マガジンのカバー画像

哲学のかけら

70
哲学も少しはかじっています。なにもそんなこと考えなくてもいいんじゃない、と言われるところも、でもさ、と考えてみる、それが哲学。独断と懐疑に終わらずに常に自分の至らなさを認めるあた…
運営しているクリエイター

#正義

猫の写真家に

猫の写真家に

猫の写真家の本に対して、吠えている書き込みがあった。この写真家は汚い猫の写真を撮らないが、世の中には傷つき病気になり死んでいく猫がいることを知らないのか、そのために尽力しないで自分だけ猫の写真で金儲けをしているのはけしからん、というのだ。どうも、このような考えを呈する人は時折いるようで、ちょつと検索すると、ブログなどでも複数見かけた。
 
私が猫が好きだから、というわけでもないし、その写真家の写真

もっとみる
言うべきこと

言うべきこと

確か、小学六年生の時だったのではなかったか。交通安全の作文を書いたら、県で入選してしまった。公欠扱いで車に乗せられて、警察署に行って表彰されたことがあった。小学生に似つかわしくない、ルーズリーフファイルの、けっこうビジネスライクなものをもらったと思う。それと、テプラか何か。こういうのに現金関係は出ないことになっている。
 
その作文が、警察関係か何か、公的な新聞(広報紙)で公表された。交通遺児とな

もっとみる
悪く言うことの必要と危険

悪く言うことの必要と危険

選挙前の政党や候補者が、甘い声で、いかにもいいことをメディアで語るとする。それが結局裏切られるということを、これまでも重々経験しているはずなのに、私たち投票者は、「みんな」に合わせて行動してしまうのも不思議である。
 
いや、だから与党ではないところを支持するのだ。そう息巻く人々もいる。特にキリスト教関係者には、威勢のいい声がよく飛び交う。選挙や政治に対する考えは、宗教とは関係がないから、それはも

もっとみる
刹那主義の見直し

刹那主義の見直し

  今さえよければ
  今倖せなら
 
歌詞にもあるこうしたフレーズの考え方は、しばしば「刹那主義」と呼ばれる。「刹那」は仏教用語であり、最小の時間単位とも言われる。一秒の何十分の一か知れないほどの、まさに瞬間であるが、これに「主義」が付くと、いまこの瞬間だけの感情に身を任せ、過去も未来も何も気にしない、という生き方の姿勢を意味することになる。
 
そんな、後先も考えないような生き方など、よろしい

もっとみる
本当にそれでいいのか

本当にそれでいいのか

「民主主義」は絶対的な善である。
「分断」は悪である。
 
本当にそれがすべてなのか。そこから何か間違った道に水が流れていくようなことにはならないか。こうした眼差しで、世を見張ることにも、キリスト者は神から期待されているものだと考えている。
 
たとえば「民主主義」は、古代ギリシアのプラトンからみれば、衆愚政治であり、人間社会を滅ぼすものと見られていた。もちろん時代背景や政治状況がいまとは異なる。

もっとみる
ひとを悪く思ってはいけないのか

ひとを悪く思ってはいけないのか

論理正しくあればよいのだ。そういう感じで押し切ってくる人がいる。職場の上司であると、これはもう逆らえない。こうだからこうするはず。何故できないのか。何故そんなことを言ったり訊いたりするのか。
 
しかし、そこで繰り出される論理は、しばしば別の場面とは食い違うことがある。ある時にはAだから、と理由を付け、ある時にはAではないから、と理由を付ける。要するにその時々に、自分が言うことが正しいのであって、

もっとみる
人を数にしている私たち

人を数にしている私たち

連日、新型コロナウイルスの感染者の数が、ニュースのほぼトップに挙がってくる。新規感染者、死亡者が数字となる。それにより、非常事態宣言が発令されたり、解除されたりする。政策の上で、それはひとつの指標となっている。
 
思い出す。「一人の死は悲劇だが、集団の死は統計上の数字に過ぎない」
 
誰が最初に言ったのか、情報は錯綜している。しかし、次の言葉ははっきりしている。
 
「一人殺せば悪人だが、100

もっとみる