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経済で「史跡」を守る

こんにちは。今回の記事は史跡の保存活用について説明していきます。

日本の史跡

史跡とは遺跡、古墳、城跡、寺社、旧宅など、歴史上価値が高いものを指し、日本の歴史や文化を理解し、継承していく上で欠かせない存在です。また、史跡は国や自治体によって指定されています。その史跡や文化財の数は、2021年時点で国が指定されたもので、約20000件あります。加えて、自治体が指定されたものでも数万件あります。

保存と負担

日本の史跡は多く残っており、日本人として誇らしいことです。しかし、史跡は維持管理するのに負担がかかります。史跡は国民の共有財産であり共通利益です。ですが、人口減少などで税収の安定性が低下し、財政上維持が難しくなっています。また、労働人口も減っているため、整備するための人員が不足している状態です。都市圏や京都や奈良などの有名な史跡はなんとかなっていますが、ローカル的な史跡は難しい状態です。

観光業で史跡を守る

これらの問題を解決するには、都市圏や海外の人達を日本の地域に呼び込み、史跡にたくさんお金を落としてもらうことです。つまり、観光業の産業で史跡の保存•整備予算を確保することです。

観光業は世界中から注目されている産業であり、世界のGDPでは約10%占めています。観光輸出で1兆7000億米ドルとなり、平均すると毎日47億米ドルが海外旅行で支出されています。
世界経済において観光産業はエネルギー、科学製品に次ぐ第3の基幹産業という位置づけになっています。観光業は大きな需要や付加価値を生み、史跡を守る上で観光業は大きな力になります。

一般的な市場は競争やリスクが高く、いくら大きな利益を獲得しても、いずれ倒産します。しかし、史跡を取り扱う観光業は、史跡がある限り、永久的に接続可能で安定的な収益を獲得することができます。また、史跡からくる経済波及効果によって、史跡の整備や修理するための事業や、お土産屋、飲食店、宿泊施設、輸送業、製造業、インフラ整備などの需要拡大や新たな雇用が生まれ、社会にとって安定的で接続可能な発展を生み出すことができます。

経済波及効果のグラフ-観光庁

財政だけだと限界があり、史跡を充分に維持することはできません。だが、観光業の活用で、史跡に観光客がたくさんお金を落とすことができれば、自主的に維持管理ができるようになり、史跡を守ることができます。

観光客を史跡に呼び込むには

都市景観の統一

これらの収益を生み出すには、観光客を呼び込むのは当たり前です。地域の史跡に都市圏や海外の人達を呼び込むには、史跡周辺の街並みを統一することです。日本の史跡周辺は現代の建物が立ち並びており、街並みがばらばらです。これは地域だけではなく、京都や奈良でも同じです。

欧州の街並みを見れば分かりますが、史跡や文化財に合わせて、街並みが統一されており、史跡と同じ文化的な景観になっています。伝統的な文化の街並みを保存するのは、欧州にとっては当たり前なことです。ですが、日本では歴史的な街並みを統一せずに、街並みがばらばらで、街の歴史性を感じられません。歴史的な都市なのに、景観を統一しないのは外国人にとっては理解できません。これでは、いくら発言力を強化しても、この状態では、史跡の魅力が伝えきれず、観光客はやってきません。先進国では古い街並みは法律でしっかり守られています。日本でもそのような法律もありますが、それはほんの一部だけであり、規模が小さいです。
外国人観光客の感想では、「景観の美しさ」より「治安の安全性やゴミの少なさ」の方が評価が高いのです。治安の安全性やゴミの少なさは一般の街でもできることです。これ以上の屈辱はありません。

歴史的で美しい街並みは、観光客だけ得するのではなく、地元住民にとっても利益になり財産にもなります。想像してみて下さい。もしみなさんがヨーロッパ旅行で歴史のある都市へ観光したとして、景観より治安やゴミなどの感想が出てくるのでしょうか。美しい街並みでタイムスリップしたような雰囲気の中で、地域や国の文化を味わうのが普通です。日本には歴史的背景がある都市が複数あり、欧州のような美しい街並みを整えることは可能です。しかし、そのような認識は日本にはあまりありません。

世界には、なんらかの事情で街並みがめちゃくちゃになったことはたくさんあります。しかし、国や自治体が文化を守るために、歴史のある街並みを整備や復元した例がいくつもあります。1番有名な例はポーランドの"ワルシャワ"です。ワルシャワは第二次世界大戦で街が荒廃していました。しかし、ポーランドはワルシャワの街並みを歴史的で美しい街に復元されました。その復元されたおかげで、ワルシャワは世界遺産に登録されました。また、ワルシャワは旧市街を整備するのではなく、近代的な建築物も建設され、旧市街エリアと近代都市エリアにしっかりと分けています。これは他の欧州の都市も同じです。

日本でも旧市街エリアと近代都市エリアに分けるべきです。先程も説明しましたが、京都や奈良、その他の地域では景観がばらばらで、統一している場所もありますが小規模です。しかし、欧州のような大規模で美しい街並みを整えることができます。そうすれば、観光客がやってくるだけではなく、地元住民の文化的な生活が発展され、様々な娯楽や芸術、技術の充実や、精神が癒されて幸福度も上がるでしょう。地域社会の秩序やアイデンティティが安定されます。

展示を整備

もちろん、都市景観整備だけではなく、史跡の観光ガイドや展示も必要です。史跡の詳細を観光客に知ってもらい、様々な人達に史跡を知ってもらうことも大切です。観光客が史跡に訪れる理由は史跡や周辺の街の歴史の知識を得て、歴史文化に触れ合うことです。史跡や文化財は知識を得る場所であることはもちろん、体感•体験するための場所でもあります。観光ガイドや展示で、幅広い日本文化を発信し、興味を抱かせることが大切です。

史跡の潜在能力解放へ-知名度を上げるには

日本にはあまり有名ではないが、歴史的に魅力がある史跡はたくさんあります。教科書にも載っている歴史的重要な史跡でも、観光業ではあまり発達していない史跡を、どのように知名度を上げ、史跡の潜在能力を解放させるかが課題です。

一つ目は復元や整備拡大です。例えば、城跡や古墳、遺跡の建築物を復元し、復元したことをSNSやマスコミなどで、アピールし人々の注目を集めることです。興味を持った人達が来るようになります。

2つ目は現存建築物の魅力発信の拡大です。現存建築物は復元されたものと違って、本物の歴史文化に触れることができ、魅力や重みがあります。日本の建築物は百単位前の建築物がたくさんあり、有名ではないものでも幾つもあります。そんな史跡の魅力発信するには、現地見学ツアーの開催や、ウェブサイトの作成、建築物をテーマにしたイベント、メディアの取材協力など、様々な活用で発信すべきです。普段興味がない人でも、アピールすることができ、歴史を知る機会を作ることができます。

3つ目は飲食店や宿泊施設の誘致です。史跡の周りに観光戦略特区を設け、優遇税制などで観光ビジネスの企業を誘致し、城下町のような街並みを作ることです。それと同時に史跡を整備し、遺構の保存や復元などをすれば、観光客から注目を浴び、史跡や地方が活性化するでしょう。

史跡を残す重要性

最後に史跡は何故残すべきなのかを説明します。大小関係なく史跡や文化財の一つ一つが我々人類の物語の痕跡を知るうえで欠かせない存在であり、歴史的背景や文化の芸術•技術、宗教、思想を学び、社会全体に教養が身につけ、よりよい文化や社会を作り出すための大切な知恵の源です。長い歴史から現代社会までに何億人の人生の運命や国や地域の文化を動かし、そして未来の人達や文化も動かしていく、命同等の存在価値があります。史跡は過去から現代へと、現代から未来へと繋ぐ『架け橋』なのです。

また、史跡は社会共通利益や社会共有財産であり、国際•地域交流、経済活動、教育、社会秩序、文化、芸術、技術、平和的象徴などの様々な恩恵を生み出し、文化や社会の成長をへと繋がります。もし、史跡を失えば、もう二度と歴史文化を見ることや触れることができず、社会や文化が大きく損失し、過去から次の時代へと繋ぐ「架け橋」もなくなります。史跡は貴重な歴史の資産なのです。

それと、日本が史跡を多く保存されているのは、日本が国力が大きい証拠であり、国力を無ければ、史跡をここまで維持管理をすることは難しいです。つまり史跡の保存性は国力の象徴でもあるのです。史跡は私達が想像するより、存在価値が大きいものです。史跡が残ったおかげで、地域の文化や社会の発展を大きく支えることができた自治体もたくさんあるでしょう。ですので、我々は後世や未来の発展のために、文化の遺産である「史跡」を守らないといけません。


以上

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