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11月の十七音(俳句)まとめと雑感

[ 十一月の俳句一覧 ]

日々のよしなしごとに付箋を貼って、日記のように俳句を作っています。
⇒ 日付をクリックするとその当該エピソード(400文字)が開きます。

1日 肋骨を夜なべして縫ふハロウィーン
2日 朝霧へ路肩の線を綱渡り
3日 冬支度ずささと千切るカレンダー
4日 文化の日父の遺せしSuicaにて
5日 印鑑の朱肉くつきり冬隣
6日 母の鳴くポンチーカンに逝く秋ぞ
7日 怒声飛ぶレジに置かれたままの栗
8日 立冬の庭にスコップ朝日浴ぶ
9日 湯気立ててトランプ手品真似ぶ子へ
10日 冬の雨かたち作りの▲5三歩
11日 冬の月アラビア国旗掲ぐ店
12日 試着室の呼吸苦しきジャケツかな
13日 仕舞い湯に絆創膏の浮く初冬
14日 転げ出るサッカーボール布団の子
15日 世のなかと折り合ふことよ帰り花
16日 千歳飴袋ぶんぶんまた明日
17日 ママチャリの激走木の葉散る速さ
18日 並べたきバックナンバー嵐雪忌
19日 「何食べる?」問ふ人のゐて冬紅葉
20日 月食のなごりひっつく冬帽子
21日 己がことくるむ毛布の陽の匂ひ
22日 拾円で動くパトカー冬めきぬ
23日 小雪や財布の底の回数券
24日 まんが描く子は水洟を気にもせず
25日 天国にいるひとのこと冬林檎
26日 米研ぎの手のぐうぱあや冬景色
27日 ざっくりとカタログ捲る蜜柑かな
28日 ボジョレーヌーボー結婚式の写真出す
29日 無人レジ出口のポインセチアかな
30日 師匠とのらくご作りやゐろりの火

太字 は妻のお気に入りベストスリーと四歳息子のベスト(「~天国に」)です。

<講評>
妻 「スコップの句はきれいな光が差す冬の朝を思いだして。千歳飴は儀式の厳かな感じからブンブンするギャップ。天国は冬林檎の赤色がとっても暖かく感じたから」
四歳息子 「天国がいい。でもぼくなら『天国にじいじがいるよ思い出だ』にするかな」


[雑感]

あっという間に過ぎた感の十一月でした。
それでもこうして一覧を眺めていると、日々の出来事や感情がつぶさに思い出されて……凡句も作り続けて良かったなと感じます。

昔、即興演劇インプロをやっていた時に、「今ここ」に意識があるのが大事と教わりました。起きてしまった過去にとらわれたり、未来の展開を思考するのでなく、目の前にあるもの、人、起きていることに心開いて反応していく――

俳句の作法も同じなんじゃないだろうか。
頭の中であれこれしないっ。いま、そこにある実感を!
コツを掴んだと思うとすり抜けて、巧くこしらえようとすると駄目になる。
器用貧乏な自分の、これはもう人生の課題なんだろうな。

座学するのであれば、鑑賞力を養いたい。
公募の特選句や歴史的名句すら、正直私にはピンと来ないのが多いんです。好き嫌いでしょ? で済まさず、感じとれるようになりたいな、と。
ここは少し成長したところ。

ま、十二月も楽しんでやります。


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