マガジンのカバー画像

あとで読む

51
あとで読む記事をマガジンに保存しておくことができます。不要であれば、マガジンの削除も可能です。
運営しているクリエイター

#哲学

自己嫌悪について 不幸について

 「自己嫌悪」という現象は、かなり普遍的なものに思える。キリスト教の原罪思想という奇妙な思想がこれだけ浸透しているのも、人間の心に訴えるものがあるからだ。
 ニーチェの「道徳の系譜学」を読むと、自己嫌悪についての説明が書いてある。人間は元々残酷な生き物だったが、「文明化」されるにつれて、その攻撃性を抑制しなければならなくなった。そしてその発散されなくなったエネルギーは内側へ向かう。「自分を憎む」と

もっとみる

主観と客観 覚書

 近代性の特徴は、主観と客観の分裂にある。ロマン主義では主観に重点が置かれ、自然主義では客観が重視されるが、力点の差に過ぎない。
 自分がなぜ創作というものに興味を持つのか考えた所、創作とは主観と客観の交差する部分だからだ。主観-客観図式というのは恐らくデカルトが創始したものだが、いまだにその対立は乗り越えられていない。
 主観と客観については東洋でも思索されており、中国禅では「人」と「境」と言わ

もっとみる

なぜ小説を書くのか?

 柄谷行人の「日本近代文学の起源」を読んでいるのだが、初っ端から夏目漱石が、文学そのものに対して疑義を呈している。18世紀にヨーロッパで花開いた文学というものを、なぜ日本人が模倣せねばならないのか?
 確かニーチェの「曙光」に「哲学者の欠点は、"善"や"真理"といった概念を普遍的なものだと見なすことだ。本当はそれらの概念は歴史的に創造されたものである」というようなことが書かれていた。それと同じよう

もっとみる

苦しみの生じる構造 苦しみを回避する方法

 仏教語の「苦」という言葉には「思い通りにならない」という意味がある。これが全てだ。
 ハイデガーの分析しているように、「気分」というのは「受動的」なものである。全ての気分がそうだ。なんの理由もなく退屈になることもあるし、ムカつく奴のせいでイライラすることもある。性欲が止まらなくなる時もあるし、食べ過ぎで具合の悪くなる時もある。「体調」や「気分」というのは、「自然」である。自然というのは「自ずから

もっとみる

普通になりたい発達障害 アウトサイダー

 アウトサイダーアートが好きだ。障がい者が漢字を延々と書いていたり、木の棒で訳わかんないものを作っていたり「本当に好きなんだな!」と思う。逆にインサイダーアートの人は、お金と権力が好きなんだなとしか思えない。

 同い年の27歳の発達障害の人とたまに話している。親が過保護で早く自立したかったらしく、仕事をして一人暮らししていたのだけれど、発達障害が発覚して、適応障害も併発し、職を転々としている。本

もっとみる