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鍼灸こばなし

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一般的には知られていない日本鍼灸界の実情や、誰も教えてくれないであろうお役立ち鍼灸ネタを随時UPしています。
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#医学

腎臓病の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例3)

腎臓病の予防と治療(『中華医薬』に学ぶ実際の症例3)

最近は副作用がないと信じて、不要なほどの漢方薬やサプリメントの類を毎日欠かさず摂取している人がいるらしい。そして、それらの過剰摂取によって、知らず知らずのうちに、腎障害や肝障害に至るケースが少なくないようだ。日本では透析を始めてしまうと、その後は絶望感に苛まれながら、限られた余生を全うせねばならぬようなケースも珍しくない。

確かに、外科などでは名医と呼ばれる医師が日本にも存在するけれども、腎疾患

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アメリカで鍼灸が動き出した日(H.R.6 into law!)

アメリカで鍼灸が動き出した日(H.R.6 into law!)

2018年10月24日、トランプ大統領がH.R.6という法案に署名した。

これまでアメリカでは、オピオイド薬による死亡者が年間数万人以上に上り、鎮痛薬の過剰摂取が社会問題になっていた。『Dr.HOUSE』で、Hugh Laurie扮するDr.HOUSEが、バイコディン(コデイン)中毒に陥ったのと同じような状況が、多くのアメリカ人においても現実になっていたわけだ。アメリカでは、2017年に約7.2

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中国針灸がユネスコ入りした話

中国針灸がユネスコ入りした話

2010年、針灸は無形文化遺産として、ユネスコにリスト入りした。と言っても、保護対象になったのは中国針灸だけの話であって、日本鍼灸はほぼ無関係だ。これに対し韓国は猛反発しているそうだが、日本ではこの話題自体に触れる鍼灸師が皆無に等しい。

そんな状況を鑑みると、中国針灸に対する情報収集能力に関しては、日本よりも韓国の方が優れていると言えるかもしれない。さすがは年間50億本と言われる針の世界製造市

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家庭で出来る灸治療

家庭で出来る灸治療

以下の内容は、2015年に院長が中国の最新文献を参考に、素人向けの灸療法の内容をまとめたものです。ご自宅での養生にご活用下さい。
*灸は誰にでもやって良いものではありません。特に妊婦や出血傾向がある患者、糖尿病など易感染傾向にある患者、乳幼児や高齢者には施灸しないでください。下記に記した注意事項は必ず守って下さい。火の取り扱いには十分ご注意下さい。また、灸は煙が大量に出ることがありますので、換気の

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小児針について

小児針について

八王子中央診療所所長、小児科医の山田真氏が書いた『はじめてであう 小児科の本(福音館書店)』という本を読んだ。小児科関係の医学書はいくつか読んでいるが、これは中々の良書だ。最近、第三版が出たので、早速最新版をアマゾンで注文した。予防接種に関しての内容が加筆されたようだ。

題名からすると小児科に限った内容に思えるが、医療全般について記されているから、成人を診ているような医療者にとっても有益な内容で

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最新の刺鍼法

最新の刺鍼法

中医経典の1つである『针灸大成(針灸大成)』には、“病滞则久留针(病が長引くのであれば、針を長時間留める)”、と記されている。

つまり、すでに古代中国では、一定時間の留針(置鍼)によって、より良い効果を得られることが知られていた。

それゆえ、中国では、刺鍼の刺激量に関する科学的な研究が古くから行われ、太い針を用いた方が明確な効果が出やすいことが常識となり、中医は好んで太い針を用いるようになった

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