マガジンのカバー画像

こころ

146
ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
運営しているクリエイター

#宗教

『宗教と子ども』(毎日新聞取材班・明石書店)

『宗教と子ども』(毎日新聞取材班・明石書店)

当然、と言ってもよいと思う。2022年7月8日の安倍元首相銃撃事件から、毎日新聞社に、ひとつの取材が始まった。
 
宗教とは何か。これを問うことも始まった。特にその狙撃犯が位置しているという「宗教2世」という存在に、世間が関心をもった。次第にその眼差しは、彼らを被害者だという世論を巻き起こしてゆく。そして、子どもに宗教を教えてはいけない、というような風潮が、「無宗教」を自称する人々により、唯一の正

もっとみる
「すずめの戸締まり」と「火の鳥」

「すずめの戸締まり」と「火の鳥」

「すずめの戸締まり」がテレビ放映された。地上波で初放送だった。「君の名は。」のヒットから、「天気の子」も、夫婦で映画館でまず観た。それまで地味な活動を続けていた新海誠監督は、これらの作品でメジャーになり、アニメ界でトップクラスの地位に就くこととなる。
 
いずれも、災害がモチーフになっている。その災害に向き合う方法の主軸として、神道色の強い作品である。神楽が重要な意味をもったり、稲荷神社や気象神社

もっとみる
『みんなの宗教2世問題』(横道誠編・晶文社)

『みんなの宗教2世問題』(横道誠編・晶文社)

2022年の安倍晋三元首相の殺害事件により、背景にあった統一協会の組織と信者、その家族との関係が、一躍有名になった。それを受けて、信者そのものというよりも、その信仰活動による被害者として逃れられない位置にいる、子どもたちのことが取り沙汰されるようになった。いわゆる「2世」問題である。
 
以前からずっと統一協会問題に関わり、組織の批判と人的救出に尽力してきた弁護士やジャーナリストの声が、もはや他人

もっとみる
『「神様」のいる家で育ちました』(菊池真理子・文藝春秋)

『「神様」のいる家で育ちました』(菊池真理子・文藝春秋)

2022年の流行語とすらなった「宗教2世」であるが、本書はサブタイトルに「宗教2世な私たち」という形で、その実態を訴えることとなった。この言葉が世間に知れ渡ったのは、2022年7月の、安倍元首相の殺害事件を通してである。その容疑者の身の上を表す言葉として、それが浮かび上がった。
 
本書は、その前に書き上げられている模様。だから、決して「ブーム」に乗って売ろうとしているわけではない。尤も、本来集英

もっとみる
「宗教二世」という言葉

「宗教二世」という言葉

流行語として2022年に現れた言葉がある。表現として、どうにも引っかかるのが「宗教二世」という言葉である。子どもに宗教を教えることがいけない、という勢いで用いられているように見えるからである。もちろん、虐待や金銭に関する犯罪的な行為について、それを親の権利であるかのように当然視してはいけないはずだ、という考えがベースになっているわけで、ようやく統一協会問題を通して、健全な意識が社会に生まれたという

もっとみる
空白の30年間

空白の30年間

偶々テレビで、久しぶりに統一協会について語る有田芳生氏を見た。かつて社会問題化したときには、この人の命懸けの解説が、適切な判断がなされるために、貢献していたのだが、久しぶりだというのは、その後、テレビで同様に統一協会問題で解説をするという機会が、殆どなかったように見受けられるからだ。
 
つまり、そのような解説は、もはや視聴率に影響しない話題となり、マスコミが取り上げなくなったからである。だから、

もっとみる
宗教についてもっと考えて戴けたら

宗教についてもっと考えて戴けたら

捜査中の事件について、憶測をするつもりはないし、ましてそれを無責任に公言して、ひとを惑わすようなことはしたくない。事実と感想とを述べるという点をご理解戴きたい。
 
どうやら、若い世代のキリスト者や牧師などの中には、統一協会なるものをご存じない人も多いらしい。再臨のキリストという信仰による教祖により、強力な組織力をもったグループである。あれほどマスコミが騒いだ「合同結婚式」も、何のことか知らないの

もっとみる