子どもの将来は思惑通りにはいかない。
「パパ、あれバルサの――」
スポーツショップの前。
四歳息子の指さす先には、紺とエンジ色のサッカーボールが。
――よく分かったな。FCバルセロナのだ。
かっこいいと駆け寄る息子。その姿勢にニンマリの私。
しばしばサッカー映像を見せてきた。
メッシやネイマールの華麗なテクニック集。
刷り込み作戦であり、罪滅ぼしでもある。
私が一緒にプレイできないため、息子は球技が苦手。
投げるのはもちろん足を使うなんて……。
「欲しくなっちゃった」の言葉にママはいさめたが、パパの願望が出た。
――特別にプレゼントだ。
ボールを大事そうに抱え持つ息子にまたニンマリ。
家に帰るや――、
「ここ、ハヤマールのお店だよ」
架空サッカー選手に扮し、自前のナイキやアディダスの服を並べる。
当のボールは中央に鎮座された。
――外に蹴りにいかないの?
「これは飾る用だよ。いらっしゃいませー」
まさかのショップ店員志望!
転げ出るサッカーボール蒲団の子
(ころげでるさっかーぼーるふとんのこ)
季語(三冬): 蒲団、布団、干布団、蒲団干す
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?