自然と生活のバランス

只木良也さんの『森と人間の文化史』という本を読みました。
とても心に残る本でした。
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都市住民は、農山村に「田舎であること」を強要し、農山村の生活基盤ともいうべき道路や施設の建設、時には間伐などの山林の手入れ、治山工事にさえ、自然破壊だと目くじらをたてる。
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特にこの部分は胸に刺さりました。
自分自身、目くじらを立てたことも、立てられたこともあるなぁと。

先日、山が崩れても工事なんてすべきじゃない!と主張する人に出会いました。
自然環境だけを考えたら、土木工事は自然破壊にしか見えないかもしれません。
でも、毎年のように豪雨等で土砂災害が発生している中、そういう危険のある地域で暮らす人たちにとって、治山・砂防工事はどれだけ心強いものでしょうか。

また、森林を適切に管理・利用していくためにはある程度の林道が必要です。
特に人工林は手入れをしなければ荒れてしまい、山地災害の危険も高まります。
山を守ることは、川や海を、そして川下に暮らす人々の暮らしを守るということ。
だから、山村や林業の価値を、木材価格や産出額などの経済的な視点だけで判断してはいけない。

これからは、「仕事だから」とただやるのではなく、様々な人にその必要性を理解してもらえるような取り組み方ができたらいいな、と思いました。

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