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『コーダ あいのうた』 ~分かり合えないことから始める。

瞬間、声が消えてゆく。
情報が遮断され目の前の光景のみに集中する。
そんな、音のないシーンが美しかった。

高校生のルビーは四人家族の中で唯一耳が聴こえる。ルビーは幼い頃から“通訳”となり家業を手伝っていた。ある日、合唱部の顧問がルビーの歌の才能に気づき、音楽大学の受験を勧める。だが両親は娘の才能を信じられず大反対。ルビーは夢よりも家族の助けを続けることを決めるが――

あらすじ

今年のアカデミー賞作品賞。アマプラで配信中と知り視聴した。
噂にたがわず三回は落涙したかな。
大事な場面こそ台詞を喋らせない徹底ぶり。テーマである「聞こえない」「理解しづらい」演出が効く。

主人公が先生に「歌っているときどう感じている?」と問われ答える場面。
父が劇場で娘の歌の実力を、聴衆たちの表情から知ろうとする場面。
娘の歌(&心の声)を喉に、体に手を触れて聞こうとする場面。
最後、主人公が車から家族に向けて出すサイン。

語らないからこそ逆に「知りたい」と思い画面に集中する。
そこで得た「気持ち」が純度高く私の胸を抉った。

中盤、母が語る「あなたも聞こえない子として生まれてきて欲しかった」という言葉に私は強い違和感を覚える。
でもこの自分にはない価値観にこそ、作品の真意があると気が付いた。
……言葉にはしないけど。


夜の秋に知った手話「めちゃアイシテル」

(よのあきにしったしゅわめちゃあいしてる)

季語(晩夏): 夜の秋(よるのあき、よのあき)

※古くは「秋の夜」と同じ意味であったが、今は晩夏の季語として使われる。



※余談だけど、あの父親の下ネタ手話! あれがまた卑猥で卑猥で……それでアカデミー賞助演男優賞取っちゃうんだからもう……。
この人大好き―― I Really Love You!

自身もまた聴覚障害のある俳優、トロイ・コッツァーさん


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