田丸まひる

歌人・『晴れのち神様』『硝子のボレット』『ピース降る』https://www.amaz…

田丸まひる

歌人・『晴れのち神様』『硝子のボレット』『ピース降る』https://www.amazon.co.jp/dp/4863852630/

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笠木拓歌集『はるかカーテンコールまで』のかわいいの話

 2024年3月24日、京都にて笠木拓さんの歌集『はるかカーテンコールまで』(港の人)の批評会が開催された。  久しぶりにお会いする方も初めての方も、インターネットを通…

田丸まひる
2か月前
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風邪ひきと痛風の夜 しんくわ(2016)

 今、痛風の発作にくるしめられています。運よく今日と明日が休みなので、その期間でなんとか普通に歩けるくらいの痛みにまで回復できないものかねと願いながら、夜中のフ…

田丸まひる
8か月前
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六月の鳩  しんくわ(2018)

 どうやら僕の住んでるアパートの部屋の窓の外の金木犀の枝の中に鳩が巣を作っているらしくて、部屋の中にいると低い鳩の鳴き声がする。さっきバサバサッと羽ばたかせるよ…

田丸まひる
8か月前
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春風町33番地測量計画頓挫中(ぺんぎんぱんつの紙 33枚目はweb)田丸まひる

moderate さくら色のマスクが風に舞い上がる暮らしのなかに足りないなにか でもそれはちゃうんちゃうんと言えなくて小道に指がかじかんでいる 浴槽にもたれてライブ配信…

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春風町33番地測量計画頓挫中(ぺんぎんぱんつの紙 33枚目はweb)しんくわ

覚えてない夜のはなし 人間なんてチャウシェスク ルーマニア産のワインを飲んで歩道を斜めに歩いて帰る チョコレートもらった 腹を揉まれた 僕からは、何を返すのか!…

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2020年6月の日記

 本当だったら(本当ってなんだろう)2020年6月には、Juice=Juiceの宮本佳林ちゃんの卒業コンサートがあって、わたしは東京で号泣しているはずだったんだなと思っているう…

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2020年5月後半の日記

 そういえばもうずっと半袖で過ごしていて、日差しが強いのでカーディガンを着なくちゃいけないと思っているのに、面倒くさくてクローゼットから出せないままでいる。わた…

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2020年5月前半の日記

 ゴールデンウィークは天気のいい日が多かったので、R(11ヶ月児)の歩く練習も兼ねて、連日海辺の公園に散歩に行っていた。地方のいいところなのかもしれないが、広い公…

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2020年4月後半の日記

 こういう日記、ちょっと面倒だなって思うと途端に書けなくなってしまう気がする。誰かのために書いているわけじゃないし、それでもいいんだけど、続けられるところまでは…

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2020年4月前半の日記

 4月1日は、雨だった。10か月になった子どもは、よちよち歩きというよりもドスドスという擬音語が似合うような歩き方(二階で歩かれると、一階に音が響いている)で、はじ…

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2020年3月後半の日記

 桜の季節。盛大にお花見をする習慣はないけれど、職場に向かう途中に咲いている花を見るのは好きだったな、と思い出す。それから、いつかの歌会で紀野恵さんがソメイヨシ…

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2020年3月前半の日記

 明るい気持ちでいたいな、ただ。そう思っているのに、なんだかざわざわという音が聞こえてくるような日々。テレビを見るととても疲れる。近所のドラッグストアでもトイレ…

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2020年2月後半の日記

 赤ちゃんもだらだらするんだ、と思う。ひとりで子ども向け番組を観ていた乳児が、いつの間にか寝転んで授乳クッションにうまくもたれているのを見つけて、それどこで覚え…

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2020年2月前半の日記

 2月2日は、徳島県立文学書道館で11日まで開催されていた文学特別展「現代詩歌の冒険」のイベントのひとつ、ことのは歌会。紀野恵さんと一緒に講師をさせていただいた。短…

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2020年1月後半の日記

 暖冬だと思う。仕事を休んでいるのもあって、早朝や夕方に外に出ることが少なくなったせいもあるのかもしれないが、去年は毎日のように着ていたユニクロのウルトラライト…

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2020年1月前半の日記

 年明け。いつもどうやって迎えていいのか分からずにいたけれど(というか当直勤務していることが多かった)、今年は七か月の子どもと迎える。本当はもう寝ていてほしい時…

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笠木拓歌集『はるかカーテンコールまで』のかわいいの話

笠木拓歌集『はるかカーテンコールまで』のかわいいの話

 2024年3月24日、京都にて笠木拓さんの歌集『はるかカーテンコールまで』(港の人)の批評会が開催された。
 久しぶりにお会いする方も初めての方も、インターネットを通じてお互いずっと知っていたけど20年を経て会うことのできた方もいて、とても楽しかった。
 人と会うのはいいな、と思う。会える時に会っておかなくちゃ、とも。タッチしてもいいかなと確認してから触れる手の温度も、会わないと分からない。

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風邪ひきと痛風の夜 しんくわ(2016)

風邪ひきと痛風の夜 しんくわ(2016)

 今、痛風の発作にくるしめられています。運よく今日と明日が休みなので、その期間でなんとか普通に歩けるくらいの痛みにまで回復できないものかねと願いながら、夜中のファミレスでこの文章を書いています。さっきコーヒーをおもいっきりひっくり返してしまい、結構高いジャージがビショビショになってしまいました。悪い時には悪い事が重なってしまうものです。

 あっ、そうそう、酷い風邪もひいています。十一月に津山市で

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六月の鳩  しんくわ(2018)

六月の鳩  しんくわ(2018)

 どうやら僕の住んでるアパートの部屋の窓の外の金木犀の枝の中に鳩が巣を作っているらしくて、部屋の中にいると低い鳩の鳴き声がする。さっきバサバサッと羽ばたかせるような音も聞こえた。僕が(いるな)と思うと同時に、窓の向こうの鳩も建物の中にいる僕に気づいているはずである。なぜならば、人間である僕のほうが、身体も大きくて、足音や、くしゃみやイビキとか、鳩よりも大きな音をたてているからだ。たぶん卵を抱いてい

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春風町33番地測量計画頓挫中(ぺんぎんぱんつの紙 33枚目はweb)田丸まひる

春風町33番地測量計画頓挫中(ぺんぎんぱんつの紙 33枚目はweb)田丸まひる

moderate

さくら色のマスクが風に舞い上がる暮らしのなかに足りないなにか

でもそれはちゃうんちゃうんと言えなくて小道に指がかじかんでいる

浴槽にもたれてライブ配信を観る日がくると思わなかった

ぼんやりと燃えるこころの灯火の推しメンカラーの歯ブラシを買う

つよつよになるしかなくて灰色のマスクを抜け殻みたいに外す

一緒には怒ってくれんひとばかり怒ったほうがええとか言うて

好きなひと

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春風町33番地測量計画頓挫中(ぺんぎんぱんつの紙 33枚目はweb)しんくわ

春風町33番地測量計画頓挫中(ぺんぎんぱんつの紙 33枚目はweb)しんくわ

覚えてない夜のはなし

人間なんてチャウシェスク ルーマニア産のワインを飲んで歩道を斜めに歩いて帰る

チョコレートもらった 腹を揉まれた 僕からは、何を返すのか!何もないじっと手を見る

車を買おう メルカリでイタリアの次元の乗ってた車を買おう

どうしてどうして僕たちは歩道を斜めに歩くんだろうね

人の命のみじかさ 僕の左には先日振られて飲みすぎてゲロ撒き散らかした女がいる人の命は短い!

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2020年6月の日記

2020年6月の日記

 本当だったら(本当ってなんだろう)2020年6月には、Juice=Juiceの宮本佳林ちゃんの卒業コンサートがあって、わたしは東京で号泣しているはずだったんだなと思っているうちに過ぎていったひと月だった。佳林ちゃんが幸せに卒業できますように。

 0歳児から1歳児へと華麗に転身したRは、積み木を積んだり投げたり、キティちゃんのぬいぐるみと遊んだりで忙しい様子。保育園でも「ぬいぐるみが好きです」と

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2020年5月後半の日記

2020年5月後半の日記

 そういえばもうずっと半袖で過ごしていて、日差しが強いのでカーディガンを着なくちゃいけないと思っているのに、面倒くさくてクローゼットから出せないままでいる。わたしは日焼けはしたくないんだけど。

 5月の連休明けに仕事に復帰して、なんとか慣れようとしている日々に、R氏の毎週週の初めに発熱しちゃうけどなにか?イベントが続く。週に一回、病児保育に連れて行くパターンになって、本人も慣れているような気がす

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2020年5月前半の日記

2020年5月前半の日記

 ゴールデンウィークは天気のいい日が多かったので、R(11ヶ月児)の歩く練習も兼ねて、連日海辺の公園に散歩に行っていた。地方のいいところなのかもしれないが、広い公園にはそれなりにたくさんの人が訪れているものの、隣の人が数十メートル先という距離感で、みんなのんびりと歩いたりお弁当を食べたりしている。Rは、草をむしって食べていた。

 R氏、名前を呼ぶと手をあげて反応してくれるようになったのだけど、キ

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2020年4月後半の日記

2020年4月後半の日記

 こういう日記、ちょっと面倒だなって思うと途端に書けなくなってしまう気がする。誰かのために書いているわけじゃないし、それでもいいんだけど、続けられるところまでは続けたい。

 この期間はR(10か月児)の体調に振り回されて、通院以外はずっと自宅にこもっていた。本当にステイホームだった。自分の体調も芳しくなく、しばらくダウンしていた。以下、長いのだけど、自分が今後冷静に対応するための熱性けいれんの記

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2020年4月前半の日記

2020年4月前半の日記

 4月1日は、雨だった。10か月になった子どもは、よちよち歩きというよりもドスドスという擬音語が似合うような歩き方(二階で歩かれると、一階に音が響いている)で、はじめて保育園の自分の組に入っていく。慣らし保育ということで徐々に預ける時間を長くしていったけれど、初日からこちらが拍子抜けするほど余裕で、泣かなかった。

 0歳児だと、それぞれが一人の世界で過ごすことが多いのかと思っていたら、そろそろ1

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2020年3月後半の日記

2020年3月後半の日記

 桜の季節。盛大にお花見をする習慣はないけれど、職場に向かう途中に咲いている花を見るのは好きだったな、と思い出す。それから、いつかの歌会で紀野恵さんがソメイヨシノがクローンである話を少し怖い話として楽しそうに話していたことも。

 この季節に出る桜のイメージの商品はなんだか愛おしくて、今年は桜の香りのシャンプーを買って、桜のドーナツを食べた。

 生後9か月だった子どもは、この期間に10か月の子ど

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2020年3月前半の日記

2020年3月前半の日記

 明るい気持ちでいたいな、ただ。そう思っているのに、なんだかざわざわという音が聞こえてくるような日々。テレビを見るととても疲れる。近所のドラッグストアでもトイレットペーパーなどの紙類が全滅していた。たぶん責任を取らない人が「闘い」とか「責任」とか繰り返して発言するのを見せられて、こういうのが戦争の始まりだと思った。

 どんな日常も奪われていいはずがない。行きたかったライブが、思い切り水をかけられ

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2020年2月後半の日記

2020年2月後半の日記

 赤ちゃんもだらだらするんだ、と思う。ひとりで子ども向け番組を観ていた乳児が、いつの間にか寝転んで授乳クッションにうまくもたれているのを見つけて、それどこで覚えたん?と訊いても答えは返ってこない。

 元気になった8か月児は、この期間に9か月児に。離乳食はしばらく前から三回食にしているが、出せば出した分だけすべて食べる。食材を増やしたいのでベビーフードを積極的に導入。それにしても、お皿が空になると

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2020年2月前半の日記

 2月2日は、徳島県立文学書道館で11日まで開催されていた文学特別展「現代詩歌の冒険」のイベントのひとつ、ことのは歌会。紀野恵さんと一緒に講師をさせていただいた。短歌や歌会というものが初めてという方も多かった歌会、皆さま緊張気味の感じで始まったものの、徐々に盛り上がって、楽しい時間になったかなと思う。

 あとから送っていただいた写真を見ると、わたしも紀野さんも、おすましすることなく口を開けて大笑

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2020年1月後半の日記

2020年1月後半の日記

 暖冬だと思う。仕事を休んでいるのもあって、早朝や夕方に外に出ることが少なくなったせいもあるのかもしれないが、去年は毎日のように着ていたユニクロのウルトラライトダウンの出番がほとんどない。厚めのカーディガンでなんとかなっている。スーパーの生鮮食品売り場には耐えられないけれど。

 1月後半は出かけることや友達が家に来てくれることが多かった。ふと思いついて、子どもを連れて空港に行ったり、子どもと、義

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2020年1月前半の日記

2020年1月前半の日記

 年明け。いつもどうやって迎えていいのか分からずにいたけれど(というか当直勤務していることが多かった)、今年は七か月の子どもと迎える。本当はもう寝ていてほしい時間だったけれど、普段とは違う環境だったせいか興奮して起きていた。クッションを振り回して叫びながらのカウントダウンを見せてくれる。

 年末年始は香川にいたので、大晦日の昼は年越しうどん、年をまたぎながら年越しそば(海老の天ぷら入り)、一日の

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