事件

その事件は

避暑地のある別荘で起こった

殺されたのはその別荘のオーナー

巨大企業の会長、毒蝮権蔵

凶器は別荘に飾られていたブロンズ像

犯人はブロンズ像で

被害者の後頭部を一撃

別荘にいたのは

次期会長と目される被害者の長男と

怠け者で嘘つきの次男

被害者から多額の借金をしていた

被害者の弟

そして

被害者の愛人

毒蝮権蔵は出来のいい長男よりも

出来損ないの次男に目をかけていた

動機は誰にでもあった

刑事の薩尽寺 健は皆を集めて言った

「犯人はあなたですね」

刑事薩尽寺 健は

真っ直ぐに私を指差した

私?

あっ、申し遅れました

私は

馬鹿の間抜けのと罵られ

今月限りでくびを言い渡されていて

血だらけのシャツを着て

肩で息をして

ガタガタ震えている

運転手の

鹿馬 猿尾と申します

私は刑事 薩尽寺 健を見て言った

「よく私が犯人だと分かりましたね」

その時

そこにいる全員が口を合わせて言った

「そりゃ分かるわ!」

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