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聖書と信

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聖書はひとを生かすもの、という思いこみだけで、お薦めします。信仰というと引かれそうですが、信頼などの信として、ひとや世界を大切にする思いが、少しでも重なったらステキだな、と思いつ…
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2021年2月の記事一覧

病と聖書

病と聖書

風病(ふびょう)という病気があった、と平安時代の絵巻物にあるそうだ。体が始終震え、口が歪み、手足の麻痺が見られるという。どうやらいまの「風邪」ではないようだ。医療研究者立川昭二氏の見立てによると、「脳卒中」ではないかという。病気を起こす悪い風にあたったのだ、と見られていたらしい。
 
それが、江戸時代になると「中風」とも呼ばれるようになる。「中」は「あたる」と読む。「命中」や太陽の「南中」などでお

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『火のない所に煙は』(芦沢央・新潮社)

『火のない所に煙は』(芦沢央・新潮社)

若いミステリー作家。殺人事件や探偵が登場するタイプではない。ホラーもの、とも言い難い。今回は、作家が新潮社から依頼を受けて怪談ものを書くというところからスタートする。短編がいくつも連なっているが、一つひとつは別の件である。但し、この作家が最初に書いた「染み」という怖い話に反応して、別の話が届けられたり、ファンめいた押し入りがやってきたりして、次々と怖い話が重なっていく。一つひとつの話は独立している

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ごめんなさい

ごめんなさい

とりあえず謝る。日本人はすぐにそうするが、こういうのを西洋でやると負けだ、などという俗説がある。しばしば聞くのは、決してそんなことはない、という声である。ジェントルパーソンは、礼儀正しいのがあたりまえであるのだとか。いや、これは無責任な、また聞き。
 
クリスチャンは、要するに、神さまに「ごめんなさい」を言った人、というのが子どもたちに対して話すときの基本ではないだろうか。これを大人がすっかり忘れ

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詞が先か、曲が先か

詞が先か、曲が先か

ヒット曲を生むソングライターには、詞も曲も自分でつくるというケースが少なくない。そのときしばしば、詞が先か、曲が先か、という質問が出たものだった。最近はあまり聞かないような気がする。
 
曲が先、という人が多かったように思う。すると、言葉が軽んじられている、と批判する識者も出てくる。今では名曲とされるような歌でも、以前の本で酷評がなされていた。言葉にはイントネーションというのがあるが、メロディがそ

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神はあなたをひとりにしない

神はあなたをひとりにしない

二羽の雀が一アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることはない。(マタイ10:29)
 
幾人かの学者が指摘していると教えてもらったが、ここで「お許し」という語はマタイによる福音書の原文には全く存在していない。日本語に訳すと、「あなたがたの父なしで、地に落ちることはない」というようになるだろうか。
 
ある学者は、ここを自分なりに解釈した

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赦さなかったからなのか (2)

赦さなかったからなのか (2)

聖書を、教義として信じるという考え方がある。当たり前だと言われそうだ。宗教なのだから教義を信じないでどうする。確かにそう言われても仕方がない。だが私は必ずしもそうは思わない。聖書によると、○○は××すべきである、そういう命題を掲げて信条としてよいものなのかどうか、疑問がある。
 
3:28 はっきり言っておく。人の子らが犯す罪やどんな冒涜の言葉も、すべて赦される。
3:29 しかし、聖霊を冒涜する

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赦さなかったからなのか (1)

赦さなかったからなのか (1)

仲間を赦さない家来のたとえというのがある。マタイ18章にある。まずペトロがイエスに質問をする。自分に対して罪を犯した仲間に対しては赦さなければならないと教えてもらったが、何度くらい赦せばよいだろうか。七回も赦せばなかなかのものだと思うのですが。
 
イエスは、赦すのは回数制限をしないと答えた。そして、神の国ではどういうことをすることになるのか、たとえ話で答えた。
 
王が、家来に金を貸していた。あ

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画を作るのではなく

画を作るのではなく

全国大会出場となると、地元の新聞社が取材に訪れる。高校が賑やかになる。出場決定の電話が入るその日、報道陣が待ちかまえている。電話を受けるシーンがよく放送され、選手たちが「やったー」などと笑顔でVサインなどを画面に向ける。無邪気でうれしそうなニュースに、地元の人々は祝福を贈るだろう。
 
だが、これらはみな「やらせ」である。
 
このように電話をとってください。さあ、こんなふうにポーズをとって、笑顔

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