谷 俊彦

小説家;執筆活動再開しました。 「木村家の人びと(小説新潮新人賞⇒映画化)」「東京都大…

谷 俊彦

小説家;執筆活動再開しました。 「木村家の人びと(小説新潮新人賞⇒映画化)」「東京都大学の人びと(映画化)」など。 有料記事も無料領域がかなり長めですので気軽に覗いてやってください。 まずは江戸期にいた、とてつもなく弱い力士の物語から……。

マガジン

  • ぼちぼちエッセイ

    ぼちぼちと、日々の暮らしを描いたり、過去の引き出しをさぐったり。

  • ヒミツの図書館/ノンフィクション棚

    エッセイ、旅日記、調査報告など、心に残ったノンフィクション記事をまとめています。

  • 呑み書きスル晩

    旅の愉しみのひとつは地酒やクラフトビールを呑むことです。土産のほとんどは、実は自分向け。旅の景色を振り返りながら酒を呑む、そろそろとやって来る晩年を思う。

  • 新・再勉生活

    日本で学校を卒業してから8年後、アメリカの田舎町で再び勉強する機会を得ました。妻と幼い娘二人を連れての異文化珍道中を描きます。 (「採便」じゃないよ!)

  • 映画の時間

    映画を観て導火線に火が付いた! 時に大きく話題が逸れてしまうことも……。

記事一覧

固定された記事

スーパー・らくだの渋滞レジ(短編小説;6200文字)

「1286円になります」  そう言いながら、アタシの右手は既に次のお客さんのバスケットを引き寄せていた。川が流れるように前のお客の支払いと次のお客の商品スキャン準備…

100
谷 俊彦
10か月前
32

真のチャレンジは人にわからない場所で(一部再掲)

「あれ? 左効きでしたっけ?」 職場でPCを使っているとよく言われた。 「いや、右だけど……あ、これ?」 マウスを左手で操作しているためである。 「マウス操作ごときは…

谷 俊彦
18時間前
37

有能なキミたちをどう活用するか?

先週、衝撃的な出来事があった。 山あいのゴルフ場でいつものようにグリーン上を右往左往した後、カートに戻ろうとした時のこと、 「あ、カラス!」 同行者が叫んだ。 黒い…

谷 俊彦
3日前
41

応援消費Ⅳ;富山新湊港の『ホタルイカ刺身』に黒部の『宇奈月ビール』モーツァルト仕込み

だいぶ間が空きましたが、今回は富山どうし……です。 先月(3月)終わりだったか、富山の新湊でホタルイカが豊漁、というニュースを見ました。それ以来、確かにどの店で…

谷 俊彦
4日前
60

常套句『大暴れ』に「ゴジラじゃないんだから!」

「また、これだよ! ……ゴジラじゃないんだから!」 野球記事を読んでいた同居人が叫んだ。 「『大暴れ』って何? バット振り回して球場の照明でも叩き割ったのならと…

谷 俊彦
5日前
41

将来、人類は二極化する?

米国留学から戻って間もなく、社内で新たな留学候補生に選定された別部署の若手が、話を聞かせて欲しい、と言ってきた。 新婚間もなかったこの人は、帯同する奥さんも向こ…

谷 俊彦
6日前
59

アートとタイパについて考えさせられたモノクロのハンガリー映画『ヴェルクマイスター・ハーモニー』(ネタバレ:ほぼなし)

今年の目標『月イチの劇場映画』達成のため(というわけでもないけれど)、復活したミニシアター・今池のナゴヤシネマ・ノイに行きました。 復活した直後でその日の朝にTV…

谷 俊彦
8日前
52

再勉生活! 「I don't need your help」Baby sitter を見つけられなかった助教授は教室で学生がまだ写し終えていない板書を消し…

渡米して数か月が経った頃、私と妻は3歳と5歳の子供をアパートに置いて出かけたスーパーマーケットで、米国人の知り合いに会った。 「子供たちはどうしたの?」 「2人で…

谷 俊彦
9日前
43

再勉生活! 『詳細なカンニングペーパーを念入りに作っているうちに、試験中それが必要でなくなるほど、その内容が既に頭に入っ…

のび太が試験の前日に一生懸命小さな字でカンニングペーパーを作っている。 それを見たドラえもん: 「のび太くーん、そんな苦労するよりも、ちゃんと勉強した方がよっぽど…

谷 俊彦
10日前
47

Beatlesが流れる居心地の良い喫茶店

個人経営の食料品店がどんどん減っています: レストランや喫茶店も、気がつけばチェーン店ばかりになっていますね。 いずれも、仕入れなどのコストと効率など《量》の効…

谷 俊彦
11日前
107

夫業のコツ

1.愚痴は最後まで辛抱強く聴く 「それでね、……だからね、……そうしたらね、……なのよ、ひどいと思わない?」 「……」 「ちょっと、聴いてた? ひどい話でしょ?」…

谷 俊彦
12日前
56

成績を上げるために

『今年やりたい10のこと』を年初に宣言した3か月後、成績表を(自分から、ではありますが)受け取りました: この成績表: 5:1科目 4:3科目 3:3科目 2:1科目…

谷 俊彦
13日前
45

天才だ!

きわめて個人的な嗜好に従い、noteで出会った傑作(小説、マンガ、イラストなどオリジナル創作)を仮想本棚に納めています: 自分は『書く』人で、『描く』人ではないため…

谷 俊彦
2週間前
53

再勉生活! 円安からの急変で『給料がどんどん減っていく』

昨年の終わり頃には、日銀の政策変更で円安が収まるのでは、というような予測記事も見られたけれど、それどころかNISAでも海外投信を買う人が多かったり、米国FRBも利下げ…

谷 俊彦
2週間前
41

枝垂れ桜の魅力

昨日、岐阜県の御嵩町に出かけ、その途中、前回鼠志野のぐい吞みを買った『道の駅 志野・織部』に立ち寄りました。 道の駅と駐車場の間に、満開の枝垂れ桜がありました。…

谷 俊彦
2週間前
51

買い物カゴと町内市場の時代

父が単身赴任、母は教師としてフルタイムで働き、祖母が高齢だったため、小学校低学年の頃からたびたび町内の市場へ買い物のお使いをさせられました。子供には大きなプラス…

谷 俊彦
2週間前
61
スーパー・らくだの渋滞レジ(短編小説;6200文字)

スーパー・らくだの渋滞レジ(短編小説;6200文字)

「1286円になります」
 そう言いながら、アタシの右手は既に次のお客さんのバスケットを引き寄せていた。川が流れるように前のお客の支払いと次のお客の商品スキャン準備を平行して進めていかないと捌けない。
「……えーと、確か1円玉が6つぐらいあったような……」
 大きめのがま口財布を開いて中身をかき分ける鳥山のお婆さんに、既にリズムは崩れかけていた。

 でも、お年寄りの脳活性化のためには、時間がかか

もっとみる
真のチャレンジは人にわからない場所で(一部再掲)

真のチャレンジは人にわからない場所で(一部再掲)

「あれ? 左効きでしたっけ?」
職場でPCを使っているとよく言われた。
「いや、右だけど……あ、これ?」
マウスを左手で操作しているためである。
「マウス操作ごときは左手に任せて、右手にはもっと重要な仕事をさせるんだよ……メモを取るとか」
「はあ……でも、今どき、PC作業しながらメモなんて取りますかねえ」
うーむ……ま、そうかもしれないが。

マウス操作を右手から左手に変えたのは、やはり同じような

もっとみる
有能なキミたちをどう活用するか?

有能なキミたちをどう活用するか?

先週、衝撃的な出来事があった。
山あいのゴルフ場でいつものようにグリーン上を右往左往した後、カートに戻ろうとした時のこと、
「あ、カラス!」
同行者が叫んだ。
黒い影がカートから飛び去って行く。
「何かくわえていった!」
急いで戻ると、カートに置いたバッグがひっくり返されている。
そのバッグはファスナーがついていたが、端の部分が3センチほど開いており、そこから嘴を入れたらしい。
── それはわかる

もっとみる
応援消費Ⅳ;富山新湊港の『ホタルイカ刺身』に黒部の『宇奈月ビール』モーツァルト仕込み

応援消費Ⅳ;富山新湊港の『ホタルイカ刺身』に黒部の『宇奈月ビール』モーツァルト仕込み

だいぶ間が空きましたが、今回は富山どうし……です。

先月(3月)終わりだったか、富山の新湊でホタルイカが豊漁、というニュースを見ました。それ以来、確かにどの店でもボイルホタルイカがよく売られています。酢味噌で食べると美味いですが、硬い目玉を除くのが面倒ですね。

富山を地盤とする魚屋系スーパーで、新湊港で揚がったホタルイカの刺身が出ていました。生ホタルイカは時折寿司屋でつまみますが、これは、さら

もっとみる
常套句『大暴れ』に「ゴジラじゃないんだから!」

常套句『大暴れ』に「ゴジラじゃないんだから!」

「また、これだよ! ……ゴジラじゃないんだから!」
野球記事を読んでいた同居人が叫んだ。

「『大暴れ』って何? バット振り回して球場の照明でも叩き割ったのならともかくさあ……」

そういえば、大谷サンも頻繁に暴れ回るようですね。困ったものです……:

「『大暴れ』じゃなくて、『大活躍』でしょう!」
「ま、そうなんだけど……インパクト強めに書きたいのだろうね……」
「ホントの意味で球場で『大暴れ』

もっとみる
将来、人類は二極化する?

将来、人類は二極化する?

米国留学から戻って間もなく、社内で新たな留学候補生に選定された別部署の若手が、話を聞かせて欲しい、と言ってきた。
新婚間もなかったこの人は、帯同する奥さんも向こうの生活について聞きたいことがある、というので、自宅に招いて夕食を共にした。

彼は身長180 cm以上で、当時私が住んでいた古い家で、鴨居に頭をぶつけないよう慎重に歩いた。
奥さんも170 cmを超える高身長だった。

この夫婦が帰った後

もっとみる
アートとタイパについて考えさせられたモノクロのハンガリー映画『ヴェルクマイスター・ハーモニー』(ネタバレ:ほぼなし)

アートとタイパについて考えさせられたモノクロのハンガリー映画『ヴェルクマイスター・ハーモニー』(ネタバレ:ほぼなし)

今年の目標『月イチの劇場映画』達成のため(というわけでもないけれど)、復活したミニシアター・今池のナゴヤシネマ・ノイに行きました。
復活した直後でその日の朝にTVニュースでも話題になっていた先月はほぼ満席でしたが……

その熱が冷めたのか、あるいは掛けられる映画の個性によるものか、この日この時間は観客数10人ほどで……再びのピンチがやってくるのではないかと心配だ。

この日観たのはハンガリーのタル

もっとみる
再勉生活! 「I don't need your help」Baby sitter を見つけられなかった助教授は教室で学生がまだ写し終えていない板書を消した小学生の娘に言った

再勉生活! 「I don't need your help」Baby sitter を見つけられなかった助教授は教室で学生がまだ写し終えていない板書を消した小学生の娘に言った

渡米して数か月が経った頃、私と妻は3歳と5歳の子供をアパートに置いて出かけたスーパーマーケットで、米国人の知り合いに会った。
「子供たちはどうしたの?」
「2人で家にいるよ」
「2人だけで?」
「ええ」
すると、知人は怖い顔で,
「It's against law(法律違反だ)」
と宣告した。
イリノイ州では12歳以下の子供だけを家に残すのは犯罪なのだそうだ。
「早く帰った方がいい。もし隣人が警察

もっとみる
再勉生活! 『詳細なカンニングペーパーを念入りに作っているうちに、試験中それが必要でなくなるほど、その内容が既に頭に入ってしまっている』というのは本当か?

再勉生活! 『詳細なカンニングペーパーを念入りに作っているうちに、試験中それが必要でなくなるほど、その内容が既に頭に入ってしまっている』というのは本当か?

のび太が試験の前日に一生懸命小さな字でカンニングペーパーを作っている。
それを見たドラえもん:
「のび太くーん、そんな苦労するよりも、ちゃんと勉強した方がよっぽど楽だと思うんだけど……」
ドラえもんは、ある意味正しく、ある意味では間違っている。
おそらくのび太は、明日の試験ではカンニングペーパーを見る必要がないほど、試験範囲の公式を暗記してしまっている。
でも、『カンニングペーパーを作る』という極

もっとみる
Beatlesが流れる居心地の良い喫茶店

Beatlesが流れる居心地の良い喫茶店

個人経営の食料品店がどんどん減っています:

レストランや喫茶店も、気がつけばチェーン店ばかりになっていますね。
いずれも、仕入れなどのコストと効率など《量》の効果が大きいのでしょう。
あとは、チェーン店なら期待どうりの同じサービスが受けられるので『失敗がない』── だから、リスク回避の時代に好まれるからなのかもしれない。

名古屋は、かつては喫茶店の多い街でした。繁華街はもちろんのこと、住宅街に

もっとみる
夫業のコツ

夫業のコツ

1.愚痴は最後まで辛抱強く聴く

「それでね、……だからね、……そうしたらね、……なのよ、ひどいと思わない?」
「……」
「ちょっと、聴いてた? ひどい話でしょ?」
「……(表情の変化を見てとり、耳スイッチ再ON)ああ、そうだね、ひどいよね」
「ちゃんと聴いてた?」
「聴いてたよ」
「ずっと聴いてた?」
「も、もちろんです!」
「じゃ、何話してた?」
「えーと、……ひどい話だった」
(話の途中でう

もっとみる
成績を上げるために

成績を上げるために

『今年やりたい10のこと』を年初に宣言した3か月後、成績表を(自分から、ではありますが)受け取りました:

この成績表:
5:1科目
4:3科目
3:3科目
2:1科目
1:2科目
のうち、最低点《1》を付けられたのは、
③ 月1で料理担当
⑥ 書斎の片づけ完了
でした。
⑥はなんとかなる(or どうしようもない)として、③は関係者(監視役?)がいるわけです。

「アンタ、今年は月イチで料理するっ

もっとみる
天才だ!

天才だ!

きわめて個人的な嗜好に従い、noteで出会った傑作(小説、マンガ、イラストなどオリジナル創作)を仮想本棚に納めています:

自分は『書く』人で、『描く』人ではないため、優れた作品を『描く』人には憧れを感じます。
(一方で、『書く人』には、時に嫉妬を感じたり、表題はこの方が、など密かに批判的になったり……小さいですね)

また、『書く』人のうちでも自分が『エンタメ系』のため、『エンタメ系』には比較的

もっとみる
再勉生活! 円安からの急変で『給料がどんどん減っていく』

再勉生活! 円安からの急変で『給料がどんどん減っていく』

昨年の終わり頃には、日銀の政策変更で円安が収まるのでは、というような予測記事も見られたけれど、それどころかNISAでも海外投信を買う人が多かったり、米国FRBも利下げに踏み切らないなどで、円売りドル買いの勢いが衰えず、34年ぶりという『歴史的円安』になっています。
本日は1ドル=154.75円までイキました。

では、その34年前(1990年春)は、どうだったのか?
下図は1990年代のドル円レー

もっとみる
枝垂れ桜の魅力

枝垂れ桜の魅力

昨日、岐阜県の御嵩町に出かけ、その途中、前回鼠志野のぐい吞みを買った『道の駅 志野・織部』に立ち寄りました。

道の駅と駐車場の間に、満開の枝垂れ桜がありました。

ソメイヨシノもヤマザクラも美しいですが、どれか選べと言われれば、枝垂れ桜(の中でも何種もあるようですが)のファンです。
ソメイヨシノなど他の桜がいかにも植物らしいのに対し、枝を垂らした桜には擬人的な特徴を感じます。

例えれば、振り袖

もっとみる
買い物カゴと町内市場の時代

買い物カゴと町内市場の時代

父が単身赴任、母は教師としてフルタイムで働き、祖母が高齢だったため、小学校低学年の頃からたびたび町内の市場へ買い物のお使いをさせられました。子供には大きなプラスチック・ストローで編んだ『買い物カゴ』を下げ、新聞広告の裏などに鉛筆で走り書きされた『リスト』に従って、野菜、肉、乾物などを買っていく。
この頃から『人間観察』が好きだったのでお使い自体はそれほど嫌ではなかったものの、この、いかにも『主婦用

もっとみる