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統計学が最強の学問である ビジネス編④:アメリカの若者の喫煙率を約3割下げた方法(+マーケティングのための統計学の手順)

読書ノート(149日目)
さて、本日も昨日に続き
「統計学が最強~」シリーズ3冊目、
「ビジネス編」です。

この本は、
統計学をビジネスに活用するには?
を目的に書かれた本です。

本書の中では
・経営戦略のための統計学
・人事のための統計学
・マーケティングのための統計学
・オペレーションのための統計学

と、4つのビジネス領域に対して
統計学をどう活用できるかが
解説されています。

その中でも今日は
・マーケティングのための統計学
について紹介していきます。

・第3章:マーケティングのための統計学
・現代マーケティングにおける戦略は大きく2つ
・一つ目は「誰を相手にビジネスを営むのか」
 →セグメンテーション・ターゲティング
・二つ目は「その人たちに何をどう売るのか」
 →ポジショニング・マーケティングミックス(4P)


・ポジショニングとは、
 「顧客にとって一言で言えば、これはいったい何なのか」であり、
 その差別化が顧客にとって魅力的である場合に、そのビジネスは成功する
・例えば、QBハウスであれば「安くアクセスがよく短時間で終わる散髪」
 が差別化された価値といえる

・マーケティングのデータ分析は最低3周回す
・1周目は、セグメンテーションとターゲティング

 「誰に製品を売るのか」の分析
・2周目は、ポジショニングで「一言で言えば何を売るのか」の分析
・3周目は、マーケティングミックス(4P)を考え、
 ポジショニングを具体的に実践するための分析
・市場として有望なセグメントが見つかったものの、
 マーケティングミックスを分析した際に自社にとって不得意分野だったと
 判明した場合は、次点のセグメントで再分析をするなど3周で終わらずに
 4周目や5周目の分析が必要になることもある

本書で紹介されていた
マーケティングの成功事例として、
アメリカのティーンエイジャーの
喫煙率を下げることに成功した事例

示されていました。

アメリカでの「truthキャンペーン」
・1999年時点でティーンエイジャーの25.3%が喫煙者だったが、
 キャンペーン後の2002年は18.0%まで約3割の低下

「たばこは体に悪い」という知識を宣伝するアプローチの効果は
 乏しいことは分かっていた
なか、たばこを吸う若者と吸わない若者の
 一番の違いは「大人に対する反抗心が強いかどうか」という説明変数
・大人に対する反抗心が強い者ほど、たばこを吸っているというのに、
 大人の論理で体に悪いと呼びかけてもかえって反抗されてしまうだけで、
 「正しい知識」を呼びかける効果が乏しかったという理由にもつながる

・そこでとったポジショニングは「大人に対する反抗としての禁煙」だった
・制作された動画の一つでは、たばこ会社がよく用いるカウボーイを、
 都会に場違いな田舎者として描き
 「喫煙したからといってみんな死ぬわけじゃないよ。
 (口腔がんなどになって)舌を切ることになったりするだけさ」と
 コミカルなメロディを人工声帯の声で歌わせた動画などを複数パターン
 制作し、テレビやSNSで大々的に流した

この発想の仕方が興味深かったです。
おそらくですが、背景には
「たばこは体に悪い」と訴えることで
禁煙したくなる人たちは
既に大多数が喫煙を辞めていて、
それでも喫煙し続けている若者層は
「大人に対する反抗心が強い」という
特徴を持っていたのかもですね。

YouTubeで該当の動画がありましたので
もしご興味あれば…!


さて、ここからは
本題のマーケティングを統計学で
活用する際の具体的な分析手順です。
結構長い文章量なのですが、
自分の備忘メモとして残しておきます。

・1周目の分析:セグメンテーションとターゲティング
・手順①:「誰に売るか」考えるためのデータの準備
分析対象は「よっぽどあり得ない」以外の全てとする
・例えば、女性向け衣料を販売するアパレルブランドであっても、
 ユニセックスデザインの服を男性が自分用に購入したり、
 記念日などに男性がパートナーのプレゼントとして購入することもある
・「自分たちの顧客はこういう集団である」と決め、
 その範囲でしかデータを分析しないことは、結局のところ
 直感に基づいてセグメンテーションをしているのと変わらない
・自分たちが想定している顧客集団より少し広めに分析対象を設定する
 ことで「今まで意識していなかったが意外とこちらの方が狙い目」という
 意外なセグメントに気づく可能性を残せる

・手順②:「誰に売るか」考えるための分析
・セグメンテーションでは「クラスター分析」がおすすめ
・類似性の高い集団をクラスター分析で明らかにした後、各クラスターの
 人数とアウトカムの平均値を総合的に判断する方法が望ましい
・重回帰分析やロジスティック回帰は、説明変数同士が
 独立していることを仮定しており、セグメンテーションでの
 複数の説明変数の組合せを考えることには不向き
・選択したセグメントに該当する人数を考慮したり、
 1つのマーケティング戦略でどこまでカバーできるかを予測することも
 重要なため、セグメント内の類似性が分かることも大切

・2周目の分析:ポジショニング
・手順③:「誰に売るか」考えるためのデータの準備
・仮にある商品について、品質や高級感に対する評価ではなく
 「親しみやすさ」で購買者の割合が大きく差が出るセグメントが
 見つけられたとしたら、マーケティング戦略は立てやすくなる
・良いポジショニングには、アウトカムを大きく左右しうる
 説明変数が見つけられるかが肝心
・そのためには、質的調査(インタビューや行動観察)と、
 量的調査(数値データ)の組合せで行う

・手順④:統合行動理論を用いた質的調査
・有益な質的調査を行うため、統合行動理論を用いる
・心理学者のフィッシュバインを中心に1990年代から2000年代に
 かけて生み出された、人間が何によって行動を変えるのかを
 理解するための理論
・「行動」は「知識・能力」「意図」「環境」に左右される
・さらに「意図」は『態度』『規範』『自信』の3つの要因に影響される
・マーケティングでは「知識」は「認知率」、
 「環境」は「アクセス」として調査されることが多い

・「意図」の3要因
・『態度』は、回答者がある行動に対してどう思うか
 (例:格好いい、信頼できる、時代遅れに感じる等)
・『規範』は、自分のまわりの人間が「実際すでにその行動をとっている」
 または「取るべきだと思っている」についてで、
 関係する人としては両親、兄弟、恋人、配偶者、友達、同僚など
 またその関係性も、尊敬する人、ライバル視している人など、
 関係性の中身に注目する場合もある
・『自信』は、「どのような状態であれば買いたい時に買える気が
 するのか」という心理的ハードル。この商品が良いと思い周囲も使って
 いるが、いざ買うとなると何かハードルがある。という可能性を示唆する

・以上を加味してオープンクエスチョンを作成すると
・『態度』
 ・(この商品自体・使用・購買について)どう思いますか?、
 ・どのような印象を持っていますか?
・『規範』
 ・誰が実際に使って/買っていますか?
 ・周りの使うべき/買うべきだと考えている人には
  どのような人がいますか?
 ・逆にそうすべきであないと考えている人にはどのような人がいますか?
 ・その人とあなたの関係性を一言でいうと何ですか?
・『自信』
 ・どのような状況であれば使ったり買ったりできますか?
 ・逆にどのような状況のせいで使ったり買ったりできませんか?
・インタビューの中では、それはなぜですか?具体的な例は?
 他の言葉で言い換えると?と追加で聞き解像度を上げていく

・手順⑤:「何を売るか」考えるためのデータ分析と解釈
・ポジショニングを考えるための分析は、
 重回帰分析ロジスティック回帰を用いる

・3周目の分析:マーケティングミックス
・手順⑥:「4つのP」を考えるための分析
・自社が狙う有望なセグメントの4Pを整理する
 ・商品を買うときに重視すること(Product)
 ・商品に支払う価格帯(Price)
 ・普段よく買い物に行く場所(Place)
 ・買い物の際に参考にするもの(Promotion)
・試作品やチラシ等によるテストマーケティングを実施し、
 ランダム化比較実験でA/Bテストを実施する

ここまで読んでくださった方々、
どうもありがとうございました!

クラスター分析を一つとっても、
本書の以下のように
4タイプに綺麗に分けるためには
デンドログラムで確認したりと
実務ではやることも多そうですが…

https://zero2one.jp/ai-word/dendrogram/

最後にもう一つ備忘メモとして
統合行動理論を参考にした
調査票も紹介されていましたので
追加で載せておきます。

スポーツ用品のマーケティング戦略を考える上で
スポーツ用品を購入するという「行動」に対して、
『態度』・『規範』・『自信』を確認する構成の調査票になっています

ということで今日はこの辺で!
それではまたー!😉✨

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