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自然と向き合う

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環境問題や自然を通して感じたこと
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記事一覧

木に対する思い

木に対する思い

私たちは3年前、この場所に家を建てた。
当初は近隣で中古住宅を探していたのだけど、思うような物件に巡り合えず、思い切って新築することにした。

ソローの「森の生活」にとても感銘を受けていた私は、家にお金をかけることにとても抵抗があった。
一方で、数十年でゴミになり、建て替えられていく現代住宅には大きな違和感を感じていた。
だから、家を建てるにあたって、できるだけ使い捨てを前提としたようなものには投

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水と緑と土

水と緑と土

富山和子の「水と緑と土」を読みました。
あとがきの「水と緑と土は同義語」という言葉がとても印象に残っています。
水があるところに緑と土がある。
緑あるところには水と土がある。
土は水と緑によってもたらされる。

分業化・機械化・工業化が進むと、そういった有機的なつながりが切り離されてしまい、目に見えなくなってしまいます。
土から離れて、生きることに直結しない仕事に時間と労力を費やし、必要なものはお

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ブータン 山の教室

電気も水道もない、ブータンで一番の僻地にある学校を舞台にした映画です。
村長は、この村では仕事といえばヤク飼いか冬虫夏草を集めるしかない。
教育があれば別の道ができる、と言うのですが…
大自然の中でつつましく生きる村の人たちを見ていると、果たしてそれがよいことなのだろうかと考えてしまいます。
こういう風にして、世界のあちこちで小さな村が、その土地で受け継がれてきた文化とともに消えていくのだなぁと…

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尊い実り

尊い実り

今年は梅の実が豊作でした。
収穫しながら、こんなに元気になってくれたんだなぁと木の生命力に驚かされ、胸がいっぱいになりました。
山盛りのカゴを眺めていると、一粒一粒がこの木の分身のように感じる。
大事にいただこう、と思いました。

梅の木は、よそのお宅を更地にする時にお庭からいただいてきたものです。
あまり手入れもされていなくて、いびつな樹形の老木だったけど、何もない庭に植えてみると、四季折々の楽

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タネと農業の未来

「タネは誰のもの」という映画を観ました。
農家にとってタネというものがどれだけ大切で、人任せにできないものなのか。
種子法廃止、種苗法改正がどういう意味を持つのか。
ほぼ反対派・農家側の視点の映画なので、育種権者の立場からは反論もあるのかもしれませんが、デメリットを掘り下げて理解することができました。

私は一消費者の立場で観て、TPP交渉が始まった時と同じ不安を感じました。
政府は、生命の基盤で

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自然と生活のバランス

只木良也さんの『森と人間の文化史』という本を読みました。
とても心に残る本でした。
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都市住民は、農山村に「田舎であること」を強要し、農山村の生活基盤ともいうべき道路や施設の建設、時には間伐などの山林の手入れ、治山工事にさえ、自然破壊だと目くじらをたてる。
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特にこの部分は胸に刺さりました。
自分自身、目くじらを立てたことも、立てられたこともあるなぁと。

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「沈黙の春」を読んで、ワクチンについて考えた

レイチェル・カーソンの「沈黙の春」を10年以上ぶりに読み返して、改めて化学薬品の恐ろしさに衝撃を受けました。
出版から60年近く経つのに、この本の本質は少しも古くなっていないと思う。
ただ、あとがき(解説)でも指摘されているけど、今の暮らしを保とうとする以上、ある程度化学薬品に頼らざるを得ない部分もあるのだと思います。

日本でも最近話題になったヒアリについてのくだりもあって、実際農業被害もそれほ

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