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シン映画日記『エスター ファースト・キル』

ユナイテッドシネマ浦和にてスリラー映画『エスター』の前日譚『エスター ファースト・キル』を見てきた。

本作は『エスター』の時11、2歳だったイザベル・ファーマンがそのまんま25歳ぐらいでまたエスター役をやって主人公に。

エストニアの精神病院にいたリーナ(=エスター)は高い知能から病院を脱走し、ネットで自分にそっくりな行方不明になっている少女エスター(オリジナルエスター)を見て、エスターになりすますことを思いつき、アメリカのコネチカット州にあるオルブライト家に娘エスター(リーナエスター)として迎えられることに。

前作では謎の不気味な養女エスターと彼女の周りで起こる不可解な出来事を見ていく映画だったが、
本作では映画の観客が既にエスターが何者であるか分った状態から、オルブライト家での出来事を見ていく。
いわば、本作は「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」のような倒叙型の推理ドラマ形式、倒叙ミステリー、倒叙スリラーといえ、いかにして、養女エスターとなったかの成り行きを楽しむ。

さらに本作でもう一つポイントになるのが、エスターを迎え入れるオルブライト家にある。なぜ、オリジナルのエスターが行方不明になったか、という謎を考えていく展開になり、中盤からこれに呼応した流れになる。
加えて、オルブライト家の面々がいつ彼女がオリジナルエスターでなく、リーナエスターであることに気付くか、というのもポイントになる。

まあ、何と言っても外見は10歳、中身はアラサー女子のリーナエスターのサイコパスっぷりに尽きる。いかにして生き抜くか、相手を陥れるかの連続だし、何よりもいつバレるかのドキドキが尽きず面白い。
さらにはオルブライト家の長男ガナーのクズっぷりもなかなかである。一応、フェンシングをするスポーツマンだが、パーティー好きなアメリカンでパリピだから、歳が離れた妹を疎んじる。
母親は根は悪い人じゃないが、ガナーにまつわる隠し事と明らかに怪しいエスターに対する猜疑心から徐々にガナーと一緒にエスターを疑う。
これに美術好きな父親もいるが、この父親が図抜けたお人好し&鈍感さで周りの出来事をことごとくスルーする。

つまり、サイコパスVSクズ親子&お人好しパパという構図になる。あと、オリジナルエスターの行方不明を捜査するやや勘が鋭い黒人刑事が常にオルブライト家を見回り、これからトラブルに発展する。

終盤に大掛かりな立ち回りがあり、派手さもある。
おおよそは偶然ながら『TITANE/チタン』やヒッチコックの『裏窓』や『サイコ』、『疑惑の影』などを引き継いだサイコパススリラーに仕上がっている。

期待通り、いや、期待のちょい上を行く、グレートな『エスター』の前日譚だった!


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