた

生徒がどんどんやって来て

魔法をマスターして

どんどん卒業していった

そして世界中が魔法使いだらけになった

私よりすごい魔法を使う者が増えて

私は水準以下の魔法使いになった

あーあ

教えなきゃよかった

事件

その事件は

避暑地のある別荘で起こった

殺されたのはその別荘のオーナー

巨大企業の会長、毒蝮権蔵

凶器は別荘に飾られていたブロンズ像

犯人はブロンズ像で

被害者の後頭部を一撃

別荘にいたのは

次期会長と目される被害者の長男と

怠け者で嘘つきの次男

被害者から多額の借金をしていた

被害者の弟

そして

被害者の愛人

毒蝮権蔵は出来のいい長男よりも

出来損ないの次男に目をか

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死刑執行

西暦2900年

犯罪の爆発的な増加を危惧した

地球国政府は

軽犯罪の厳罰化を決議し

その執行をロボットに委ねた

それから100年

西暦3000年を迎える

記念すべき日に

私は処刑される

そしてこの地球から人類は消滅する

そう、私は地球で最後の人間

その罪名は

私の他に

もう一人だけ生き残っていた人間の

死刑執行を阻止しようとした罪

そして

ロボットから

司法権を取

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透明人間

透明人間になる薬を作った

ソッコーで私はそれを飲んだ

だがその薬は

体が透明になるのはもちろんだが

私の声は誰にも聞こえなくなるし

壁でも何でもすり抜けちゃう

つまり空気と一緒

私の期待以上に薬は効いたのだ

元に戻る薬は机の上に置いてあるけど

触る事も出来ない

「誰か、助けて!」

って、もう100年以上も

呼び続けているんだけれど

私の地下研究所を知る者はいない

この薬

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惑星ZOO

色んな動物がいる

アンドロメダ象

カシオペアうさぎ

ここは宇宙の動物園惑星

今日は家族でやって来た

子供たちが目を輝かせ

動物たちを見ている

「お父さんこの動物、なんて名前?」

「これはキリンだよ」

「へー、首が長いんだね。どこの星の動物なの?」

「これは地球の動物さ」

「地球って?」

「昔、火星の向こうにあった星だよ」

「ふーん」

宇宙の果て

コールドスリープの最長設定は100年

私はこれを70回以上続けて

宇宙を旅した

宇宙船は私の開発した加速型エンジンを搭載

この船は停止させない限り

無限に加速を続けてゆく

速度は光の70兆倍以上

重力反発装置のおかげで

どんなものにも衝突することはない

だが新しい発見は何もなかった

私はコールドスリープ装置に入ることを止め

年老いて死ぬことを選択した

そして40年

安らか

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記念樹

一つの恋が終わるたびに

僕は記念樹を植える

思い出を

思い出としてとっておくために

そしてその記念樹も

今植えたもので

20本を数える

海を見下ろす

小高い丘の上に並ぶ記念樹は

僕の青春のモニュメント

そして

その記念樹の根元に

眠っているのは

僕の大切な思い出たち

彼女の持ち物を

すべて海へと流す儀式を終え

僕はまた

新しい恋をさがす

こどもの国

僕たちはこの国で生まれた

そして少しずつ

この国の事を知った

そして色々な疑問を持った

このままではいけないと思った

大人たちはこの国を良くするために

いったい何をしたのか

そこで僕たちは立ち上がった

子供たちの

子供たちによる

子供たちのための政治

そう僕たちは政治家になった

被選挙権?

25歳?

関係ないよ

この国には25歳の

人間なんていないから

それどころ

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