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「パラサイト 半地下の家族」雑感
本年度のアカデミー賞・作品賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」はご覧になった方ももう多いと思います。
ポン・ジュノ監督らしい、社会的なテーマを映画的な美しい表現で彩った秀作だというのが最初の感想です。
前半、スパイ映画のような、流れを変えて行くテンポはとても良かったのですが、
そこから先は、個人的には大どんでん返しはなかったかなという印象です。
ただ、予算をたっぷりかけたという、二つの家を
さよなら「MOCO’Sキッチン」 初代プロデューサーが語るその真実
僕が立ち上げの総合プロデューサーを務めた「ZIP!」の看板コーナーである、「MOCO’Sキッチン」が、今日の放送をもって終了しました。同時に番組開始当初からメインパーソナリティを勤めていただいた鈴木杏樹さんも卒業。僕にとっては番組の持つ時代の変化を感じさせられる出来事でした。
「MOCO’Sキッチン」ができるまでの詳しいエピソードは僕の著書「一流のMC力」に詳しく書きましたが、改めてあの頃を思い
博報堂メディア環境研究所のプレゼン雑感 その4
広告が再び見直されている?新しい世代の若者の行動としてもう一つ興味深かったのは、広告に対するスタンスです。
彼らは広告だから飛ばすのではなく、自分に有益ならそれは関係ないというのです。
我々のような動画配信メディアと、ブランドやメーカーなどの広告主は、今まで「どうやったら広告っぽい表現から遠ざかるか」に心を砕いてきた部分がありました。ブランド自体が発信するCMや広告は、それ自体として機能していたの
博報堂メディア環境研究所のプレゼン雑感その3
情報のクリップの仕方の変化
博報堂メディア環境研究所の発表でもう一つ世の中の新しい流れとして特徴的だと思ったのは、「とりあえず情報をクリップしていくこと」です。
若者たちは、自分に有益だと思ったものは、反射的にクリップしていく。
これは新しい行動だなと感じました。
僕らのような50台になると、まだその生理感に追いついていけません。どちらかといえば、必要な時に検索に行くという、インターネットを「プ
博報堂メディア環境研究所のプレゼン雑感をその2
スマホの動画視聴はなぜ伸びるのか、その要因は
前回に続いて、博報堂メディア環境研究所のプレゼンテーションで気づいたことを書いて行きたいと思います。
スマートフォンによる動画視聴がどうして伸びているのか?
まず前提条件として今回のプレゼンで明らかになったように、メディア接触におけるスマホの占有時間が増えたことが挙げられます。
そして、スマホが伸びる要因は2つの側面から語れるのではないかと思います。
博報堂メディア環境研究所のプレゼン雑感
スマホメディアへの接触時間が100分を超えた少し前の話になってしまいますが、博報堂メディア環境研究所のプレゼンテーションを聞きに行ってきました。
テーマは「情報引き寄せ 意思決定を変える”自分情報圏”」というものでしたが、かなり興味深い内容でした。
まず僕が興味をそそられたのが、2018年の調査におけるメディアの総接触時間のデータでした。
調査によると、総接触時間は過去最高に増えて396分(1日あ
2018年を振り返る。「カメラを止めるな」が投げかける映像業界への問題提起
「カメとめ」で思ったこと今年の話題の映画「カメラを止めるな」について考えておきたいと思います。
映像制作の世界に長く身を置く一人として、ある種、楽屋落ちになりそうなテーマを爽快なエンターテインメントに仕上げていることに、正直素直な喜びを感じました。
最初の30分の「ワンカットゾンビ映画」を、残りの時間を使って丁寧に回収していく手法はコメディとして消化することで秀逸な読後感を感じさせることに成功して
2018年を振り返る。「TikTok」の大元はチャップリンだった!?
動画で早送りはなぜ多用されるのか?今年大ブレークをした動画サービスに「Tik Tok」が挙げられます。10代を中心に小学生まで利用するようになったこの動画コミュニケーションサービスは中々テクノロジーの塊です。一方で動画自体は「早送り」を多用したコンテンツの面白さに溢れています。
「C CHANNEL」でも当初から早送りを利用した動画を制作していました。
スマホで多く再生される動画には、この「早送
キー局アナウンサー志望者に知っていて欲しいこと
アナウンサーの履歴書写真は詐欺?アナウンサー志望者にとっては常識の範疇だと思いますが、最近のエントリーシートはとてもビジュアル重視になってきています。
これは笑い話ですが、アナウンサー志望者がこぞって依頼する伊勢丹写真館の技術が激しく向上した結果、プロフィールとして添付されている写真と本人との差が広がったという噂もあるほどです。その結果、写真選考の意味をなさなくなってしまったのです。ですからテレビ
ネットフリックスとアマゾンプライムが目指すもの 外資系と日本系のVODの今後を占う
ネットフリックスとアマゾンのもっとも大きな違いは日本におけるテレビ局発のVOD(ビデオオンデマンド)サービスと、ネットフリックスやアマゾンプライムのような世界資本の戦いについて、ちょっと裏側から解説してみたいと思います。
「Amazon Prime Video(アマゾンプライムビデオ)」、「Netflix(ネットフリックス)」も「Hulu(フールー)」というアメリカ資本の3つのサービスを切り取って
再編進むインターネットの動画メディア。 明日はどっちだ?
縦型動画が定着した理由は?インターネットメディアの再編が進んでいます。日本テレビの同期入社だった森川亮さんと僕が「C CHANNEL」を立ち上げたのは3年前、2015年でした。
スマホの動画メディアを新しく立ち上げる際に紆余曲折はあったものの、「縦型で行こう」と心に決めてスタートした「C CHANNEL」。縦型動画は「うまく行かないだろう」という声も大きかったことを覚えています。それでも結果的に、
テレビ局発のVODサービスはどこに向かうのか?
林立する見逃し配信サービスの次の戦略はテレビ局のサービス延長型プラットフォームの特徴について考えてみたいと思います。
いわゆる「見逃し配信サービス」は基本的には「曜日、時間、編成」をベースにしたテレビ番組の見逃し視聴をテーマに提供されています。リアルタイムに見逃してしまったプログラムを、好きな時に見直すことができるサービスです。
2014年頃から本格的に始まったこうしたテレビの見逃しVOD(Vid
東京3チャンネル開局の言葉
日テレで「ZIP!」などを作って来ました。みなさん、はじめまして。
コンテンツプロデューサーの三枝孝臣と申します。
まずは簡単なプロフィールからご紹介させていただきます。
僕は、大学卒業後、日本テレビ放送網に入社してから、バラエティを皮切りに情報、ドラマなど、幅広いジャンルをまたいで番組を作ってきました。
在籍中に関わって来た番組は100本くらいだと思います。最初に手掛けたのがぶらぶら系番組の