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東京 ネオン街の情緒

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またねって言わないなら、一緒に帰った渋谷だった。

またねって言わないなら、一緒に帰った渋谷だった。

夜。集合場所の新時代、道玄坂のビッグエコー、スクランブル交差点で「もう5時だね」って言う。
僕たちは手を繋ぎながら駅まで少しゆっくり歩く。
またねって言わないなら、一緒に帰った渋谷だった。

そしてそれは後日、幻になった。

渋谷に行っても知らない人たちが、
塗り替えるようにスクランブル交差点を横切るから、
私たちの夜は跡形もなくて、
記憶を辿るしか会う方法がなくなってしまった。

でもね、好きに

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歌舞伎町の住人

歌舞伎町の住人

真夏の夜、一人で新宿の街を歩いていた。

JR新宿の東口にある交番前は定番の待ち合わせ場所で

大量の人が行き交っている。

金髪の髪の毛をツンツンに遊ばせた男、

ガリガリに痩せた女、

はたまたフリフリの女、

夜の住人が目を覚まして歌舞伎町の街まで
導かれるようにまっすぐに歩いていく。

自分の巣へ戻るようにまっすぐにである。

私も試しについていってみた。
この未知なる世界まで私も連れてい

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渋谷の空虚達

渋谷の空虚達

スクランブル交差点は洋画ではお決まりの東京の
象徴になっているし、
あの日本人特有の規則的な習性をも表現する
皮肉がきいている。

渋谷には将来を考えているのかいないのか若者が集まり、
ふらふらと何かを探している。
何を探しているのかもわからないけれど探している。

量産型ファッションと、

個性派ファッション。

ファッションはセンスを表すと思っていたけれど、
最近はどちらも本人の意思が伝わらな

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自爆したくなる夜、中目黒にて

自爆したくなる夜、中目黒にて

中目黒の川を端から端まで歩く夜、
きっと二駅分ぐらい君のことを考えていた

いつもの待ち合わせの渋谷から、
終電ギリギリの電車に乗って
今日は一人で帰ることにした。

東横線は左に人を運んで、右に帰っていく。
赤い線が一直線にある。

僕たちはここまでにしようと、
約束したわけでもないのに現れた線みたいで、

自爆したくなるの。それはもう。派手に。

でもそんなことをしても一瞬で、
後の方が永いこ

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