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教育のはしくれ

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塾産業の中で教育などと偉そうには言いませんが、父親として息子たちと向き合ってきた一人としての体験と意見。時代的に早すぎた「イクメン」としての背景から、言葉を零してみます。
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#教会

ごめんなさい

ごめんなさい

中3の受験生。今年はどうも、騒がしい。落ち着かない、というのか、余裕を見せたいとでも思っているのか、休み時間にも勉強をする、という生徒が少ない。まだよく分かっていない幼さのせいなのかもしれないけれど、他方、制約されないのだ、という気持ちなのか、やたら何かと喋って笑っている。
 
これまでも何度か注意を促した。だが、すべての教師が言うわけではないらしく、通じない生徒には通じない。中1や中2ならまだ分

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知らないことに気づくために

知らないことに気づくために

坂本真綾さんのラジオ番組で聞いた。お店で瓶ビールを注文したとき、店員に「おちょこはいくつお持ちしますか?」と尋ねられたという。偶々何か言い間違えたのかと思っていたが、もちろん届いたのはジョッキであった。当の店員は、別のテーブルでも同じように言っていたそうだ。無粋だろうから敢えて説明はしないが、ビールを飲むために「お猪口」を使う人は、まずいないだろうと思う。
 
毎月テーマを決めて話題を募る番組で、

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完璧にしなければ

完璧にしなければ

英語の授業に、ついて行けているでしょうか。無理だったら英語の授業を受けるのをやめようかと……。
 
最近塾に入った生徒の母親が悩みを相談してくる。担当は私である。実に意外だった。その生徒は熱心であり、よくできるからだ。確かに小学校では、聞いたり話したりというのは近年よく指導されている。教科となっているから、きちんと教えられている。ただ、小学校ではライティングについてはあまり強く指導していないようで

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マニュアル頼り

マニュアル頼り

受験生のための仕事であるから、この時期、忙しいのはもちろん分かっていた。そして、それを幾度となく毎年繰り返してきた。けれども、今年は一段と与えられた負荷が大きく、仕事の持ち帰りを含めて、キャパオーバーになっているところがある。
 
それはありがたいことかもしれない。仕事があるからだ。だが受験生のために複数科目が宛がわれると、苦しいのは苦しい。さらに、推薦入試の作文指導となると、何十人もの作文を添削

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共につくる

共につくる

息子がジャズのギターを学んでいる。大きなバンドでは、そう目立つばかりであってはならない。いや、小さなバンドでもそれはそうだろう。リズムを刻む重要な役割がある。しかし、ソロあるいはソロ・フィーチャーというような演奏の時間も与えられることがある。そこでは主役である。聴衆を魅了することが求められることになる。
 
そのソロだが、中にはきっちりフレーズも決めて、決めた通りに演奏する、というタイプの人もいる

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読めていない・聞けていない

読めていない・聞けていない

トリセツなどという言い方が通用するようになったのは、いつ頃からだろう。西野カナの歌が広めたのは確かだが、私自身はもっと以前から使われていたような気がする。根拠は見つからないので、話半分に聞いて戴きたい。
 
取扱説明書。製造物責任法にも関係して、どんな商品にも説明書が付くようになった。危険性については特に、警告をしておかなければ、責任が問われることになる。ところでこうしたトリセツ、私たちは、しっか

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ミスの体験

ミスの体験

小中学生のテスト監督をしていると、テストに対する姿勢というものを教えられる。自分がテストを受ける側だったあのころは、ほかの人がどうかなど知る由もなく、自分はこうする、しか知らなかったからだ。
 
早く解答欄を埋め終わって裏返し、余裕を見せるかのように文具をいじり続ける子。頭の回転は速いのだろうが、見直しをまともにはやらない。面倒くさいのかもしれない。それは分かる。こうして私が綴る文章でも、読み返し

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