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茶筒が演じる宇宙時代の“重力のお土産”―京都市京セラ美術館「跳躍するつくり手たち」

京都市京セラ美術館で開催中の展覧会「跳躍するつくり手たち:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」は、地球環境やテクノロジーの進化に対応して、新しい表現や価値観を生み出すアーティストやデザイナーたちの作品を紹介しています。


その中でも、非常にコンセプチュアルな作品が、「Newton’s Lid」です。茶筒がくるくる回転しているだけという単純な作品。しかしこの茶筒は、伝統技術を用いながらも、宇宙時代を想像させる仕掛けが施されています。茶筒が開くときには滑らかな動きで開き、自重で蓋が閉じるという仕組みになっています。


宇宙という無重力空間を旅すると、重力が恋しくなる。茶筒が重力の存在を表現するために使用され、宇宙での生活において人々が重力を思い出させるようになっている“重力のお土産”というコンセプト。このコンセプトは、茶道文化に対する敬意を表しつつ、宇宙という未知の領域に対する関心を表現したものです。

宇宙という先端テクノロジーと、茶筒という伝統的な日本の文化とのコントラストも楽しめます。この作品は、現代と伝統、科学とアート、東洋と西洋の融合という、さまざまな要素が見事に融合されています。

この作品は、150年京都で茶筒作りをしている開化堂の六代目当主、八木隆裕さん、ライゾマティクスの石橋素さん柳澤知明さん、クリエイティブ・ディレクターの三田真一さんによるコラボレーションで実現しました。

この作品を通じて、茶筒の伝統技術が、未来に向けて新しいアートやデザインを生み出す力を持っていることが示されています。そして、科学技術と文化を組み合わせることで、私たちの世界がどのように変化していくかを想像することができます。

この展覧会は2023年6月4日まで開催されています。おりしも新茶の季節、ぜひ足を運んで、宇宙時代の茶筒に触れてみてください。

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