見出し画像

八月の十七音(俳句)まとめ

俳句を少し勉強すると「二物衝撃にぶつしょうげき」を知ります。
季語と、全く違うものを取り合わせて新しい情趣を生む技術。
私もよく機械的に季語を入れ変えます。自分でも虚を突かれて楽しいんですけど、時に「ほんとにこれ詠みたかった?」という後ろめたさも。
気持ちが後付けになるんですよね。

白鷺の風ばかり見て畳かな

病床で動けない人が、窓外の風を感じ羽ばたいていく白鷺しらさぎを思う。
数年前の自分と重ねてとても共感を覚えました。
これが俳句AI「一茶くん」の句と知った時の衝撃。
詠み手は畳にいないんです。読み手の私が勝手に情緒を想像しただけ。

将棋では既にAIの棋譜が定跡となっています。
俳句はどうか。二物衝撃大喜利ならAIは無敵になりそうです。
数十年後、芭蕉や虚子と並んでAI句が読み解かれる世界線……
皆がAI「いつき先生」に添削してもらったりして。

待て待て、先ずは詠み手の実感あってこそ。
いやいや、読み手に想像してもらってなんぼ。
この揺らぎを自分の中で楽しんでいくのが目下の課題です。


[八月の俳句一覧]

「日常に付箋を貼る」 が現在(句歴1年10ヶ月)の私が拘っているテーマ。日付をクリックすると、当該エピソード(400文字)が書いてありますので、気になるものがあれば読んでみて下さい。

1日 ランドセル売り場の祖父母大西日
2日 王手して溶け切っている氷菓子
3日 ペコペコと自転車を引く油照
4日 ポイの穴より覗く目の涼しさよ
5日 幻の猫と見ている遠花火
6日 殺してはいけない理由藪蚊打つ
7日 夜の秋に知った手話「めちゃアイシテル」
8日 立秋の稽古後の髪濡れしまま
9日 引け目より取り柄溢るる大西瓜
10日 新涼やホンに決定稿の文字
11日 知った顔してググってる残暑かな
12日 ぬいぐるみのはなちゃん踊る初嵐  ★
13日 盆の月耳かきほどの一歩から
14日 新盆の父のカラオケテープかな
15日 子の洗ふ丈母の姉の夫の墓
16日 お預けの桃のしめらに匂ふかな
17日 ひぐらしの二階より「いってらっしゃい」
18日 枝豆や強気な酒の泣きぼくろ
19日 秋雨や嘗てハマったラーメン屋
20日 法師蝉思い出せなき同伴者
21日 知ってるよ玉蜀黍の髭の数
22日 「やったよ」に秋風鈴の呼応かな
23日 前輪で掻き分く金のゑのこ草 ☆
24日 行合のそら平日の寝ころび湯
25日 椋鳥や撃退効かぬ詐欺メール
26日 ツボ外すマッサージ機や放屁虫
27日 幸水や吊るす一周忌の喪服
28日 語らはぬ父と子のまま星月夜
29日 爽涼や顔つけ試験への果敢
30日 老眼の眼鏡オンめがね螇蚸とぶ
31日 ハンドスピナーの秋思と接種券

太字 は妻が選んだお気に入り三句です。
五歳息子の特選 ★は、12日 ぬいぐるみのはなちゃん~ でした。
スキの数一位(☆)は、23日 ゑのこ草の句。これは日記が良かったのかな?

<講評>
妻「遠花火の句は、幻想的かつノスタルジックな雰囲気で、絵本の一場面のような感じが新鮮だった。盆の月の句は、大きな月と小さじの対比が面白いのと、何より私自身の長年の思いが詰まってるから。お墓洗いの句は、一見どこか気をてらった表現だけど、よくよく見ると深いこと描いてて面白いなと思いました。」

息子「他はちょっと難しかったけど、はなちゃんの句はすごいばーってイメージが出てきたから。だんとつ一番!」

日記のおまけとは言え、初心者の句をこれほど多く見てもらえるのはとても有難いことだなと改めて思いました。
今月もありがとうございました。


※こちらは先月のまとめです。


この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?