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明日へ球根を植える

立冬の朝。
「チューリップ植えるよ」の声に振り向けば、
既に農作業ルックの四歳息子。マイスコップまで持っている。

義実家のじいから球根をもらっていた。
息子が里芋の収穫を手伝ったお礼だそう。
自分の顔の倍はある芋の葉に負けじと頑張った。

彼はこの一年ことあるごとにじいの畑に遊びに行った。
今や土とも友達。幼虫が出てきても動じない。
「パパ、土やわらくして」
リーダーの指示に従い、庭の固い土を耕す。
ふと7か月前の朝顔を思いだした。
あの時は結局、芽すら出なかった……果たして今回はどうだろう。

「パパは白と黄色ね」 息子は赤とピンクか。
――よし、どっちがたくさん咲くか競争だ。
「そういうんじゃないよ」……たしなめられる。

作業を終え、土に手を合わせ目を閉じる。埋葬か。
「お花が咲きますように」
願う息子にキラキラと朝日が当たって神々しい。

春が、待ち遠しくなった。


立冬

立冬の庭にスコップ朝日浴ぶ

(りっとうのにわにすこっぷあさひあぶ)

季語(初冬): 立冬、冬立つ、冬に入る、冬来たる、今朝の冬


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※朝顔を断念した時の記事はこちら↓↓


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