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ピンク色のインフィニティ

いつか舞った桜の雨は
形を変えてまた降り注ぐの

「おめでとう、またね」
名残惜しい気持ちで校門をくぐった
それで終わり、学生生活の終わり
いや一区切りがついただけ

卒業したってまだ途中
さよならしてもまだ途中
ひとつ終わってまた始まって
新しい道がまたいくつも現れた

「さてどっちに進みます?」

次の選択肢を迫られた私は
迷いながらもひとつの道を指差した
正解なんて無いのかもしれない
進んで見なけりゃわからない

ずっと途中、まだまだ途中
ひとつ失くしたパズルのように
エンドロールの無い映画のように
次へ次へが手招いては見送るの

見たような景色
似たような環境
知っているような人たち
気づけばその中にいて

もう会う事も無いと思っていた人に
「あ、久しぶり」なんて
また始まる事もあったりもして

丸いのか無限なのかインフィニティか
この世界はぐるぐる回るを繰り返す
その場で足踏みしているだけかもなんて
地団駄踏んだら上からもその音が聴こえたの

「この無限ループから脱出したいんです!」
と終わりを求めてヤケになって無茶をして
「さよなら」を告げたはずなのに

魂は存在していて意識はハッキリ
ふわふわ彷徨って空に引き寄せられたら
「次はどこから始めましょうか?」
と虹の次元の人から言われるんだ

死んでもきっと終わらない
命を絶っても「残念でした」と
あっちの世界で目が覚めるだけ

またいくつもの道から
ひとつを選んで歩きだして
「行ってらっしゃい」「行って来ます」
そう何度目かの手を振り合った

かかとのすり減ったブーツが
「もう限界だ」と弱音を吐いて
似たような靴を買ったら
「また選んでくれたね」と喜ばれ

いつかの何かが形を変えて
私の元へと戻って来たらしい
それが何かは知らないし教えてもくれない

ピンク色の派手なブーツは
桜のじゅうたんと同化して
足を上げてひと蹴りしたら
花びらは上へ上へと舞い上がったの

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