【プレビュー】『シーズンの折り返し地点』~第21節大分トリニータVSファジアーノ岡山~

マッチプレビュー

求めたい攻撃の連動性の向上。ランニングプレーでニアゾーンを突く

今季初の逆転負けを喫した前節・東京V戦は、攻撃の連動性に乏しかった。U-20ワールドカップを戦った佐野がドリブルで左サイドを突破し、ルカオが相手CBに競り勝ってゴールに向かっていく。立ち上がりから個の力でチャンスを作ったが、どれも単発的なもので相手に対応されてしまった。そんな中で後半に奪った先制点は、相手選手の間をズバッと通した河野のパス精度とそれを収めてネットを揺らした仙波の高い技術がもたらしたもの。選手それぞれがアタッキングサードでのプレー精度を高める努力を続けることが、得点力向上に必要なのは間違いない。しかし、今節は独力でシュートチャンスを作り出せるチアゴ・アウベスが出場停止となる。強烈な個の力を持ったストライカーが不在であるため、チームとしてフィニッシュにつなげる形を創造することがより求められる。

14日の公開練習では、全体で連動してゴールに向かっていく攻撃の形に取り組んだ。目指すのは、PA内の深い位置である“ニアゾーン”の攻略だ。タッチライン沿いに立つサイドの選手を起点に、MFが飛び込んでいくのか、FWが流れて抜け出すのか。複数人が流動的に動きながら素早くパスを回す中、ランニングプレーでニアゾーンを突く攻撃だった。木山監督が細かな指示を伝える中、選手同士の活発なコミュニケーションも見られた。狙いを持った攻撃を展開するべく、チームは共通理解を深めようとしている。

大分と対戦する今節はリーグ戦の折り返し地点だ。志向する形から得点を取って2位の相手を下し、勢いよく後半戦に向かっていきたい。また、上位争いに食い下がるためにも、是が非でも勝利が欲しい一戦だ。

コラム

大分の地でプロ初得点を決めた佐野航大。今年はチームを勝たせる

佐野航大は大分の地でプロ初得点を決め、一気にブレイクしていった。

米子北高から入団したプロ1年目の昨季は、開幕戦に途中出場してJリーグデビューするも、決して順風満帆なスタートではなかった。なかなか先発出場の機会を得られず、第15節・千葉戦で9試合ぶりに先発したが、ハーフタイムで交代を告げられた。ゴールに向かうプレーという強みを出せずに悔しさを滲ませた。

それでもU-19日本代表として6月にフランスで開催された国際大会を経て、翌月の第26節・大分戦だった。左SHで11試合ぶりに先発すると、果敢にドリブルを仕掛けてチャンスを作り、クロス押し込んでプロ初得点を決めた。フランスでの経験を結果に結び付けたことで一気に自信を深めると、それ以降は中心選手としてチームの躍進を支えた。

あれから約1年。佐野はU-20アジア杯、U-20W杯を戦い、替えの効かない選手として再び大分の地に立つ。より高いレベルの国際舞台で手応えや課題を持ち帰り、海外でプレーするという個人の目標、J1昇格&J2優勝というチームの目標を達成するために必要なのは、個人の結果。良い思い出のあるスタジアムで狙うのは、得点だ。今年こそは引き分けでなく、チームを勝利に導く。

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