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歴ログ-世界史専門ブログnote版-

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はてなブログ「歴ログ-世界史専門ブログ-」のnote版です。 https://reki.hatenablog.com/ はてなブログに掲載していた記事の転載・再編集版を公開して…
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#世界史

世界に散在する謎だらけの古代文明

世界に散在する謎だらけの古代文明

世界史の教科書の一番初めは、アウストラロピテクスとかクロマニヨン人とかですが、その次は黄河文明、メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、クレタ文明、アッシリア、ヒッタイト等々、古代世界のメジャーどころが名を連ねます。
ですが、このような古代文明もある時突然起こったわけではなく、彼らの前任者が何千年と文化・技術・言語・宗教・芸術を発展させた上で花開いたものであります。

ということで、今回は

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西ヨーロッパの原型「フランク王国」の正体

西ヨーロッパの原型「フランク王国」の正体

カール大帝とフランク王国と言えば、高校の世界史でも大きく扱われるし、800年の「カールの戴冠」はセンター試験にも登場します。
メロヴィング朝のカール・マルテルがイスラム軍を打ち破った732年の「トゥール・ポワティエの戦い」や、前王のピピン3世が行った「ピピンの寄進」もめちゃくちゃ有名です。
これだけ後のヨーロッパに大きな影響を与えた事柄をが起こったフランク王国ですが、日本ではあまりこの時代は人気

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チェチェンの歴史

チェチェンの歴史

「チェチェン」といえば名前くらい聞いたことがあると思います。
では具体的にチェチェンの場所がどの辺りなのか、なぜ人々がテロに訴えてまでロシアに抵抗するか、そこまではあまり知らないのではないかと思います。
物理的に遠いというのもありますが、我々とあまり経済上交流がないというのも日本人がチェチェン問題に疎遠な理由の一つである気がします。
チェチェン問題が複合的理由や現地で実際何が起こっているかなど

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ポルトガル・ファシスト政権の「生き残り戦略」

ポルトガル・ファシスト政権の「生き残り戦略」

1929年10月、ウォールストリートで起こった株価の大暴落は、後に世界的な大恐慌を巻き起こしました。
アメリカやイギリスなど各国が自国の保護を優先して通貨や自国産業の保護を優先しブロック経済に走った結果、植民地を多く持たないドイツ・イタリア・日本といった国は全体主義を推し進め暴力的手段を用いて経済危機から脱出を図ろうとし、結果的に第2次世界大戦が勃発することになったのでした。
さて、ヨーロッパの中

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敵兵から恐れられた「伝説のスナイパー」10人

敵兵から恐れられた「伝説のスナイパー」10人

戦争に行ったことはないので詳しくはわかりませんが、「いつ撃たれるか分からない」という緊張状態に常に置かれるのは、想像を絶するものに違いありません。

もしかしたら今この瞬間、狙撃兵に狙われていて、次の瞬間に頭を撃ち抜かれるかもしれない。

実際に歴史上の凄腕スナイパーはそのようにして音もなく近寄り、的確に敵兵の体を撃ち抜き続けた。味方からするとこんなに頼りになる存在はありませんが、敵からすると「悪

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すごくカッコイイ「死にぎわのセリフ」

すごくカッコイイ「死にぎわのセリフ」

漫画・アニメでは「クールなセリフ」を吐いて死ぬキャラがたくさんいます。

有名なところで言ったら、北斗の拳・ラオウの「我が生涯に一片の悔いなし」でしょうか。みんなそれぞれ思い入れがあって、好きなキャラの死にぎわのセリフがきっとあるでしょうね。

現実の歴史上の人物にもカッコイイセリフを吐いて死んでいった者がたくさんいます。そのかっこよさはまるで漫画のようです。

1. 「イタリア人の死に様をお前

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世界史のおもしろい「大混乱期」TOP10

世界史のおもしろい「大混乱期」TOP10

私が世界史で好きな時代は「混乱している時代」です。

経済やテクノロジーの発展、または気候の変動などで為政者がこれまでのやり方で国を統治できなくなり、そこに外から勢力がやってきて国内と結びついたり、逆に国内でうまく時流にのって天下をひっくり返したりする。そんな時代です。

今回は勉強したらきっと興奮するに違いない地域・時代をセレクトしてみます。あくまで個人的な主観に基づいたものなので、ご容赦くださ

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ケベックの歴史と独立運動の発展

ケベックの歴史と独立運動の発展

カナダ・ケベック州は、カナダ東部の大西洋に面した地域で、カナダでも有数の大都市モントリオールを抱えます。
約150万平方キロの広大な土地に約770万人の人々が暮らしています。

ケベックはフランス系住民が建設した北アメリカ植民地ヌーヴェル・フランスが元となっており、イギリス系とは長年に渡って対立、時には戦闘状態にあった歴史があります。カナダ連邦の一部ですが、現在でもケベックでは英語に加えてフランス

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なぜ「モンゴル帝国=キリスト教国説」が流布したか

なぜ「モンゴル帝国=キリスト教国説」が流布したか

我々の感覚的にはあまりピンときませんが、モンゴル帝国が台頭し周辺各国を怒涛のように飲み込んでいく様を聞き、西欧人の多くは
「異教徒からエルサレルムを解放しに東方のキリスト教大国がついに動いた」
と歓喜の声を上げました。

後にそれは間違いだったと分かるのですが、それでも「実はモンゴル皇帝はキリスト教信者である」という話を教皇や国王を含む多くの人が信じていました。
それは 「絶対にいるはず」の東方の

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失敗に終わった5つの共産主義革命

失敗に終わった5つの共産主義革命

20世紀は戦争の時代であると同時に、革命の時代であります。
ロシア革命に始まり、中国内戦、インドシナ戦争、キューバ革命など、ソ連の組織的な支援を受けて次々と赤化していき、それを食い止めるためアメリカを始めとした西側諸国は世界各地にカネや武器をばら撒いていきました。

アメリカの支援にも関わらず革命政権が樹立されるがその後の内政がマズくて崩壊していったケースが多いような印象を受けますが、実は途上で革

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包茎手術の文化史

包茎手術の文化史

女性には理解できないでしょうが、年頃の男子にとって「皮」は非常にセンシティブな問題です。どこの皮かというと、あの部分の皮です。
だいたい中学生くらいになると世の男の子たちは、どういうわけか「これはむくものだ」と理解して、試しにお風呂場とかでむいてみるのです。

ただし最初はひっじょーに痛い。傷口に針を差し込むぐらい痛い。

この痛みは言わば男子の「通過儀礼」のようなものですが、世界には物理的に皮を

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寡兵が大軍を打ち破った「超大逆転勝利」

寡兵が大軍を打ち破った「超大逆転勝利」

日本史の「超大逆転勝利」と言えば、桶狭間の戦いでしょう。兵の質も量も指揮官の能力も圧倒的に今川勢有利だったのに、それを若き織田信長が完全にひっくり返してしまう。日本の戦国の戦いの中で最もドラマチックな戦いと言えます。

それに勝るとも劣らない「超大逆転勝利」は世界史にもたくさんあります。その中でもとびきりの逆転劇をピックアップしてみました。

1. ロンゲワラの戦い1971年、東パキスタン(バン

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どのようにして「インドネシア国家」は成立したのか

どのようにして「インドネシア国家」は成立したのか

21世紀の大国として注目されるインドネシア。
そこに住む人は「インドネシア人」ですが、厳密に言うとインドネシア人という民族は存在しません。
インドネシアは、ジャワ人やスマトラ人、バリ人、アンボン人など、約300の民族から成る多民族国家です。

私は2013年にバリ島からジャワ島まで長距離バスを使った横断旅行をしたことがあるのですが、バリ島からジャワ島に渡った後、まるで外国のように町や人の雰囲気が違

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マケドニア人という民族は存在するのか?

マケドニア人という民族は存在するのか?

北マケドニア共和国はバルカン半島の南にある、旧ユーゴスラビア構成国です。
様々な民族や宗教が入り乱れたバルカン半島において、マケドニアは大国に翻弄されたまことに複雑怪奇な歩みをしており、それがゆえ未だに周辺国との摩擦が絶えません。
それが「そもそもマケドニア人は存在するのか」「マケドニアという名称は誰のものか」といった「そもそも論」。

それゆえ、なかなか第三者が深く立ち入ることができない問題でも

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