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やさしさの数え方は、一枚二枚…

夕刻。長い昼寝からの帰還を促す四歳息子の声。
「はい、どうぞ」
目覚めに一枚の紅葉もみじが差し出された。
一緒に公園に行けなかったお土産という。
妻か私かどっちの血か、彼にはそういう優しさがある。

体調が芳しくなかった。
月に一度ある倦怠の日。
目下、プレドニゾロンというステロイド薬を最低量まで減らしてきてる影響かもしれない。そうであって欲しい。

昼までしこしこと舞台台本を書いた。
病床にあって最期まで俳句を作り続けた男と、支えた妻。
実在人物の物語。
時に自分と重ねたり、いやこっちまだ死なないしと打ち消したり。
没入してたら疲れが増した。

仮眠を、とベランダの毛布を取り入れる。
竿に私と息子のがかかっていた。
「洗濯機に入らなかったからもう一枚は今度」
妻の言葉が蘇る。
自分のを後回しにする、彼女にはそういう優しさがある。

温かい毛布にくるまるやもう意識はない。
次に起こされるまで体調も忘れて、Zzz…


毛布

己がことくるむ毛布の陽の匂ひ

(おのがことくるむもうふのひのにおい)

季語(三冬): 毛布、ケット、電気毛布


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