自己嫌悪について 不幸について

 「自己嫌悪」という現象は、かなり普遍的なものに思える。キリスト教の原罪思想という奇妙な思想がこれだけ浸透しているのも、人間の心に訴えるものがあるからだ。
 ニーチェの「道徳の系譜学」を読むと、自己嫌悪についての説明が書いてある。人間は元々残酷な生き物だったが、「文明化」されるにつれて、その攻撃性を抑制しなければならなくなった。そしてその発散されなくなったエネルギーは内側へ向かう。「自分を憎む」という奇妙な現象が起きる。フロイトも似たようなことを言っていた気がする。
 単純だけれど、説得力のある議論だと思う。なんかの自己啓発本に書いていたが、石器時代と同じ生活をしている部族には「うつ病」にあたる言葉がないらしい。うつ病が存在しない。自責が存在しない。僕は、自己嫌悪の正体は「運動不足」だと思っている。
 それに加えて、資本主義社会というのは消費者の欲望を煽るように設定されているので、コンプレックスを刺激することばかりする。CMに美女を起用したり、イエベとかブルベとかよくわからんことを言って、要らないものを売りつける。「美」の基準をつり上げて、劣等感を抱かせて、金を使わせる。美容に限らず、競争社会では必ず劣等感が生まれる。勝者も敗者も劣等感の被害者になる。
 
 アドラー心理学が死ぬほど流行っているのはそのせいだと思う。自己肯定感の本が雨後の筍みたいに出てるのもそのせいだと思う。科学技術で便利になって「動かなくなった」ことと「資本主義」の仕組みで、みんな自分のことが嫌いになっている。自分のことが嫌いだから、何かに逃避する。僕は女に逃避していたが、異性でも金儲けでも酒でもなんでもいい。依存症が爆発的に増えているのは「自分が憎い人」が増えたからだと思う。自己に耐えられない。

 若者のメンタルヘルスがどんどん悪化していると感じる。中学生で醜形恐怖なんてうじゃうじゃいる。家庭環境だけの問題ではない。

 抜本的な解決策として「運動」、そして自己を見つめる方法としては「カウンセリング」「マインドフルネス」が有効だと思う。

勉強したいのでお願いします